表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/192

第34話


 兄達と初めて話してから、数日が経った。俺は、まだ王都の家で暮らしている。俺的には、早く別荘の方の家に帰りたいのだが、クールベルト家の負が無くなり、家族が1つになったから暫くは一緒に暮らしましょう。と母さんが提案し、それに姉二人と兄達、、そして伯爵家の方達も賛同した。

 結果、兄達の学園が丁度、春休みとの事で大型連休が終わるまでの約20日位を王都で過ごすことになった。


「どうしたんじゃ、クリフ。別荘では、あんなに「魔法の練習、魔法の練習」と連呼して儂を連れまわしていたのに、最近大人しいの」


 王都の家の自室で父さんから借りた〖ショーラン王国建国物語2〗と言う本を読んでいると、部屋の開けていた窓から爺ちゃんが入って来て、そんな事を言ってきた。


「爺ちゃん、それは「今日も、弓の練習だ!」って言って山ばっかり行くから、言ってた事だよ。それと、俺が大人しいのは、父さんから俺が王族に転生者ってバレた可能性があるから、大人しくしてるんだよ」


「ふむ、確かにレグルスは、中々勘が良い奴じゃからのう。クリフが転生者だと薄々勘づいているのかもしれんな」


「うへぇ、マジかよ。じゃあ、尚更俺は大人しく王都では生活するから、爺ちゃんも邪魔しないでね」


「……クリフ。お主、この20日間を乗り切れば良いと思っている様じゃが、クリフが通う学園は、この王都にあるんじゃぞ? 1年後、学園に入学し、卒業までの3年間をそうして陰で細々と生活するのか?」


 爺ちゃんから、そう言われた俺は、確かに3年間細々と生きるのは辛いけど、それ以上に王家には捉まりたくない。そう、考えていると爺ちゃんが俺の頭を撫でた。


「安心せい、レグルスや現国王は儂とは敵対したいとは思っておらんから、クリフが転生者だとバレても奴等は手が出すことはできないんじゃよ。もし、手を出したら儂が黙っていないからのう」


「……前々から、思ってたんだけどさ爺ちゃんっていったい何者なの? こんな、大きな国の王家にあんな態度を取れるとか、普通の爺ちゃんじゃありえないよ?」


「まあ、昔色々とやってきたからのう。リヒトからも聞いたじゃろ? まあ、今じゃ隠居したただの爺じゃよ。」


 『ただの爺』ね、何処がだよ! って、叫びたい。何処に何百人の兵士を1人で撃退できる『ただの爺』が居るんだよ。んでもって、勇者一行に参加とか聖獣を召喚獣として契約してるとか、そんなのがただの爺なんて言うなよ。


「はあ~、まあ今は、大人しく過ごすことにするよ。それに、この本もちょっと面白いから続き見たいし」


「んっ? ああ、その本か、途中で儂の名前出るぞ」


「……ネタバレするなら、出て行ってくれないかな?」


「す、すまん、じゃからそんな目で見ないでくれ! そ、そうじゃクリフ。今日、リヒトが暇してるから魔法の練習に付き合ってくれると言っておったぞ」


 爺ちゃんから、そう言われた俺は、本にしおりを挟み閉じて部屋の机の上に置いた。


「そんな、大事な事を忘れないでよ! ほら、行くよ爺ちゃん!」


「……なんじゃ、さっきまであんなに大人しそうに本読んでおったくせに」


「バレない、結界があるなら別」


 そう言って、爺ちゃんを置いて俺は部屋から出て行き、リヒトさんが待って居る裏庭へと向かった。既に裏庭には、リヒトさんが待って居たので「すみません、爺ちゃんと話をして遅れました」と謝った。

 リヒトさんは「いいですよ。さあ、既に用意は出来てますから結界の中に」と言われ、空から飛んで来た爺ちゃんと一緒にリヒトさんの後ろを付いて行くように中に入った。


「それじゃ、はじめるとしようかのう。クリフよ」


「うん、それで最初は何するの?」


「……ま、まずはクリフの得意な属性から撃ってみるのじゃ」


「……何も考えて無かったな、爺ちゃん」


 直ぐに反応しなかった爺ちゃんに対し、そう言うと「ちゃ、ちゃんと考えておるぞ!」と焦ったように言い返して来た。まあ、それを信用して俺はまず最初に聖属性の魔法を放ち、その後に続けるように他の属性の魔法を一通り放った。


「ふむ、やはりレベルMAXの属性の魔法は誰が使っても、良い魔法なんじゃが。クリフの場合、ポイントで無理矢理挙げたせいで技能としては、全然だめじゃのう」


「うん、それを解消するために爺ちゃんに魔法の練習を手伝ってもらいたいんだよ」


「うむ、まあ1つの属性の魔法を学べば、他の属性も上手く使えるようになるしのう。回復魔法は、儂は無理じゃが攻撃魔法は任せるのじゃ」


「お願いね、爺ちゃん」


 爺ちゃんから、次にやる事を指示され、それに従う様に俺は行動をとり、気づけば陽が落ちかけていて夕暮れ時になっていた。


「さてと、今日はこの位にして終ろうかのう」


「……もう、魔法打てない、きつすぎ」


「それに慣れたら今後、、魔法を撃つとき消費量が少なく調節できるようになるんじゃから今は辛抱するんじゃよ」


 そう言われたが、流石に数時間魔力をずっと一定の量を掌に集め続けるのは、今の俺に取ってきつかった。その後、家に戻った俺は、夕食を食べ風呂に入り、姉さんと兄さん達から「遊ぼう!」と言われたが、昼間の修行で疲れていた俺はそれを断り、睡眠を優先した。今日は、ぐっすり眠れそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