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第91話


 ドラグノフとの模擬戦を始めて、約1時間が経過した。


「はぁ、はぁ、はぁ……クッソ、ドラグノフ強すぎだろ」


「これでも、我は竜だからな今のクリフ位なら人の姿でも簡単に倒せるぞ」


 地面に仰向けに倒れ、目の前で腕組をしているドラグノフに文句を返って来た言葉に少しイラッとして、「今日は、もうここまでにするか」と言って家に戻る事にした。

 家に戻り、流石に説教は終わったかな? と思いながらチラッとリビングの扉を開けて中を見るとまだ宙吊りにされている爺ちゃん達が見えたので直ぐに扉を閉めて、ドラグノフに腹が減ったか聞くと減ったと返って来たのでキッチンに向かい料理人の人達に場所を貸してもらい昼食を作る事にした。


「クリフは、飯も作る事が出来るのか?」


「うん、料理するの楽しいし、食べて貰うのが好きなんだ」


「そ、そうなのか」


 キッチンには、料理人の人達が居るので【子供モード】でドラグノフの質問に答えるとドラグノフは少し笑いそうになりながら返事をし、その後何も言わず俺の料理が出来るのを待った。

 今日作るのは、簡単に野菜スープとオーク肉のタレ焼、あと食後のデザートとしてホットケーキを数枚焼いて、出来上がった物をアイテムボックスの中に入れ、自室で食べる事にした。


 部屋に移動した後、テーブルの上にテーブルクロスを敷き出来上がった料理を乗せた皿を置いて行った。


「おお! クリフの料理、美味しそうだな」


「ありがと、まあまだレベル1のスキルだから余り美味しさ的にはまだまだだけど、食べれる位にはなってると思う」


「我の見立てでは、かなり良い出来なんだがこれでレベル1なのか?」


「ああ、というか今回作ったの何てただ野菜を切って煮込んだスープとタレを付けて焼いた肉だし、デザートのは前世の物だけどそんな大した物じゃないぞ?」


 そう言った後、ドラグノフが「な、なあ、まだ食べては駄目なのか?」とソワソワしだしたので「いいよ。でもちゃんと、いただきますは言えよ」というと、ちゃんと手を合わせて「いただきます!」と言い、食べ始めた。


「美味しいッ!」


「そうか、ありがとう。……はあ、このタレ肉食ってると米が食いたくなるな、ホント何処にあるんだよ」


「米? 米って、あの白い粒の様な物か?」


「知ってるのか?」


「うむ、というか我が持ってるぞ?」


 そう言って、ドラグノフは自分のアイテムボックスから大きな袋を1つ出した。俺はその中身を恐る恐る見ると中には―――


「米だッ!!」


「ッ、そんなに驚くような物なのか?」


「当り前だッ! これはな、俺の居た国では深く広く愛されている伝統の食べ物なんだ。俺がこの世界に来て、暇さえあれば探していた物の1つなんだよ。……ハッ! こうしちゃ、居られない。ドラグノフ飯は後だ、もう一度キッチンに行くぞッ!」


 俺は、出していた料理を全てアイテムボックスに入れ急いで部屋から出て行った。後ろからドラグノフの「我の飯が~!」という叫び声が聞こえた気がしたが、今はそれどころでは無いので気にせずキッチンに向かった。


「あれ? クリフ様、何かお忘れ物でもありましたか?」


「ううん、違うよ。ちょっと、ドラグノフがここじゃ手に入らない食物を持ってたからそれを使った料理をしようと思ってね。ちょっと、釜かしてもらってもいいかな?」


「はい、今は使っていませんので大丈夫ですよ。クリフ様」


「ありがと~」


 許可が下りた俺は、早速ドラグノフから受け取った米袋から約2合分の米を取り分け米を洗い釜で炊き始めた。準備をしている途中でドラグノフが来て「クリフ。我、先に飯を食べてても良いか」と聞いてきたが「もう少ししたら、もっと美味しく食べれるから我慢してて」と言ってお腹をグーグー鳴らしているドラグノフを放置して米が炊き上がるのを待った。

 それから、約一時間経ち炊き上がったご飯を釜からボウルに移し替えアイテムボックスに入れて自室に戻った。部屋に戻って来て、俺はご飯が入ったボウルを取り出し茶碗を2つ取り出し2つにご飯を均等に入れた。


「これが、さっきの米なのか? あの、小さい物がこんなに膨れるんだな」


「ああ、凄いだろ。それにこの米はな、さっき出した肉とかと一緒に食べると凄く合うんだよ」


 そう言って、俺は先程出した料理をテーブルの上に置き、もう一度「いただきます」と言って肉を一口食べ、その後にご飯を食べた。


「ん~、異世界に転生して約数年もっとかかると思っていたがこんなに早く米が食えるなんて、俺は何て運が良いんだ」


 そう言いながら、食べていると「そんなにか」という風な目をしたドラグノフが肉を一切れご飯の上に乗せそのまま食べた。


「おおっ!」


「どうだ、ドラグノフ。分かるだろ、この美味しさ」


「うむ、我もこのご飯と言う物が好きになったぞ」


 その後、俺とドラグノフはガツガツと肉、スープ、ご飯を自分の口に掻っ込み沢山あったご飯とその他の料理を食べつくした。

作者は、パンより米派です。

2017/12/27:米1合を2合に変更しました。

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