地方の絶望的な話 ホワイト企業
地方ならではの怖い話です。
が、大雑把かつ、ちょっと大袈裟にしてますので、それを頭に入れておいて下さい。
地方のホワイト企業
昨今非常に大きな問題となっている『ブラック企業』ですが、定義的にどの様なモノかというと、極端かつ大雑把にいうと三つの条件のうちどれか(あるいは複数)を損なっている企業の事をブラック企業と呼びます。
一つは危険な仕事など、業務内容に対して危険手当や社会保険などが適用されていないといった、福利厚生の面。
一つは労働基準に定められた労働時間を大幅に超過しているなど、労働時間の面。
一つは県によって定められている最低賃金を下回っているなど、賃金の面。
この三つです。
では、地方でこの三つを完璧に守った、100%ホワイト企業に就職した場合を考えてみましょう。
その会社は自宅から徒歩で通えるほど近くにあり、給与形態は時給月給制。つまり、一時間辺りで給料を計算され給料日に支払われると言う、地方のさほど大きくない会社などでは非常に一般的な支払い方法です。
勤務時間は午前9時から午後5時の8時間(うち休憩1時間)、完全週休二日で祝日や定休日まで込みで月に20日の出勤日数と仮定します。
給料面でも、平成の時代(平成30年7月現在)には最低賃金は平均1000円を超える事はありませんでした。
全国平均848円と言う事は全国の半数近くの県がそれを下回っている事を考えると、時給1000円と言うのは地方では悪くない時給だと言えます。
ここまで書いていて、少なくとも労働時間と時給だけで見るなら就職してもいいと思えるくらいに素晴らしいホワイト企業と言えるでしょう。
問題はここからです。
時給1000円で実質7時間勤務、月20日出勤の場合、給料の総支給額は14万になります。
ここから社会保険や厚生年金、所得税、住民税、雇用保険などが引かれた金額が手取りの給料と言う事になります。
以前、有名な芸能人の方が『一人暮らしをしていない社会人はありえない』といった内容の発言があった事がありますので、一人暮らしの場合にはここから家賃や別払いの場合には水道光熱費などが引かれます。
また、食費も考えなければなりません。
仮に一食500円で抑えたとしても、一日3食、30日で45000円は食費で消える事になります。
ちなみに一食500円をコンビニで済まそうとすると、おにぎり+カップ麺+お茶やパン3個+コーヒーとか、弁当飲み物無しとかそれくらいです。
さらにケータイなどで連絡が付くようにしていなければ仕事に支障が出る事を考えると、ケータイ代なども支払わなければなりません。
仕事場まで非常に近い為に割愛していますが、地方での生活には車は欠かせません。
私は諸事情で車の運転をしていませんが、それだけで『人として致命的な欠陥品』扱いを受けるくらい地方では車は必需品と言えますので、人によってはガソリン代や車の維持費などもかかります。
ここまでが、おそらく最低限支払わなければならない出費なのですが、この時点で手元にいくらの金額が残っているでしょうか。
勤務先がホワイト企業なので、時間外手当や深夜手当なども無く、総支給額が最大の給与と言う事になります。
最悪交通費をもらうと言う手段もありますが、基本的に距離が離れていない限り交通費は支払われず、また交通費をもらえるくらいに距離がある場合、先述のガソリン代による出費も増えてくるワケです。
地方は物価が安いと思われていますが、それも土地や産地直送の野菜などが安いと言うだけで実際にはそれを実感する事は少なく、コンビニで売ってあるモノは都心だろうと地方だろうと値段は同じで、ジャンプが安く買えるとか課金ガチャが都心部より安く回せると言う事も無く、新刊などが発売日から数日遅れるのに買う時には普通に定価での売買となります。
欲しいモノも手に入りづらく、Amazonなどで簡単に手に入る様にはなったものの、当然そこには地方の物価の安さなどが介入出来る様なところではありません。
家賃なども都心より安いと思われていますが、上限が低い程度の話であり、ある程度の条件を整えようとすると、それなりの家賃を請求されます。
下手に観光地だった場合、利便性の悪さの割に都心部と変わらない様な家賃を請求される事も珍しくありません。
地方の若者に待っている明るい未来の実態は、こんなモノです。
この状態ではどれほど働いても貯金など出来るはずもなく、場合によっては遊興費などは一切使っていないのに蓄えどころか借金が増えていく事さえも考えられます。
