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第86話


「ヌォォォ、もう一回だ。」


「……その言葉既に10回聞いてるんですが、いつまでやらすんですか?」


「これが、最後だッ! それに、負けたまま終われん!」


 ドラグノフ(「さん」付けは止めた)とのリバーシーを始めてから既に数時間が経ち、既に辺りは陽が暮れかけていた。何試合も続けてやられ10回を超えた辺りから数を数えるのをやめたが、多分50回以上は続けてやっていると思う。その50回すべての試合を俺は、勝ち星を付けていた。

 前世では、暇な時に少しする程度だったから分からなかったけど俺は多分リバーシーが強かったんだと思う。思い出してみれば、正月とかに親戚が集まった時におじさん達に「今度こそ、勝つッ!」と勝負を挑まれているのを思い出した。まあ、全ての試合を勝ってお金を稼いでゲームに使ってたから、自分がリバーシーに強いのを忘れていた。


 途中、心配になったのか一度父さんが来たが俺とドラグノフとの戦いを見て「あっ、まだ見たいですね」と言って、Uターンして直ぐに帰って行った。爺ちゃんは、3試合位まで見てたが「儂、暇じゃから帰るの」と言ってレドルの杖を掲げ転移して消えた。


「じゃあ、もうこれで最後ですよ? 次、また同じこと言ったら一生しませんからね」


「うむ、我は約束は守る竜だ」


「……既に何十回と破られてんだよ」


 最後のは小声で言って、試合を始めた。


「ヌォォォ! 何故、勝てんのだ!!」


「はい、これで終わりです。もう、陽も落ちましたし俺は帰りますね」


 試合中、何度も「待ってくれ」「今の無し」を繰り返しされ陽が暮れかけていた辺りは、完全に陽が落ち真っ暗になっていた。幸い山頂で魔物は居ない、というか目の前にいる竜が負ける度にブレスを上空に打っていたせいか森に居た魔物の気配が殆ど感じなくなっていた。


「負けたままでは――」


「さっき言いましたよね? もう最後だと、自分は「約束を守る竜」と断言しましたよね?」


「うっ……」


 その後、「グヌヌ」と唸り声を出しているドラグノフを無視し、俺は下山した。そして、麓の村に戻った俺を門番さんは「村長の所でクリム様がお待ちです」と言われ村長の家に向かった。


「おかえり、クリフ」


「……ッ!」


「ちょッ!」


 村長の家の中に入ると、村長、アイザックさん、父さんが居て美味しそうな山菜が煮込まれたスープを飲んでいた。俺の敏捷では近づく前に避けられると思い、無詠唱を使い一瞬で鬼人化と強化魔法を使い更に強化した俺は、父さんの背後に俊足で移動し、続けて物理攻撃力を最大に強化した俺は父さんの顔面へと殴りかかった。


「チッ、仕留めそこなったか……」


「ちょっと、仮にも父親に本気の攻撃するのは笑い事では済まないよクリフ! 今の父さんが油断してたら大怪我してる所だったよ」


「油断しとけばよかったのに、それに笑い事で済まないのはどっちだよ。子供一人を生贄にして帰った父さんのが笑い事で済まないぞ」


 そう言うと、「あの時、ああするしか無かったんだから、それにさ危害を加えられた訳じゃないんだし許して」と父さんは謝って来た。


「クリフ、あの後何があったんだ? 俺、クリムに連れてかれた後、何も聞かされてないんだよ」


「ただ、暇な竜の遊び相手をさせられたんですよ」


 そう言うと、アイザックさんは「何でクリフに?」と言ったが、父さんから「まあ、今回の件については終わった事だし、明日は王都に帰るから早めに寝ようか」と大きな声で遮られ、アイザックさん結局何も聞かされなかった。

 そして、翌日麓の村の村長達に見送られながら王都へと向かっていると急に辺りが暗くなった。


「クリフ。我を置いて行くとは、酷いではないか」


「ドラグノフッ! 何で、付いて来てるんだよ?!」


「当り前ではないか、クリフが居ない所でリバーシーは出来ないであろう? それに心配せんでもあの村には住まわせてもらった恩もあるからのう。我の眷属を一匹置いてきたから、今後も魔物や盗賊に襲われる事は無いぞ」


 と何故か誇らしげにそう言ったドラグノフに俺は「別にその事じゃねえよ……」と小声で言って少し頭の中で整理をした。ドラグノフが現れて周りに居た騎士達やアイザックさん達は慌てていたが、俺は考え事に集中した。

 そして、ある事を思いついた。


「なあ、ドラグノフ。ドラグノフに乗って王都を目指したらどの位かかる?」


「王都? ああ、今リグルが居る所か、それなら数時間程度で行けるぞ?」


 それを聞いた俺は、ニヤっと笑い。横で俺の事を見ていた父さんが何故か「まさか」と言ったような顔をした。俺は、直ぐに馬車から飛び出し空歩を使い空を飛んでいるドラグノフの背中に乗った。


「ドラグノフ、至急王都に向かってくれ。お礼は、今日の夜5試合リバーシーに付き合ってやる」


「ッ! よし、行くぞクリフ!」


 俺は、父さん達が乗って居る馬車を見下ろし父さんと目が合うと「地獄が待ってるから、早く帰って来るんだよ」と言って、「いっけ~!」と合図を出し、ドラグノフは王都方面に向かって俺が今まで感じた事が無い程のスピードで飛んで行った。


リバーシーの腕前は、爺ちゃん〈 ドラグノフ〈 クリフといった感じの強さです。50試合の時もドラグノフは何回も「待った」を繰り返していましたが全てクリフ君の圧勝です。

 因みに作者は、ボードゲームはそんなに得意ではありません。

2017/12/19:ボードゲームの表記をリバーシーに変更しました。

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