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現場1


<<新潟のとある民家>>


男性がスマホをいじりながらベットに寝そべっていた。

スマホに映っていたのはネット小説でお好みのジャンルの小説を漁っていた。


彼は陸上自衛隊、第30普通科連隊に所属する大竹彰三尉だった。

実家が新発田駐屯地からそこまで離れていないので休日はいつも一直線で家に帰っている。

他の尉官は任官試験の勉強で忙しい中、自宅で自堕落な生活を満喫するのが彼の日課だった。

もちろん任官試験は頑張るがそこまで熱意を注ぎ込むことはせずあくまで私生活と両立させるバランスタイプだった。


そんな彼の目当ての小説は異世界ファンタジー物で、とにかく自分を重ねて連想する。


「お、最新話更新されてるじゃん」


ブックマークしていた小説に最新話が投稿されているのが目に入りさっそく突入して読書する。

見入っている小説はTS異世界転生系でケモ耳美女で冒険する話だった。

他にもダンジョンが日本に現れたり、異世界で亜人ハーレムを築いたり、日本が異世界に転移する小説をブックマークしている。

もちろんそういうのを読むからには好みのヒロインはケモ耳などの亜人娘と根っからのケモナー志向だ。

妄想上の野望は異世界転移したら技術チートで帝国築いて虐げられてそうな亜人を開放してハーレム作り上げることであるなど二十代にもなって厨二病全開だった。


しばらく読者していると一階から父親が自分に呼びかける。


「彰、うちら東京に米売り込みに行くっけお前休みの間水周り見て邪魔な雑草刈っとけいや」


「は?おふくろも営業行くの?」


「そうに決まってんだろ。俺がお得意様を言い包められる訳ねーねっかや」


「はぁー。...うぃっす!」


「じゃあ行ってくるろ」


そう言って父親は母親を連れてバンで東京にでかけていく。

残った自分はというと面倒臭さを顔から滲み出しながら小説を読み終えると二階の自室から降りてきて外へ出る。

そそくさと作業小屋へ行って軽トラックの荷台に道具を放り込んでそのまま乗り込むとエンジンをかけて2km離れた水田に向かう。


軽トラックを走らせていると遠くの集落の向うから光の柱が肉眼で見えた。

夏の日差しの中でも見えるほどなので相当な明るさだった。


「なんだろう、アレ?」


大竹は気になりそちらへ車を走らせる。

途中何度も光の柱が出現し、もしかしたら異世界に繋がるゲートが開いたんじゃないかとわくわくしてしまっていた。


そして農道を進み続けていたところ走っている人の姿が見えた。

様子がおかしいので停車させ事情を聞こうと下車して近づく。

ところがその人は日本人どころかヒトとは違ういわゆるファンタジーに出てくる体毛でモフモフ感のある獣耳美女で自分にはドストライクな容姿だった。


「え?(テンション↑)」


流石にシチュエーション的にいきなりハイテンションな対応をする訳にはいかないのでとにかく適当な対応を行う。


「君、一体どこから来たんだ?」


取り敢えず無難な質問を振ってみる。

だが走ってきた女性は質問を無視して胸元に抱きついてくる。

大竹は更にテンションが上がりそうになるが必死に表情的にも堪える。

そして女性は涙ながらに何かを訴えるが言葉が通じない。

あまりの必死さに大竹は冷静なって女性の仕草を観察する。

どうやら彼女の後ろから何かが来ていることを訴えかけるようだった。


すぐ後ろは集落になっていて視界が切れているので民家の向こうから何が来るのか見えない。

けれど民家から悲鳴が聞こえてきたことで事態を少し把握する。


「まさか...」


こんな状況だけにファンタジーで言うモンスターや盗賊、剣や槍で武装した兵士とかそういう類いの何かと察する。

そして槍と盾を持った古代、もしくは中世の兵士のような集団が現れたことで大竹は合点する。


すると大竹は助けを求めた女性をいきなりお姫様抱っこして軽トラックの荷台に無理やり乗せる。


「悪いけどここに乗って!」


女性は抵抗するも大竹が気遣うようにジェスチャーを交えて訴えかけるのを見て抵抗するのをやめて大人しくする。

大竹は急いで軽トラックに乗って座席に座るとシフトレバーをパーキングからドライブに入れ思いっきりアクセルを踏む。

軽トラックのエンジンが軽自動車特有の空回りするような高回転音を出す。


ブオオオオオン!


大竹はテンションが最高潮になったせいか大声で独り言を言う。


「遂に異世界来ちまったよ!おい、おい。こうなったら女の子にいいとこ見せて点数稼がなきゃ損だな、おい!」


そう言うと目線を迫り来る兵士たちに向ける。


「いかにも殺す気満々だったよな?。悪いけど、正当防衛なんで怨まないでくれよ!」


軽トラックは加速を続け兵士たちに突っ込む。

兵士たちは槍を軽トラック目掛けて突き刺そうとする。

ボディに向けたものは僅かに貫通させるものもあったが効果がなく弾かれる。

けれどフロントガラスに向けたものはガラス突き破り刺さってしまうが大竹は頭を下げていたので座席に突き刺さるだけで済んだ。


そして兵士たちは盾で防御しようとするが、車に体当りしてされて無事なはずがなく、突き飛ばされて転がった兵士は動かなくなる。

大竹はヒビだらけのガラスとエアバッグで視界がほとんど無くなり事故りそうになりながらも持ち直して走り抜けた。


事態は更に進行し大騒乱は拡大していく。



<<スクエア周辺>>


大勢の人々が突然現れた魔法陣のようなサークル、スクエアから出現しては雪崩打つように拡散していく。

既に20万人以上がここから日本に侵入して来ていた。

これらの人々は古代から中世くらいの文化水準の身なりをしていてヨーロッパ系のヒトもいれば獣耳や尻尾を生やした亜人とも言うべき人もいるごちゃまぜの集団で、皆できる限りの荷物を持って移動する難民のようだった。


