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第81話


 商業ギルドに行った日から3日が経った。前日から用意をしていた父さんは、いつもより早くに家を出て行った。行く時に母さん達には「ちょっとの間、領地に行ってくるね」と結局母さん達には〝竜〟の事は伝えずに旅立った。

 そして、俺は朝食を食べた後、ガルフさんの工房に向かった。


「おはようございます。ケートさん」


「おはよう、クリフ君。頼んでいた剣、出来上がっているよ。中にどうぞ」


 工房前を破棄掃除していたケートさんに挨拶をすると、剣が出来上がってると教えてくれ、そのまま中に案内してくれた。


「ガルフさん、クリフ君が来ましたよ~」


「ああ、分かった。今、行くよ」


 ケートさんがガルフさんを呼ぶと、布で包まれている棒みたいな物を持ったガルフさんが奥の部屋から出て来た。


「おはようございます。ガルフさん」


「おう、おはよう。坊主、頼まれていた剣はちゃんと出来てるぜ」


「それですか?」


「ああ、ここ最近で一番の出来と言って良いぞ、ほら」


 ガルフさんは持って来た物を俺に渡してくれた。渡された俺は、包んでいる布を取り中身を確認した。出て来たのは、黒い鞘に入っている剣で鞘から抜いた剣を見て一瞬で業物だと感じた。


「坊主の場合、魔法も使うみたいだから魔力の伝達を良くする為に魔石を柄の所に入れて刃の所は、【魔晶石】を少し使ってる。値段的にこれが限界だったが、また金が溜まったらもっと凄い物を作ってやるぞ」


「ありがとうございます。ガルフさん!」


 ガルフさんの説明を聞きながら、俺は受け取った剣を見て「早く、これで戦いたい!」と思ってしまい。お礼を言った後、アイテムボックスから代金の残りを取り出し、ガルフさんに渡し、「試し切りに行ってきます!」と言って、工房を出て行った。


 工房から飛び出した俺は、急いで王都の正門へと向かい。門番さんに外に出る手続きをした後、探知魔法を使い魔物を探し近くにウルフが3匹居るのを発見した俺は強化魔法を使いその場所に向かった。


「とぅッ!」


 強化魔法で敏捷と物理攻撃力を上げていた俺は、見つけたウルフの頭部を速度を緩めず斬り次のウルフへ空歩を使い何も無い所を壁の様に使いターンし、2匹目のウルフの腹部を斬り、3匹目のウルフに作ってもらった剣を投げ、頭から剣を突き刺した。


「この剣、めっちゃ使いやすい! 前の剣より、断然軽くてそれでいて前のより切れ味抜群、魔法も瞬時に付与できたし、これで銀貨20枚って本当にいい物作ってもらったな」


 その後、少しだけ魔物狩りをした俺は気が落ち着き、一度家に戻る事にした。

 家に戻っていた俺は、目線の先に家の兵士の人達と奥の方で父さんが何やら困っている様子だったので行ってみる事にした。


「父さん、どうしたの?」


「ああ、クリフ。いや、アイザックに荷物を運んでもらおうと思ってたんだけど、アイザックが元から持っていた物が多すぎで入らなくて困ってるんだよ」


「いや、俺だって結構開けてたんだぞ? クリムが持って行く物を持ちすぎなんだよ」


 父さんに近づくと目線の先に袋に包まれた食料や衣服等が置いてあり数10袋置いてあった。


「なら、僕も付いて行こうか? その量なら入ると思うし」


「本当かい? そうしてくれると助かるよ」


 俺がそう言うと、困った顔をしていた父さんが笑顔でそう返答して来た。


「何だ、クリフはアイテムボックス持ってるのか?」


「はい、お爺ちゃんに昔スキル書を貰ったんです」


 そう言うと、アイザックさんは「リグル様も太っ腹だな」と言った。俺は、兵士の人達に袋の近くから退いてもらい袋を1つ1つアイテムボックスの中に入れた。


「おお、全部入ったな、クリフのアイテムボックスのレベルはいくつなんだ?」


「まだ、レベル4です」


「ッ! その歳でレベル4まで上げてるのか?!」


 アイザックさんは俺のアイテムボックスのレベルに驚いた後、「俺でもその年の頃は、レベル2だったのにな……」と少し悔しそうにしていた。


「あっ、でも行く前に母さんに言わないと」


「……行けるかな」


 父さんは、喜んでいた顔をまた困ったような顔に戻ってしまった。


「父さん、大丈夫任せておいて」


 そう言った俺に父さんは、「頑張ってくれよ。クリフ」と言って兵士さんとアイザックさん達は先に門の所で待って居て貰う事にして父さんと一緒に家に帰った。


「ねえ、母さん。僕も父さんと一緒に領地に行って来てもいい?」


「折角、ダンジョンから帰って来たのに……クリフ、お義母さんの事嫌いになっちゃったの?」


「そんな事無いよ。母さん! ただ、アリスもミケも居なくて1じゃ冒険者活動しても面白くないから父さんに着いて行って領地を見に行きたいなって思っただけだよ!」


 そう言った母さんは、目をウルウルとしながら今にも泣きそうになっていた。後ろに居る父さんを見ると「クリフ。これは、駄目かも知れないな」と小声で言われた。しかし、俺はどうしてもこの目で〝竜〟を見てみたいと思っている。この機会を逃したらいつになるか分からない。

 ……こうなりゃ、最終手段を使うしかないか


「か、母さん。か、帰ってきたら一緒にお風呂に入って上げるから……」


「本当に?! 絶対よ!」


「う、うん」


「それじゃ、言ってきていいわよ。クリム、もしクリフを危険な目に合わせたら許さないからね!」


「は、はい!」


 涙をためていた母さんは何処に行ったとか、「一緒に風呂に入る」と言った瞬間元気になった母さん、一瞬で行く事を許可してくれた。

 許しを得た俺は、父さんと一緒にアイザックさん達が待つ門へと向かった。


「その、ありがとなクリフ」


「いいよ。別に、それに竜を見るのには安い代償だよ」


「ねぇ、クリフ。もし、竜が良い竜じゃなかった場合、危険な目に合ってもし家に帰ったら父さんがリサラから怒られるんだけど?」


「……竜、楽しみだな」


「ちょっと! クリフ?!」


 隣で叫んでいる父さんを無視し、俺は歩き続けた。


散らかった部屋を片付けた後のスッキリした空間、この瞬間は好きなんですが掃除機掛けるのはめんどくさいんですよね。

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