第67話
母さんの誕生日パーティから数日後、朝から俺は家のキッチンで色々と準備をしていた。
何故、朝から準備をしているのか? それは、今日から数日間ダンジョンに潜る予定なので、その間の飯を俺が作ってアイテムボックスの中に入れておくと言うのを数日前に決めてアリス達から食材費を貰っているので約三日分位を用意しようと考えている。
「クリフ坊ちゃん、本当に良いんですか? 私達が作りますよ?」
「良いんだよ。これは、ダンジョンで食べる様だから皆には関係無いから自分でやるから、皆は休んでていいんだよ」
「いえ、しかし……」
「良いんだって、それに料理は今の内に慣れておかないと冒険者続けていけないからね。ほらっ、皆は自分の事してて」
そう言って、いつも俺達の食事を作ってくれている料理人の人達を自分のスペースから追い出した俺は、買ってきた食材を調理を始めた。この世界の調味料は、大体が日本とほぼ変わらない。この家に無い調味料で言えば、醤油くらいかもしれない。
実際、前世ではそんなに料理はしなかったけど【記憶の書庫】のおかげで調理法は、日本の作り方を真似る事が出来ているので多少うまいだろう。調味料も【記憶の書庫】を使えば、何が無いとか、どうやったら作れるか分かるが、別に今は必要が無いし。今、この家にある調味料で今回持って行く料理はできるから、別に良いと考えた。
調理を開始して、約1時間朝早く起きたおかげで料理人さん達が働く時間より前に終わることが出来、使ったものは魔法で全部綺麗に洗い。最後にキッチンを使わせてくれた料理人の人達にお礼を言うと「クリフ坊ちゃん、その料理の腕何処で習ったんですか?」と驚かれた。
いつも通り、「爺ちゃんに」と言うと余り納得していない様な顔を料理人の人達がしたが、気にせず俺はキッチンを出て行き。朝食は序に作ったサンドイッチを食べながらリビングに行くと既に起きていた母さんと爺ちゃん達に「おはよう」と挨拶し、リビングのテーブルにサンドイッチが乗っている皿を置き椅子に座った。
「そう言えば、今日からダンジョンに数日潜るんでしょ? 準備は終わったの?」
「うん、さっき最後の準備の料理も作ったから大丈夫だよ。ポーションもこの前買っておいたし、万が一の使い捨ての魔石も準備してるよ」
「準備万端ね。でも、余り無茶はしちゃだめよ。一番難易度が低いダンジョンでも、そこは危険なダンジョンなんだからね」
「分かってるよ。母さん」
心配してくれている母さんの横で爺ちゃんから「早く、Aランクまで上がって来るんじゃよ~」と言われ、その言葉に母さんが「クリフは、まだ8歳なのよ……」と怒っていた。
これは、長引くだろうなと思った俺は「そろそろ、行くね」と言ってそそくさと家を出て行った。出て行く時、爺ちゃんから「助けてくれ」と言うアイコンタクトがあったような気がするが、気のせいだろう。
「アリス達は、まだか。先にレインさんに挨拶をしておくとしようかな」
待ち合わせ時間より大分早く来た俺は、ギルドの中に入りレインさんが立って居る受付の所へ向かった。
「おはようございます。レインさん」
「おはようございます。クリフ様。今日は、お1人なんですか?」
「いえ、後からアリス達も来ます。ただ、今日からちょっと数日間ダンジョンに潜ろうと考えていますのでそのご挨拶をしておこうかなと思ったので」
そう言うと、レインさんは「ダンジョンは危険な所なので寝る時は交替で寝たりしないといけませんよ。それに魔物はいつどこから来るか分りませんので索敵は何回も行う様にしないといけませんよ」と警告された。
「……あれ? クリフ様方は、【ローアン】の下層15階まで攻略してますよね? 泊まり込みでの攻略ですか?」
「はい、攻略と言えば攻略なんですがまだ簡単なダンジョンで色々とこの後の冒険者活動で有益な経験をしておこうかなと思いまして、今回は泊まり込みでダンジョン探索をしようかなと思ったんです」
「なるほど……そうなりますと数日後、ダンジョンから帰還なさいましたらダンジョンで手に入れた魔物の死骸や素材をギルドにお持ちになるんですか?」
「そうなりますね。数日間溜めた素材、やっぱり分けて持ってきたほうがいいでしょうか?」
俺がそう聞くとレインさんは、「そうしてくださいますと我がギルドの受付嬢が倒れずにすみます」と言われたので「数日に分けますね」と言うと「ありがとうございます」と深々と頭を下げられた。
その後、待ち合わせ時間になってアリス達が到着し、俺達はダンジョンを目指し歩いて向かった。
何とか投稿出来ました。




