狐の3 ~再誕する星~
お待たせいたしました。挿し絵描いたりと浮気していましたが、一応の区切り、第一章はこれで仕舞いとなります。
~S.C.???? ヒノ視点~
結局こうなってしまいましたか……怒リ狂ウ火焔は消え、生ケル太陽が目を覚まし、そして星は生まれ直す。
ただ少し違うのは、あの子が私を造りなおさなかったこと。
「ねぇ、サキ様?どうして私を再びあの星に造らなかったのですか?」
「……なんでじゃろうな?」
「もしかして、お気づきになったのですか?」
もし気づかれていたというならば、なるほど今までと違う理由もわかる。オロに禁呪を教えていたのは私だということを本当に気づいていたならば。
「教えてくださってもいいじゃありませんか、ねぇ?」
「自分が一番よくわかっておるじゃろうよ、ヒノカグツチ。大方今までの儂は星を造り直したあと、生ケル太陽を分離させて貴様を里の守護者として置いたのじゃろうよ、そして長いときを経て、飽いた貴様は次の儂を産み出すために戦を始める、じゃろう?」
私は驚いて目を丸くした。今の主人はそこまで理解しているのか。真名はまだしも、星をめぐる戦の原因も、なぜ私が死んでないのかという理由も、全てを看破していた。
「……ご明察の通りですよ、サキ様、参考までになぜお気づきに?」
「勘じゃ……といっても納得はせんか?」
「ええ、そこに至るまでの経緯が知りたいのですよ」
「……よかろう、一つ目は貴様が部屋に入ってきたときじゃ。カノの長の娘という言葉を当然の事のように受け止めておったな。まるで初めから儂がそこにいることを知っていたかのように。」
「なるほど……もっと驚くか取り乱すべきでしたかね」
「続けるぞ、二つ目、オーガリーダーが言ったおねーちゃんを守ろうとしてるのかという台詞、あの場に貴様もいた以上、複数で呼ぶのではないか?」
「そんなとこまで仕込めませんよ普通……」
「普通じゃないじゃろ貴様。まあよい三つ目、貴様の魂だけ回収できなかった。最初は儂が殺したものの魂だけ回収できるものかと思っていたが、狐の里が貴様がいないだけで他は元通りになったことで違うことを理解した。初めからヒノという魂は存在していなかった」
「なるほど、なるほど……お見事ですね。仰る通り、私は過去のサキ様の披造物、疑似魂こそありますが本来の魂など存在してませんね」
「理解したか?さてヒノカグツチ、ここで貴様に選択肢をやろう、共に来るか、ここで消えるかじゃ」
「……なんですかその最悪の二択は、私は面白おかしく遊んでいたいだけですのに」
「最悪な二択を提示される理由は気づいておろうに?さぁ、選べ」
……もちろん気づいている。私の事を貴様と呼んでいることからもとてつもなく怒っていることも、私がオロを殺すことになった原因であり、カノが凌辱された原因であることも。
つまりこれは最後通告、監視付きで生きるか、さもなくば死ぬか。
「……勿論ご一緒させていただきますよ、我が主」
「仮初めの命でも生きたいと……よかろう、ではこれまでの行いには目を瞑ってやろう。儂に仕えよ、ヒノ」
「仰せのままに」
~A.D.2018 Nov.7 作者視点~
「これが彼女達の起源にして終焉、繰り返されていた悲劇は終わり、永遠に続く旅が始まるのだった……と、こんなものだったっけ?」
「そうですねー……概ね史実通りかと思いますよ、それにしてもサキ様の口調が懐かしいですね?」
「ぐっ……あの時は舐められないように口調を作ってたんじゃ!……あっ……」
「そうして体に染み付いた結果、慌てたりすると戻るんですよね、あとは格好つけたいときとかも」
「ヒノが意地悪なのじゃ……あと私は今は桜で通ってるんじゃが」
「はいはい、それはどうでもいいとして、今日の晩御飯は何がいいですか?それと、それを言うなら私は今は楓で通っていますよ、桜」
「んー……きつねうどんが食べたい……」
「わかりました、たぬきうどんですね」
「違うのじゃ!きつねうどんなのじゃ!油揚げが食べたいのじゃ!!」
「冗談ですよー、出来るまで少しかかりますが、どうなさいます?」
「久々に冥界に行きたくなってきたから……ちょっと時空いじってくる、全にして一なる鍵!」
「落ち着きないですねー……行ってらっしゃい、サキ。」
「行ってくるのじゃ!楓!」
「いきましたか……さて、そこで覗き見しているあなた、これまでは彼女の過去にあった出来事ですが、これから先はこれから起こることです。もしかしたら、次は貴方のそばに、何処にでも居る彼女が、出てくるのかもしれませんよ?その時は、よろしくお願いいたしますね」
という訳で、桜が解説できないので、今まで作者として解説をしていました、楓ことヒノです。ここから先は私でも読めない、これから体験することが綴られていくことでしょう。みなさま、これからも廻り廻る遷ろう世界と、桜ことサキをよろしくお願いしますね?
~おまけ~
サキ「母上ー!遊びに来たのじゃー‼」
オロ「ようきたようきた妾の愛し子!会いたかったぞ‼」
カノ「あら、私には挨拶しないのですか?サキ様?」
サキ「カノも会いたかったのじゃ!いつもみたいに尻尾もふもふさせてほしいのじゃ‼」
カノ「はいはい、にしてもヒノがいなかった理由ってそう言うことだったんですね?」
オロ「妾は知っておったがな。まぁ、予想できた人もおるだろう」
カノ「そうですかねー?あとサキ様、尻尾を逆さになでないでくださいぞわぞわします」
サキ「この感触がたまらないのじゃー……」
オロ「カノ……羨ましいぞ……」
カノ「オロ様も恨みがましい目で見ないでください!」
ヒノ「はい時間です。サキ、帰りますよ」
サキ「もっと居たいのじゃー……」
オロ「もっと居てほしいのじゃー……」
カノ「似た者親子……」
ヒノ「きつねうどんが伸びちゃいますから帰りますよ……?」
サキ「……うぅ」
ヒノ「では皆さんに挨拶をしてから帰りましょうね」
サキ「皆読んでくれてありがとうなのじゃ!」
オロ「これからも妾の愛し子をよろしくな」
カノ「ヒノのサキ様に対する接し方とか謎もまだ残ってますしね」
ヒノ「そのうち書かせますよ。では皆さんまた会いましょう」