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第8話

 レッドワイバーン襲撃事件から数日後、今日から何と母乳から卒業で飲みやすく栄養があるスープへと食事内容が変わった。味的には余り美味しいとは思えないがあの恥ずかしい母乳よりまだいいので俺はこのスープをたらふく食べた。


「クリフったら母乳の時よりたくさん食べてるわ。良かったわ、まだ早いかなと心配だったけどテーラの言った通りだわ」


「はい、奥様」


 その後、俺は味が微妙なスープを飲み干し「クリフ、お食事は終わりよ」と母さんに言われ俺は「きゃっ!」と言って飲み干したスープが入っていた皿をテーブルに置き母さんに抱っこされた。すると、今いる部屋の扉が開くと2人の女の子が入って来た。


「ねえ、お母様私もクリフ抱っこしたい~」


「あら、アリエス良いわよ。はい、落とさないようにね」


「うん! わぁ、可愛い~」


「あう、きゃ? (な、何だこの子は?)」


 扉から入って来た女の子は母さんから俺を手渡されて抱っこと言うか抱きつくように持たれた。


「私は、アリエスよ。クリフのお姉ちゃんよ~」


「アリエス姉さん、自分だけズルいです。クリフ君、私はエレミアお姉ちゃんよ~」


「あう~(う、2人の女の子に引っ張られて、い、痛い……)」


「アリエス、エレミア! 二人共クリフが痛がってるでしょ仲良くクリフを見られないならお仕置きするわよ」


 母さんの一言で俺の姉さん達はすぐに取り合うのを止め近くにあったソファに俺は姉さん達に挟まれる様に座らされた。姉さん達は見た目3歳位の女の子でアリエスと名乗った女の子は赤いドレスをエレミアと名乗った女の子は青いドレスを着ていた。

 姉さん達に0歳児(2カ月)の俺は何も抵抗できずハグやらチューやら色々とされた。まあ、こんな小さい女の子だったら前世でも親戚の子供を面倒見てたからまだ大丈夫だった。しかし、その行為は1時間過ぎてもず~と続いていた。流石にチューは無くなっても2人の女の子に交代でハグされている俺は少し疲れて来た。


「あら、クリフったらお姉ちゃん達に遊んでもらって眠くなったのかしらアリエス、エレミアもうクリフはお昼寝の時間だから寝かせないといけないわ」


「「はい、お母様」」


 姉さん達は母さんの言う事を聞き俺を母さんに返した。母さんは俺を抱っこするとメイドと一緒に俺の部屋へと連れて帰りベットに寝かされた。疲れていた俺はその後直ぐにグッスリと眠った。次に起きて窓を見ると外は陽が落ちて来ていて丁度母さんとメイドが迎えに来てくれた。夕食も昼に食べたスープの味が少し変わった物を食べることになった。


(そんなに、味変わってないけど母乳を飲むよりかは俺的にはこっちの方が断然いい)


 と考えていると母さんが「クリフは乳離れ早いな~、他の子達は今の時はまだ吸ってたのに…」と悲しそうな顔をしてそう言った。流石にその顔を見た俺は罪悪感を感じたがこんな美人の女性の乳を吸うのはいくらなんでも精神的にキツインです。


(許してください…)


 俺はそんな事を思いながら罪悪感と共にスープを飲み干した。夕食を食べた後、姉さん達と遊び疲れた俺を母さんがメイドと共に俺の部屋へと連れて帰りベットに寝かされた。そして俺はまた深い眠りへと入って行った。

 そんな日々を繰り返し異世界に来て7ヵ月位経った。外も大分涼しくなってきて日本で言う秋の季節に変わっていた。こう考えると俺が生まれたのは丁度春になった時期くらいだろう。そして俺は最近姉さん達と遊ぶ機会も増えその度練習していた【立つ】という行動がやっと今出来た。


「きゃ~! テーラ、クリフが立ったわ!」


「ええ、そうですね奥様。ですがパンを振り回さないでください」


「「クリフ!~」」


「あ、あう~(や、やったぜ~)」


 ようやくここまで来た。ハイハイから始めまだ使い物にならない足をなんとか鍛え掴まり立ちをしそれからまた練習を重ね今再び俺は地へ足を突いたのだッ!


(長かった。立つ要領は前世で何年も歩いたり走ったりしてたから分かるがまさか赤ん坊の足が成長するまでの間ここまで辛い道のりになるとは…しかし、俺はこれでやっと【歩く】ということが出来るのだッ!)


 俺はその事に感動し「あう~!」とVサインをして立って居ると姉さん達からパチパチと拍手を受け母さんは未だにパンを振り回していた。あっ、母さんがメイドから怒られている「パンくずをこんなに散らかして、奥様はしゃぐのは分かりますが…」と母さんはメイドから説教されていた。

 その後、俺は母さん達と一緒に庭に出て俺と姉さん達は追いかけっこをした。追いかけっこと言っても俺はまだ走れないので歩きながら姉さん達を追い姉さん達は俺に合わせながら逃げたり時には自分から捕まり俺が逃げる側になったりしていた。まあ、何回も倒れたがこんな事で泣くような俺ではないしまず防御力が成人男性並みにあるから痛くはなかった。また、持久力も自分の設定した数値+加護によって成人男性の3倍になっているので追いかけっこは長く続いた。


「あら、クリフお坊ちゃまもう歩けるようになったんですかい?」


「ええ、ボブさっき掴まり立ちを卒業したばかりだから時々倒れたりしてるけどね」


「凄いですね~、家の子が立つときは相当苦労しましたよ。まあ、あの子も今じゃ立派になってくれて嬉しいんですけどね」


「そうねボブの子供の噂は私も聞いているわよ。凄い功績残してるみたいだし親としては鼻が高いでしょ?」


「まあ、そうなんですけど何分何年も帰って来てないですからね功績の話より一度帰って来て顔を見せて欲しい物ですよ」


 ボブさんはその後「それじゃ、仕事に戻りますね」と言って裏庭の方へと消えて行った俺は偶々止まって聞いていたボブさんの言葉に対し


(ボブさんの子供、何してるか分かんないけど両親ぐらいには顔見せ位しろよな)


 と先程悲しい顔を見せたボブさんを見てそう思った。それから俺と姉さん達の追いかけっこは終わり家の中に戻り昼食を食べた。昼食後、姉さん達に絵本を読んでもらっているといつの間にか3人でソファの上で眠っていた。


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