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異世界八景  作者: 楠羽毛
海の世界
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ぶきみな遠吠え

 結局、丸薬をのんだ。夜中、なにかの遠吠えで目がさめてしまい、どうしても眠れなかった。空腹は感じなくなったが、遠吠えはやまない。

 高い、かすれたかなきり声のような音だった。



 水をのみ、着替えて、のんびり海岸を歩いた。昨日のことがあったせいか、水に入る気にはなれない。

 どうせ、しばらくは食料を探す必要もないのだ。いや、一週間というのが本当なら、この世界にいるあいだは、何も食べなくていいことになる。

 つまらない。

 蛇はなんどか見た。むこうは、こちらに興味がないらしく、目があうとすぐに逃げてしまう。虫もだ。

 サンダルで砂をけって、歩く。

 波の線は、きのうと変わらない。昼間も、夕方も。潮の満ち引きがあるはずだが、どうなっているのか。

 海を見る。

 水平線まで、なにも見えない。陸地も、もちろん船も。

(誰もいないのかなあ──、)

 別に、無人の世界でもかまわないのだが。

 ただ、少し、さみしいだけだ。

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