狐の2~星が終わる日~後編
続きです。サキはカノが大好きなんですが、それの心理描写が難しすぎて半分投げてます。思い付いたらチマチマと改稿して心理描写を足していってるのでそれまでは読者の皆さんで補完していただければ……
~S.C.8000 水の月 2日、サキ視点~
私は、油断しているかのような棒立ちで、オーガ達の前に立ち塞がる。同時に後ろに居るカノに、この場から逃げるように尻尾で指示を出した。頷いていたから理解したはずだ。
「さぁ、準備は出来たかの?」
「そりゃこっちの台詞だぜガキ、おねーちゃんたちはちゃんと隠したか?じゃなきゃ俺の仲間がくっちまうぜ?ぎゃはははは!!」
そうオーガのリーダーが返すとオーガ達から下卑た笑い声が漏れだし、場を埋め尽くした。
「なんじゃ、諦めてなかったのか、あれは儂のものじゃからな、下郎どもにはやらん。では始めるぞ。一方的な虐殺をなぁ!!」
そう啖呵を切ると同時に私はリーダー以外に対して怒り狂う火焔で攻撃した。黒い炎が突然オーガ達達から上がり、オーガリーダーは驚愕し、オーガ達が痛みに咽び泣く。
「なんだ、なんなんだよ!!一体何が起こっていやがる!!」
「ギャアアアア!!熱い!!熱イイイイ!!」
「リー、ダー………助けっ………アアアアアア」
「水よ……なんで消えねえんだよおおお!!」
「くそガキがああああ!!たかが炎で俺の能力を破れると思うなよ!!溢れ出す大海!!」
リーダーがそう叫ぶと同時に、産み出された大量の水が周囲を押し潰しにかかった。仲間ごと私を押し潰し、逃げたカノたちも巻き込もうとしているらしい。
だが、それはこちらの台詞だ。
「たかが水ごときで、儂の怒りたる火焔を消せるとは思い上がり甚だしい。それに、儂の技が一つと思うな。焼失する紅炎」
私は産み出した紅炎の鞭を操り、水を燃やして消していく。あまりにも矛盾するその光景に、どこかの神と、どこかの死者たちも呆れ返るような気がした。
右から左に薙ぎ払うだけで、湖と見まがうような水の塊が消えていくのだから仕方がないとは思うが。
「おいおい……冗談だろ……なんだよ、なんなんだよこの化け物はぁ?!」
そう、リーダーが戦意を失うのも仕方ない事だ。許さないけど。足先から少しずつ、燃やしてやる。
そう思って、加減しつつ、黒炎を向ける。
「もう終いか?なら燃やしてしまおう。安心せい、死ぬまで見守ってやるからな。では、踊れ。怒り狂う火焔」
「やめっやめてくれっ謝るから!あんたの下に着くから、だからやめ……アアアアアア‼」
火がついたとたん、それを消そうと足をバタバタと地面に叩きつけながら、泣き叫び、命乞いをするのはとても面白かった。少しだけ火力をあげてしまうほどに。苦しむ時間が減るのだから、これは慈悲だろう。
……そうして暫く眺めていたら、突然リーダーの声が途絶えた。もう虫の息らしい。まだ身体の半分ほどにしか炎は届いていない。が、まぁまぁ暇潰しにはなったので、消し炭にして殺してやることにする。
「さて、カノ達を追うか……ん……?なんじゃこの臭いは……血の臭いはいいとしても……それだけじゃない……発情した雄の……カノ達の居る方角からじゃと……まさか……急がねば!」
少しだけ、そう、ほんの少しだけ嫌な予感がしながらも、カノ達の元にたどり着いた私は、そこにあった嫌な予感通りの光景に、自分が遊んでいたことを、後悔した。
「サキ……さま………ごめんな……さい……みないで……くだ……」
カノ達は全身に剣を刺され、ズタボロになっていて。
そして、汚ならしい鬼どもに乱暴に犯されていた。ヒノは既に息絶えているようで、同じくらいズタボロのカノが生きていたのは、退屈ヲ嫌ウモノのせいなのだと嫌がおうにも理解してしまう。
「サキ……さ……おねが……わたし……ころして……ヒノのところへ……いかせ……」
私は目の前の光景を理解できなかった。いや、むしろ否定し、理解することを拒絶したと言うべきだろう。私には識ルモノがあるのだから。
私が生まれたから、私が逃がしたから、私が敵で遊んでいたから、この現実は私のせいなのだと、理解させられてしまう。
守るべき存在、愛しい存在は今やズタボロになっていて、死を請い願うまでに壊れてしまっている。
壊してしまったのは私の退屈ヲ嫌ウモノで死ぬことを許していなかったから。
ズタボロになっているのは私が守らなかったから。
ついに私は、その光景を、その現実を、その未来をすべて否定した
そう、何もかもを燃やして、無かったことにしてしまおう。私の存在も、起こってしまった悲劇も、全て無かったことに。
「……今すぐ楽にしてやる……すまん……星ごと、全て燃やしつくせ……怒り狂う……いや、生ケル太陽」
目の前が目映いばかりの灼熱が迸る。廻りにいた鬼どもも、カノも、ヒノの亡骸も、全てを灰塵に帰していく。それだけでは飽きたらず、星そのものすらを灰へと変えていく。
そしてこの星は、私たちの小さくて大きい世界は、初めから何もなかったかのように、一片の灰を残して消えた。
┌
