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事後


<<新潟県 スクエア周辺>>


軍勢がスクエアから現れ自衛隊に迎撃され始めてから2日目の朝、既に勝敗はほぼ決していた。

夜通し自衛隊の猛攻を受け続けた軍勢はその数をめっきり減らし朝にはスクエアから退却するように陣周辺に集まっていた。

残存兵力はわずか1000人余であり、一方の自衛隊は中部方面隊の各部隊が続々と到着し兵力は8000人に達していた。

市街外輪部に自衛隊の普通科部隊が張り付き多数の銃口がスクエアの方に向けられ、カールグスタフを構えている自衛官もいた。

郊外高台では待機する16式機動戦闘車の小隊がスクエアを照準器で捉えているが既に戦闘が終わり撤退する相手をわざわざ攻撃するようなこともなかった。


太陽が登り始めた頃、最後尾の軍勢がスクエアから姿を消す。

これによって新潟と沖縄で発生した戦闘はほぼ収束する。


県警や派遣されてきた各県の警察は逃げ遅れたり負傷して動けなくなった敵兵を検挙して周り周辺地区の被害にあった住民を保護する。

そしてスクエアから最初に現れた難民と思われる人々も武器の類を一切没収した上で一箇所に集めめる作業を行っていた。

当然然るべき人道支援は行われるはずである。


その人混みに紛れるように大竹は最初に出会った亜人女性に寄り添うように地面に座り女性は疲れからかもたれかかるようにぐっすり寝ていた。

大竹は女性を見る。

女性が寝ているせいか獣耳が大きく垂れ下がっていて顔に当たっていてくすぐったかった。

しかも時折ピクッと動かすのでくすぐったくてしょうがない。

けれどファンタジーな出来事やタイプなケモ耳女の子の出現にくすぐったいのも楽しさに変わるくらい厨二心丸出しだったので何の問題にもならなかった。


そうこうしていると女性が目を覚ます。

大竹はすぐ目線を外らして何事もなかったように装う。

実際何もしているわけではなかったが基準的にはセクハラに到達していた。


「ねえ、名前聞いていいかな?」


試しに女性に名前を聞いてみる。


「・・・・・!」


聞いたこともない言語で話し返してくるのこれは失敗だった。

そこで自分を指差して言う。


「オオタケ」


「オオタケ?」


女性は自分の名前で聞き返してくる。

これはいけると思い適当に警官を指差し適当な名前を割り当て名前だと教える。

そして女性にジェスチャーで名前を尋ねる。


「...トトナ」


遂に名前を聞き出すことに成功する自分にでかしたと言いたくなる。

こうして異世界人との交流が幕を開けた。



<<内閣府安全保障会議>>


事件から少し時間が経過する。


「こちらが今回まとめた報告書になります」


ページをめくる。


「民間人の死者250人、負傷者300人。不法入国者35万人....」


この数字はインパクトが有りすぎた。


「民間人への被害がやはり大きいな」


「世論が今後どうなるか全くわかりません。どう転ぶか」


「今現在の相手の動きは?」


「敵の斥候が度々転移して来てはすぐ帰っていく動きを繰り返えしています」


「そうか。与那国の陣はどうなんだ?」


「人魚が出入りしているところを見ますと敵性国家は今の所こちらの陣を使用していないと思われます」


「ふむ」


大臣たちの討議は続く。



スクエアの出現は世界中に伝えられ、連日国内外で報道が続いていた。

日本の大手報道各社だけでなくアメリカの○P通信や○イター通信、ヨーロッパ各社の記者が自衛隊や警察が封鎖している検問に集まって取材していて、時折自衛隊の装甲車が検問を出入りするのを撮影していた。


「では日本にやってきたのはヒトではないということですか?」


「全てがそうではありませんがヒトと大きく異なる種族?が大半を占めているようで正に我々の人知を大きく超えているとしか」


「彼らの目的はわかっているのでしょうか?」


「今の所言葉が通じていないようで専門家を政府が集めているもようです」


国内報道ではスクエアが何なのか、やってきた人々が何をしに来たのかに注目していた。

一方、海外ではスクエアについての情報と日本の対応の行方にも注目が集まっていた。

ブロンドのキャスターがニースで映る。


「では小説や映画に登場するようなオブジェクトということですか?」


「日本政府の説明ではそのようなものと示唆しているだけですね。○ターゲイトみたいに宇宙のどこかに繋がっているのかも知れません。しかも海に開いたスクエアは日本で有名な海底遺跡に現れたそうです」


「なるほど。ところで日本政府は今後スクエアをどうするつもりなのでしょうか?」


「今の段階ではなんとも言えませんね。実力行使については考えているでしょうが、日本でそれは相当の政治的リスクを伴います。もしかしたらこのまま放置することも有りえますね」


アメリカやヨーロッパのニュース番組は特にあたりざわりはなかった。

政府も日本の動きを中止するだけでリアクションはなかった。

けれど中国やロシアは違った。

中国政府系のメディアではいつものような対日発表が流れる。


「中国政府としてはスクエアに対する日本の動きに大きな懸念を持っています。かつての日本の行いに照らしても日本に野心や帝国主義の下心がないことは否定できません。よって我が国はスクエアを安全保障理事会での取り決め以外で管理することに断固として反対します」


中国外務省の報道官がいつものように日本に噛み付くが、そのトーンは今までよりもずっと強いものになった。

ロシアも中国に同調し、政治的駆け引きを激化させてきていくのであった。


その頃、沖縄では自衛隊とアメリカ軍の動きが活発になっていた。

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