第42話
王都から出て、数十分歩いた先にある森に俺とアリスは、依頼の目的である。魔草を探しに来ていた。魔草は、昨日の薬草とは違って余り生えておらず群生地も中々見つけれずに王都から出て数時間が経過していた。
「う~ん、薬草とは違って中々見つかんないね~」
「そうだな、まあ100本少ししか見つけれないからな……やっぱ、もうちょっと奥に行って見るか?」
「でも、レインさんが奥に行ったら魔物が沢山、出るよって言ってたよ?」
アリスの言葉を聞き、「魔物か」と呟いた。3歳の頃、爺ちゃんに連れられて山で修行していた時に魔物に出くわした時は、爺ちゃんが倒してたから俺は今まで一度も魔物を倒したことが無い。(魔物を倒してないのに、レベルが36で最高能力値が12000超えているのは、普通はおかしいけどな)
「戦ってみたいって気はあるんだけど、そろそろお昼頃だし、今日の所はこれでおしまいって事で王都に帰るか?」
「うん、僕もちょっとお腹空いてきたな~って思ってたから、そうしよう!」
俺達2人は、考えが同じだったようで最後に見つけた魔草をアイテムボックスに入れて、王都へと帰還した。
王都に戻ってきた俺達は、依頼報告の為にギルドへと向かい、ギルドの中に入り、素材受付の所へ向かった。
「おかえりなさい。クリフ様、アリス様。依頼達成の報告でしようか?」
「はい、そうです」
レインさんは、俺の返事を聞くと下の台から箱を取り出した。俺は、その中にアリスと一緒に採って来た魔草、約100本を箱の中に入れた。レインさんは、その量に昨日と同じ様に驚き「しょ、少々お待ちください」と言って奥に消えた。そして、昨日より時間掛かってレインさんは、布袋を持って帰って来た。
「クリフ様、アリス様。今回の魔草の数は、計117本状態も全て最高でありました。こちらが報酬金になります。中には銀貨2枚と銅貨16枚入っております」
「そ、そんなにですか?」
「えっ、僕達そんなに稼いだの?!」
報酬金額が考えていたよりも多かったので、俺とアリスは同時に驚き声を上げた。
「はい、クリフ様方が採ってきました魔草は、どれも品質が最高でして数も沢山ありましたので、その報酬金になります。何故、魔草がそんなに報酬金が多いのかの理由につきましては、魔草は一度とった場所にもう一度生えるまでかなりの期間を要します。なので、見つけるのが凄く困難な物なのです。しかし、魔草は色んな薬に使用される物で需要があり報酬がその様に多いのです」
レインさんの説明を聞き、未だ驚きつつも布袋を受け取りアイテムボックスに入れると、本当に銀貨2枚と銅貨が16枚入っていた。俺はそれを半分にし、アリスの分を渡した。
アリスは、驚きつつも「武器に一歩、近づいたね」と喜んでいた。アリスは、冒険者に成る前に片手剣を一応買ったのだが、その剣は俺と冒険者に成る準備をしている時に武器屋が安売りしていたのを見つけ購入したのだが、アリスにはその剣が合わなかったようだ。しかし、冒険者でお金を稼いで新しく剣を買うと別の目的を掲げて、今お金を貯めているらしい。
俺も同じ剣を使っているが、未だ試し斬りをしていないのでよくわからないが、当分はこいつで俺は良いかなと思っている。
「アリス様、もし武器の購入を検討しているのでしたら、商業区にあります【ガルフの工房】というお店を見てみたらどうでしょう」
レインさんは、俺達に近くによってと手招きしてお店の場所を教えてくれた。商業区に入り右手側の5番目の店と6番目のお店の間の路地を通り2本目の左に行ける道の先にあると教えて貰った。どんな、隠れた名店だよと俺はツッコミを入れたくなった。
「えっと、何でそんな複雑な所に工房があるんですか?」
「それはですね。元は、大通りに店を構えていたのですが人気過ぎて、人が多くなり武器の供給がまに合わなくなり、店を移動させたんです。今は、店長であるガルフさんの知り合いか、こうしてギルドで紹介する人以外は行けないようになっています」
レインさんはそう言った後、「少し待って居てください」と言い、奥の部屋に行き、数分後封筒をもって帰って来た。
「こちらを、無くさないように持って、先程教えたお店の場所に行ってください。そして、店から店員が出て来ましたらこの封筒をお見せ下さい」
そう言われて、俺はアリスの分も預かりアイテムボックスの中に入れた。
「ガルフさんの所は、値段もお安いので冒険者を始めたアリス様でも購入しやすい物ばかりですよ」
と言われたアリスは、「クリフ君。行こう!」と言われ。ギルドの建物から速足で出て行くと、商業区へと目指して早歩きで移動する事になった。
商業区に着き、教えて貰った道順で行くと小さな看板に【ガルフの工房】と書かれた所を見つけた。




