第73話
ボスを倒した俺達は、その後ボス部屋ある死骸をアイテムボックスに入れ、またボスが出現する前に部屋を出て行った。ボス部屋から出た俺達は、そのまま急ぎ足で19層へと戻り休憩ポイントを目指した。
休憩ポイントに着いた俺達は、「ふ~」とため息をつきその場に座った。
「まあ、今回で良い教訓を得たな」
「うん、そうだね。僕達は、まだまだ弱いって事が分かったよ」
「私がクリフ君やアリスちゃんの危険を直ぐに察知しないといけないのに疎かにしてしまいました」
俺達はその後、反省会をして上層に向けて歩き出した。
帰る時は、行く時より一層緊張感を持つようにして油断をしない様に心掛けながら階段を上っていった。昼食は、食べやすいサンドウィッチを食べながら移動した。
上を目指して歩き第14層の休憩ポイントに着いた頃、俺の体内時計で時間を見ると夜に近かったので「今日は、ここで休もう」とアリス達に言ってテントを建てて貰う事にした。
「さてと、油断して見直さないといけない所があったが、一応は制覇記念として準備していた物を出すか」
そう俺は、準備しながら独り言を言い、料理の準備をテキパキと終わらせた後、ある2つの物を最後に取り出し、アリス達を待った。
アリス達がテントを建て終わり戻って来た。いつもの様にアイテムボックスから手拭きを用意して手を綺麗に拭き「いただきます」と言って食べ始めた。
「アリス、ミケ。一応、今日はダンジョン制覇記念としていつもより豪華な食事だよ」
と言って、夕食として出した物の横に置いていた蓋で中が見えなかった皿の蓋を2つ取った。
1つ目の皿には、【ハチミツ入りクッキー】で2つ目の皿には【手羽先】を入れてある。
「「わ~!」」
アリスとミケは、今までの食事より美味しそうな物が出て来て目をキラキラとして俺が開けた皿を見ていた。
「それじゃ、食べようか」
「「うんッ!」」
そう言った瞬間、アリスは手羽先を2つ両手に掴み食べ始めミケはクッキー1枚皿から取りリスの様にチビチビと食べ始めた。
「美味しい~、クリフ君。このお肉、美味しいよー」
「クリフ君。このクッキー、凄く甘いです!」
2人は、味の感想を言うと又さらに食べる速さをUPしてドンドン食べて行った。と言うか、ミケはあの食べ方でどうやってそんな早く食べているのか全く分からなかった。
「ま、まあ、俺も食べるか」
2人に全部食べられる前に俺は、手羽先と夕食として準備してあるスープを注いで食べ始めた。
「お腹一杯~、美味しかった~」
「私、あんなに美味しいお菓子食べたの初めてです~」
そう言って二人は、腹いっぱい食べて眠くなったのかそのままテントの方へと向かって言った。
まあ、あのまま直ぐに眠るだろうなと思った俺は、いつも様に使った食器を洗いアイテムボックスに片付けてテントの前に新しく椅子とテーブルを用意し、アイテムボックスから読み終わった無い本を出して読み始めた。
ダンジョン制覇して二日が経った。14層で泊まった俺達は、その後一気に7層まで戻って来て、またそこで一夜を過ごした後、連携を意識しながらダンジョンの入口に向けて進んで行った。そして、丁度昼頃俺達は、ダンジョン【ローアン】の入口に戻って来た。
「おや? クリフ君達、無事に戻ってこれたんだね」
「あっ、兵士さん。はい、無事に制覇してきましたよ」
俺がそう言うと、兵士さんは「へぇ~、たった数日でローアンを制覇したんだ。凄いじゃないか」と俺達を褒めてくれた。
「それじゃ、俺達はギルドに報告に行ってきますね」
「ああ、お疲れ様。ダンジョンでの数日は気を張りつめた生活だったろうから、しっかりと休養を取るんだよ」
兵士さんから、そう言われた俺達は、「は~い」と言ってギルドへと向かった。
☆★☆
クリフ達がダンジョンから戻って来た時、ダンジョン【ローアン】の警備をしていた一般兵、ズデンは顔には出さなかったがもの凄く驚いていた。
(たった、数日であんな子供が制覇したって、凄すぎるだろう。それに、入る前とは全く顔つきも雰囲気も変わっていた)
入る時は、無邪気な子供の顔をしていたクリフ達が出てくる時は、皆が【冒険者】の顔付きへと変わっていた。
「ハハハ、全く流石はって言えば、そうなるんだろうけどな……」
爆炎の魔女ことリサラさんと深紅の戦士ことクリムさんの息子、狂戦士アルティマさんの娘、旋風のシルバーさんの娘……
「そんな子供たちが一緒のパーティーを組んでるって、運命って凄いな……」
兵士のその言葉は、その場にいた小鳥以外誰も聞いて居らず、兵士はその後自分の仕事へと戻った。
11月18日(土曜)まで全部の作品を休止いたします。本当は、今週も休む予定だったのですが大賞の選考が近かったのでギリギリまで勉強と執筆を出来るだけ両立してましたが、流石にテストが始まる週なのでお休みします。