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狐の1~狐の名付け~

なぜか筆がのってプロローグの倍近い量になりました。誤字脱字あったら報告くださると嬉しいです‼

~S.C.8000 水の月 1日、??視点~

ひとしきり嗤った後、私は"名付け"をしなくてはならないことに気がついた。

この世界の理では、本能で自分に名前をつけるらしい。

だが、私には何もない。親の名を知らない。此処が何処かも知らない。私がしたことと言えば親を()()()()()()()()ことくらいで……。


「あぁ、そうか、いやそうじゃな……我が名は"サキ"親を引き裂き殺した儂にぴったりの、最低で最悪の名前じゃな?」


胎が裂かれた死体の上で、そうひとりごちた。

その時私は、いや儂は、此処に、惑星テラに産まれ落ちたのであった。



―現段階ステータス―

-名前:サキ- 年齢:無し 種族:妖狐族

保有能力・不滅ナルモノ:死の概念を失う呪い。同時に常に体は最適な状態に保たれる。解呪不可。

・親殺し:親を殺す禁忌を犯した事の証。子を成すことが できなくなる。自分が末代。

・見送ルモノ:看取られる事の無くなる呪い。親殺しの結果。最後は一人。

・自己矛盾:矛盾する概念が対立したとき、自分に有利な概念のみが適応される。生きながら死んでいる事の証。

・定メルモノ:一定の空間を自らの理に書き換える事ができる。あり得ない存在である証。

・識ルモノ:あらゆる事柄を理解できる。急激に成長した証。

New!・退屈ヲ嫌ウモノ(ナイラトテップ):自身が玩具と認識したモノに対して全ての権限を得る。生死すらが暇潰しの娯楽。自身が最低最悪な存在だと認識した証。



~同刻、妖狐の里~

「長の張った結界が消えた……?!」

「長が死ぬまで続く結界よ?!長が死んだっていうの?!」

「長は今日、遂に呪いを施すって……まさか!」

妖狐の里では里を守る結界が突如として消え、騒ぎとなっていた。

それもそのはず。オロが死んだことが里中に一度に知れ渡ったのだから。

さて、突然だが妖狐族は男が産まれない種族である。戦闘能力は高いが基本は守ることと隠れることに特化しているのが妖狐族で、つまるところ今現在、妖狐の里は他の種族から攻め入られた場合滅んでもおかしくないという状況である。

ただでさえ他種族からは男を拉致し、種だけ奪い殺してしまう妖狐族は憎まれ狙われているのだから、いつ攻められてもおかしくないのだ。


「私は長のところにいってくる……次代の長を決めなければ、私達は……星の支配者になるどころか、滅ぼされ存在しなかった種族になってしまう……!」


そうして、一人の妖狐が、オロの家(怪物の現在地)へと足を向けた。


~少し後、サキ視点~

「さて……どうしたものかのぅ……」

私は、これから先、どうするのか悩んでいた。どうせ死ねないのならなにもする必要はないのだが、それもつまらない。退屈は敵だ。あれこれ悩んでいるうちに、何者かが入ってくる音がした。


「長……?生きてらっしゃるんですか……?」


焦げ茶色の肩まではある髪を揺らしながら入ってきたのは、背の高い女性だった。この娘も妖狐族なのだろう。尻尾は不安そうに垂れ下がり、特徴的な頭の上の耳はプルプルと震えていた。

それにしても、どうやら儂の母親はオサと言うものだったらしい。名前がオサなのだろうかとふと考えながらも、折角なので(暇潰しに)返事をしてみることにした。


「お主の言う()()とやらは儂の下で胎を裂かれ死んでおるぞ?」


「……っ?!何者ですか?!」


「人に名を訊ねるときはまず自分が名乗るのが習わしと思っていたが……?まぁよい。儂の名はサキ、儂の下で無惨な姿を晒してる()()とやらの娘に当たるのであろうな?」


そう言うと相手は硬直した。理解できなかったのであろうか?それとも、親殺しを知って恐れ戦いたのか。


「さて、儂は答えたぞ?お主は何者じゃ……?」


「私は……私は……、カノと、申します……サキ様」


「ほう、カノ、カノか……なるほどなるほど。して、何用じゃ?此処には儂以外はおらんが?」


用があったのは()()とやらになのだろう。その用があるモノは物言わぬ骸だが。

それはそれとして、このカノとやら肝が座っている。目の前に(化け物)がいるのに恐怖を圧し殺して会話を続けようとして来るとは。


「あの……その……この里に張られた結界が突然消えてしまいまして……長であるオロ様に何かあったのではと……思いまして……その……」


ふむふむ、どうやら母親の名前は()()ではなくオロと言うらしい。であれば、長ということか。オロの娘サキと言うことだな。これの娘など成りたくなかったが。

ぶつぶつと呟いていると、カノは機嫌を損ねないかとビクビクしながらも


「あの……サキ様、ひとまず御召し替えをいたしませんか……?いえその、血と臓物で汚いとかいつまでも裸と言うのはどうなのかとかそういったことではなくてその……えっと……なんでもないです……」


と、言ってきた。確かに今の私は人と会話するような格好ではない。白金の髪は今や赤黒い液体で染まり、白磁の肌は赤黒い何かがこびりついていた。


「ふむ、確かに体は清めたいし服も欲しいの、案内してくれるか?」


そう言いつつ、退屈ヲ嫌ウモノ(ナイラトテップ)を発動させて生殺与奪の権利を握っておく。退屈は嫌いだが面倒はもっと嫌いだ。


「は、はいっ……ご案内いたします………。」


折角産まれたことだし、汚れた血にまみれているのも辟易としていたところだしちょうどいい。飽きるまではカノを使って遊ぶとしよう。作り物めいた私よりもよほど人好きのしそうなこの美人(カノ)に飽きることはなさそうだが。

そう思いながら儂はカノの後について行くのだった。

遂にサキの物語が始まりました、次話まではいわゆる前日譚的な意味合いがありますので、後少しシリアスが続くと思います。次回、「星が終わる日」をお楽しみに!


おまけ

オロ「妾の名前を間違われたあげくこれ呼ばわり……お母さん悲しい……」

作者「残念ながら当然です。さて、今回は妖狐族について解説しましょうか」

オロ「妖狐族は幻惑、結界、そして火を操ることに長けた種族だな。妾の狐火など町ひとつは落とせるぞ?」

作者「つまり逃げ隠れ、必殺の一撃を噛ました後、亀みたいに守りを固めるのが得意な種族です。また長く生きて、力が強くなると、尻尾の数が増えていき種族が変わります」

オロ「9本になると天狐族になるの。いわゆる九尾という奴だ」

作者「天狐族になってまた長く生き、力が強くなると今度は尻尾が減っていき、4本になると空狐族になります。ここまで来ると神の領域ですね」

オロ「妾の娘は既に神の力を持っておるようだがな」

作者「次回は神の力について解説しましょうか。ではまた会いましょう」

オロ「皆の衆、妾の娘をよろしくな」

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