―現段階ステータス―
-名前:サキ- 年齢:無し 種族:妖狐族
保有能力
・不滅ナルモノ:死の概念を失う呪い。同時に常に体は最適な状態に保たれる。解呪不可。
・親殺し:親を殺す禁忌を犯した事の証。子を成すことができなくなる。自分が末代。
・見送ルモノ:看取られる事の無くなる呪い。親殺しの結果。最後は一人。
・自己矛盾:矛盾する概念が対立したとき、自分に有利な概念のみが適応される。生きながら死んでいる事の証。
・定メルモノ:一定の空間を自らの理に書き換える事ができる。あり得ない存在である証。
・識ルモノ:あらゆる事柄を理解できる。急激に成長した証。
・退屈ヲ嫌ウモノ:自身が玩具と認識したモノに対して全ての権限を得る。生死すらが暇潰しの娯楽。自身が最低最悪な存在だと認識した証。
New!・生ケル太陽:燃やすと言う概念そのもの。時間であろうが空間であろうが、燃えると思えば燃やせてしまう。全てに絶望し何もかもを燃やし尽くすものの証。
・時神:時間を操る事ができる。次元を越えた能力を持つ証。
└
誰もいない、真っ暗な世界で、私は一人嘆いていた。
「儂など生まれなければ、儂が生まれる必要がなければ……ならそんな世界を作ってしまえばよい……あのようなことが起きぬように、書き換えてしまえばいい」
手の中の灰を握りしめながら、そう呟くと、私は、私のいない世界を、同じ星を作り出し始めた。
争う余裕などがないように過去を書き換え、共通の敵を作り、二度と私が生まれる土台が無いように。
「出来た……終わる世界と終わらぬ夢」
いくつかの能力を使い出来上がった星に、再びオロが生まれ、カノが生まれ、成長し……そしてわたしではない誰かが、オロに愛されて生まれてきたところまで見守ってから、私はその場を後にした。
私は生まれなかった存在。本来いない存在。どこにでも居るけれど、どこにもいない存在。これでいい、これでよかったんだ。そう信じて。
┌
―現段階ステータス―
-名前:サキ- 年齢:無し 種族:妖狐族
保有能力
・不滅ナルモノ:死の概念を失う呪い。同時に常に体は最適な状態に保たれる。解呪不可。
・親殺し:親を殺す禁忌を犯した事の証。子を成すことができなくなる。自分が末代。
・見送ルモノ:看取られる事の無くなる呪い。親殺しの結果。最後は一人。
・自己矛盾:矛盾する概念が対立したとき、自分に有利な概念のみが適応される。生きながら死んでいる事の証。
・定メルモノ:一定の空間を自らの理に書き換える事ができる。あり得ない存在である証。
・識ルモノ:あらゆる事柄を理解できる。急激に成長した証。
・創造者:生命以外のあらゆる存在を造るものの証。
・退屈ヲ嫌ウモノ:自身が玩具と認識したモノに対して全ての権限を得る。生死すらが暇潰しの娯楽。自身が最低最悪な存在だと認識した証。
・生ケル太陽:燃やすと言う概念そのもの。時間であろうが空間であろうが、燃えると思えば燃やせてしまう。全てに絶望し何もかもを燃やし尽くすものの証。
New!・全にして一なる鍵:時空全てを好きなように操り、歪められる。どこにでも居てどこにも居ない、いつでも有っていつも無い存在になった証。
└
閲覧ありがとうございます。作者のサクラです。今回一つの星が終わり、無理やり星を作り直したサキは、これからどう過ごすのでしょう。次回、「再誕する星」お楽しみに!
おまけ
オロ「妾はサキのことも愛しとるのじゃああ(泣)」
カノ「オロ様五月蝿いです。ところでヒノは?」
作者「ヒノはここには来ませんよ。ここは召された人しかこれませんからね」
カノ「ヒノは生きてるってことですか?!」
作者「生きてはいませんね。そもそもサキが全部燃やしちゃったので、仮に生きてても関係なく消し炭です。」
カノ「でも召された人しかここにはこれないって……」
オロ「召されてないと言うことだな、にしてもカノ……貴様妾を恨むとか抜かしてたの?」
カノ「それはそうですよ。あんなのどうしろと?」
作者「はいはい母子喧嘩はその辺にしといてください。」
オロ・カノ「「母子じゃない(です)‼」」
作者「親バカ達は放っておいて、今回は能力の上書きについて解説します。前回説明した通り、能力のうち、神の力と呼ばれるものには格の概念があります」
オロ「その格が上がることを俗に上書きと呼ぶわけだな」
カノ「今回はヒノカグツチがクトゥグアに、ヨミがヨグ=ソトースに上書きされましたね」
オロ「ヨミの出番の少なさに凄く共感を覚える妾である」
カノ「オロ様ものすごい強者感出しておいてすぐ死んじゃいましたしね」
作者「かませ(笑)ですね」
オロ「貴様ら二人して辛辣すぎんか?!」
作者「まぁそんなことはどうでもいいです。ちなみにカノだけがここに来たのも理由があったりしますが、それはたぶん本編で触れます」
カノ「そうなんですかー、そろそろ時間ですね、では皆さん一緒にバイバイしましょう!」
オロ「二度もスルーされた……あ、妾の娘をよろしく頼むぞ」
作者「それでは、また会いましょう。」




