第62話
ダンジョン探索を再開した俺達は、順調に下層へと進み第5層のボス部屋の扉の前に来ていた。ボス部屋前には人は居なかったので俺達は、装備の確認だけして中に入った。
「あれは、ゴブリンリーダーとその仲間だな」
「ホントだ、ゴブリンリーダー初めて見たけど他のゴブリンより少し体格が大きいね」
ボス部屋に入ると中央にゴブリンリーダーとその仲間であるゴブリンが5体居た。中に入って直ぐアリスがそんな感想を言い、ミケも「ゴブリンのおっきくなった感じだね」と言った。
そんな2人に「初めてのボス戦だし、気を引き締めて行くぞ」と掛け声を言い2人に強化魔法を掛けた。
「アリスは、魔法を使ってでもいいからゴブリンリーダーをゴブリン達から離し、俺とミケでゴブリン達をやっけるぞ」
「はい」
「分かったよ。クリフ君」
俺が指示を出すと、アリスは強化魔法で強化された足の速さでゴブリンリーダーの近くに寄り魔法で誘き寄せた。ゴブリンリーダーに付いて行こうとしたゴブリンに対し俺とミケで俺達の方へ誘導しアリスとゴブリンリーダーのタイマンをさせた。
「よし、ミケ退いて」
「はいッ」
俺がミケに合図を出すとサッと後ろへ後退した。ミケが退いた事を確認した俺は、作った魔法をゴブリン達へ放った。ゴブリン達は、俺の魔法を食らって全滅した。
アリスの方のゴブリンリーダーも同じタイミングでアリスがゴブリンリーダーの頭を跳ね飛ばし、楽々と初めてのボス戦は勝利に終わった。
「ゴブリンリーダーの根術何レベルだったんだろう。僕の攻撃を弾いたりしてたから結構レベル高かったみたいだけど」
「そうなのか? まあ、でも初心者用のダンジョンの一番最初のボスだしそんなに高くないんじゃないか?」
「そうかな~? まあ、勝ったし良いか、それでどうするクリフ君? このまま、下層に潜る?」
「いや、今日の所は止めておこう。ゴブリンリーダー達の素材を確認したら来た道を戻ろうか」
俺がそう言うと、アリスとミケは「はい」と返事を返し、ボス部屋にある素材を集め俺がアイテムボックスで回収した。そしてその後、俺達は来た道を戻り出会った魔物は全部倒しながらダンジョンの入口を目指した。
「おや、結構長く潜ってたね? どうだった、初めてのダンジョンは?」
「はい、意外と楽しかったですよ。また、今度来ようと思います」
「それは、良かった」
門番さんと軽くそう話した後、俺達はダンジョンから出て行き素材を買い取ってもらうためにギルドへと向かった。
ギルドに着いた俺達は、レインさんの受付に行き「ダンジョンの魔物の素材を買い取ってほしいです」と言うと、いつもの採集して来た時の受付の所に移動してね。と言われたので俺達は、言う通り移動した。
「クリフ様、アリス様、ミケ様。初めてのダンジョンはどうでしたか?」
「楽しかったし、3人の役割を練習する良い場所として活用できそうです」
「そうですか、それは良かったです。それで、今回の買い取ってほしい素材はどの様な物ですか?」
「はい、まずゴブリンの死骸をそのまま持って帰ってきているのですが、ゴブリンの素材って何かありますか?」
そう聞くと、「そうですね。ゴブリンに関しては、余り良い活用法が未だ見出されていませんので今の所ゴブリンの数体に1体の確率で出ます魔石位ですかね」と言われた。
「その魔石って、ギルド側で解体して取り出してもらえますか?」
「はい、出来ますよ」
「そうですか、ならゴブリンの死骸の解体お願いしても良いですか? あと、この間の依頼の時のゴブリンの死骸もあるんですがそちらも出して宜しいですか?」
そう聞くとレインさんは小さな声で「ヒッ」と言うと咳ばらいをし、「しょ、少々お待ちください」と言って奥へと消え、奥から喧騒が聞こえしばらくたってレインさんが戻ってくると「だ、大体何匹くらいでしょうか?」と聞かれたので俺は、アイテムボックスの中に入れたゴブリンの数を【記憶の書庫】を使って何匹入れたか確認をした。
「えっと、200は超えてます」
「……は、はい。分かりました。ですが、ここでは少し置くスペースがありませんので地下の倉庫で出してもらえますか?」
「分かりました。あっ、それとウルフの死骸とスライムの核もあるんですがそちらは、どうしたら?」
そう聞くとレインさんは「す、すみません。ゴブリンの死骸だけお願いできますでしょうか?」と涙目で言われたので俺は「は、はい」と返し、地下に連れて行かれゴブリンの死骸だけを出してギルドから出て行き今日の冒険者活動は終わった。
地下から出る時、着いて来ていたレインさんの手伝いをする受付の人達が死んだ魚の様な目をしていた気がするけど気のせいだろう。
ギ、ギリ……