「急げえええ!王国軍は既にスクエアを取り囲んでいる。転移が済めば奴らはここから湧いて出るぞおおお!」


古代の戦士とでも言えそうな身なりの集団がスクエアの周辺を取り囲み地球のどの言語とも違う言葉でスクエアから日本にやってきたばかりの人々に急いでスクエアから出るよう即す。

その後何度か転移が続くがその後しばらく間をおいて転移が再開すると今度は全く違う身なりの者達が転移してきた。

先程までの民草とはうってかわって剣や槍、盾で武装した集団である。

スクエアを取り囲んでいる武装集団がより明らかに重武装だった。


「突撃せよ!」


スクエアから現れた軍団の指揮官と思われる指揮官の号令で重槍部隊は槍と盾を全面に向け突撃を開始し、スクエアを取り囲んでいた集団と激突し戦闘が始まる。

しかしスクエアを取り囲んでいた集団は最初の一撃で大打撃を受け呆気なく壊走してしまった。


スクエアから現れた軍団は敵を撃破すると一歩々々前進を始め徐々に逃げ遅れていた人々に迫る。

大人ならまだしも子供や年寄りもいる人々には軍団を振り切ることなどできない。


そしておぞましい光景が広がる。

軍団は人々に襲いかかると子供や老人、抵抗する者を次々殺害し始めたのだ。

そこに人道や躊躇などは微塵もなかった。


うわあああああ!


きゃあああああ!


一帯に人々の悲鳴が響き渡る。


その間軍団は抵抗しなかった働き盛りの大人を手当たりしだいにかき集め始めると、殺害しなかった者達の首に紐を巻き付けまとめて連行するように連れていき、しきりに出入りするスクエアから向こうの世界へ連れ去っていった。

それはまるで人攫いも同然の盗賊のようでもあった。


警察や自衛隊の偵察機が上空を飛び回り始めた頃、地上の様子を遥か上空から覗く航空機があった。

航空自衛隊のRQ-4グローバルホークだ。



<<防衛省地下施設>>


「何なんだこれは?」


「武装集団は最初に現れた逃げまとう集団を次々殺害しては生き残った人を陣に連行してはどこかへ去っているようです」


「つまり初めに現れて逃げまとっている膨大な数の集団は武装集団から逃げるために現れたということか?」


「状況証拠から考えると妥当な線かと」


「これは何だ?未知の巨大生物が陣から出てきたぞ!」


「これは....龍ですか?」


「いやドラゴンじゃないのか?」


「ワイバーンでは(ボソッ)?(ファンタジーに見識有り)」


「まさかこんなものが飛び立つのか?ありえない」


防衛省幹部たちがスクリーンに映った飛行生物に注目がする。

だがその飛行生物はしばらく翼をはためかせたあと周りの兵士が集まって話をしてまた陣から消え去っていった。


「何だったんだ今のは?」


防衛省幹部たちが疑問にふしていると今度は巨大な人型の生き物とイグアナのような生き物を出現させる。

それはファンタジーで言うところのオーガと地龍だった。

他にも棒を持った子供のような多数の集団も同様に出現する。

その後はまた軍団が湧いて出始め、一段落した頃には総数8000を数え、軍団は陣形を整え始めると前進を開始する。



<<新潟県警 警官隊>>


その頃現場に急行した新潟県警の警官隊はパトカーで各道路にバリケードを築きなるべく暴徒集団を外に出さないよう努めていた。


「何なんだ、あれ?」


警官たちの眼前に巨大な物体が姿を表す。

それは軍団が全面に展開させた数体のオーガだった。

オーガは巨大な棍棒を振りかぶりながら小走りで接近してくる。

かなりの重量があるのか地面に僅かな振動が感じられ、その巨大さに警官たちはとてつもない恐怖を感じてしまった。


「く、来るぞ!」


「構わん、撃て撃て!」


警官隊はニューナンブM60をホルスターから取り出し、威嚇を省略して直接射撃を開始した。


タアアン、タアアン!


弾丸はオーガに命中しているはずだが全く効果がない様子で勢いを落とすことなく近づいてくる。

オーガは振り上げた棍棒をパトカーに振り下ろすと車のボディーが大きく潰された。

そしてオーガ自身がパトカーに踏み上がり車の上部構造を完全に踏み潰すとそのまま警官に襲いかかる。

オーガは棍棒を振り回し大打された警官はふっ飛ばされ道路に転がったり建物にぶつかりし、血を流して動かなくなる。それを見た別の警官は走って逃げるが様子を見ていた小さな集団がオーガの優勢を見てなだれ込んで警官を襲い、ボコボコにして殺害する。

小さな集団はファンタジーで言うところのゴブリンやコボルトに当たる容姿だった。


警官隊が撃破された時、応援のパトカーが何台か集まってきていた。

戦闘が終わりスクエアから現れた軍団の偉そうな兵士が宣誓する。


「聞けえ!我らは精鋭ダリスト王国軍である。アーガメノム大王の名においてこの地に逃げ出した蛮族共を捕らえに来た。もしその邪魔だてをするのであれば我らだけでなく20万を号する対帝国同盟軍もが貴様らを完膚なきまでに叩き潰すであろう!異世界の蛮族共よ、散るがいい!」


指揮官と思われる男は悠然と宣誓するが警官隊は言葉がわからないのでちんぷんかんぷんだった。


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