完全にホワイト企業を仮定しても、コレが現実です。
もしブラック企業だった場合、絶望的な事態はこれの比ではありません。
仮に社会保険や厚生年金が適用されていない場合、社会保険より多額を請求されながら医療費は多く払わないといけない国民保険や、本当にその人の収入額から計算しているのかと疑いたくなる金額を請求される国民年金などを払わないといけなくなります。
もし体を壊して病院に行く事になった場合、ホワイト企業の時よりさらに出費は増えます。
労働時間が増えた場合、きっちり給与計算をしてもらえるところであれば最終的な給料の金額は増えますが、その分体には負担がかかります。
月間200時間を超えた辺りから疲労の蓄積は年齢に関わらず実感出来ると思いますが、300時間を超えると明らかにヤバいです。
過労死ラインが300時間とされていますが、こうなると家にいるより職場にいる方が長くなり、誰がどう考えても異常であるとわかります。
規定の労働時間を超過した分もきっちり手当をつけてくれる場合に限って言えば、一ヶ月は頑張れるでしょうが、長期間となると体力的にも精神的にも厳しいでしょう。
最低時給を下回る様な金額であった場合、この労働条件であればおそらく手取りの給料の金額は、その地方の生活保護で受けられる金額より少なくなると思われます。
と言うより、生活保護を受けられる側の方が良い境遇と言えるかもしれません。
人によっては『地方』や『田舎』と言うキーワードから連想されるイメージからブラック企業などは程遠いと思うかもしれませんが、地方になればなるほどローカルルールが厳しくなり、場合によっては法律より遵守されるべき鉄の掟と捉えられている場合もあるほどで、下手をすると都心部より地方の方がブラック企業が多いかもしれません。
当然と言えば当然なのですが、会社の上層部には中年以上の年齢の方が多く、それらの方々はより顕著にローカルルールを絶対視している傾向が強い事を考えても、地方での就職はブラック企業の見極めは非常に大事になってきます。
『勝ち組』や『負け組』と言う言葉がありますが、ホワイト企業や高収入な仕事などには一定の定員数と言うものがあり、就職希望者全員がこれらの仕事に就ける訳ではなく、一定数はこのような現実が待ち受けています。
では単純に給料を増やす事で事態は解決するでしょうか?
仮に時給を1500円に増量した場合、月にもらえる給料は20万を超える金額になりますが、仮に夏と冬にボーナスが出て、ボーナスが給料の三ヶ月分だったとすると総支給額は年間で400万前後の金額になると言う計算になりますが、そこまで跳ね上がった人件費を払える会社でしょうか。
従業員の数にもよりますが、まったく同じ条件の給料で20人雇っている場合には、人件費だけで年間1億円近くになります。
先の時給1000円の時と比べると、おそらく利益の全てを消し飛ばすくらいの人件費の高騰でしょう。
それに耐えられる地方の会社がどれくらいあるでしょうか。
高収入の仕事として思い浮かぶ中には工場勤務などもあるかもしれませんが、工場勤務の作業は相当特殊な技能や技術を持った人でも無い限り、新人がそれなりの仕事が出来るまで一週間程度で身につきます。
つまり、半年後の契約更新の際に昇給させるくらいなら契約終了して新人と入れ替えても、そこまで大きな問題にはならない事が多い為、安定して高収入を得るのは思いのほか難しいと言えます。
幽霊や妖怪の様な解釈の仕方によって姿形が変わる様なものではなく、これが地方の現実です。
若い世代が貯金を持っていないなどと言われますが、この状況下では日々の生活が非常に厳しいと言わざるを得ません。
必然的に実家で生活する人も増えてくると言うものです。
いずれ何らかの変化はあるでしょうが、それが明日や明後日に解決される問題ではない以上、この現実とはしばらく付き合っていく必要があるでしょう。
これらの問題が全て解決して、世の中からブラック企業が消え、皆が満足出来る給料を支払える会社が増える事を願います。
ですが、これらの問題よりさらに大きく、深刻な問題が存在します。
それに関わると本格的に流血沙汰となり、死人さえも出るほどに恐ろしい存在でありながら明確な対処法の無い、深すぎる社会の闇。
『人間関係』
それはここでは語らないでおきましょう。
実際にはもうちょっとマシですので、あまり悲観的になりすぎないで下さい。