第33話
次の日、順調に回復した父さんは王宮へと呼ばれ、付き添いとしてリヒトさんが付き朝早くから出て行っていた。家の留守番している俺は、姉さん達と朝ごはんを食べた後から、裏庭で爺ちゃんに遊んでもらっていた。
そして、お昼頃、父さん達が帰って来た。父さん達が帰って来る時、伯爵家の方で安静にしていたナターシャさんと伯爵のリバル様、それとまだ名前を知らない兄2人もうちのリビングで話し合いに参加する事になった。
「えっと、まず、ナターシャの今回の【悪魔】の件については、お咎めは無い事が決定された」
「……良かった。ありがとうございます。クリムさん」
「「お母さん……」」
一カ月前に王様達が、言ってたことが本当になったようで、ナターシャさんと兄2人、そして伯爵様が笑って喜んでいた。
「次に、今回の戦争で帝国は、地の底まで追いやられた事で国として崩壊、元帝国領地だった場所は、2分割にし聖国と王国が分けて、商業国は帝国で生け捕りにした帝国兵士達を奴隷としてもらい受ける事、そして新たに土地として手に入れた場所との貿易の関税を安くすることが決定した。一応、この事は今回の戦争で深く関わった貴族だけが知ることが出来る情報だから、他言はしないようにね」
「1つ良い? 帝国に住んで居た人達は、どうなったの?」
父さんの話を聞いた後、母さんがそう質問した。
「今回の戦争自体、帝国のトップの人達が秘密裏に進めていたらしく、元々帝国民自体が帝国のやり方を非難していた人達が殆どで、今回の2分割にした土地にそのまま住んでもらう形になってるよ。元々、数年後には反乱が起きる予定だったらしいから、どのみち今回の戦争がなくとも帝国は一度、崩壊する未来だったしね」
「そうなの、良かったわ。帝国にも、知り合いが居るから心配だったの」
母さんは、父さんのその説明に安心し、お茶を飲み一息ついていた。その後、話が終わり、お昼も回って昼食の時間になってきていたので、伯爵様も交えて家で食べて行って貰う事になった。
「ちょっと、クリフ。いいかい?」
「んっ?」
昼食を食べ終わり、トイレに行ってくると母さんに言ってリビングから出ると、俺の後を着いてきた父さんに話しかけられた。
「どうしたの?」
「ちょっとここでは、話せない事だから書斎の方に来てくれるかい?」
「いいけど、その前にトイレ行ってくるね」
「うん、分かったよ。それじゃ、部屋で待ってるよ」
もう既に、我慢の限界地点まで来ていたので、父さんにそう言って早歩きでトイレに向かい、用を足し手を洗って、書斎へと向かった。書斎に入ると、父さんは既に部屋の中にあるソファに座って待って居た。
「それで、話って何?」
「……クリフ。多分だけど、レグルス様に転生者だとバレたかもしれない」
「ッ! マジか、一番関わりたくない人達のトップに……」
「いや、まだ完全にバレた分けでは無さそうなんだよ。ただ、今回【悪魔】の処理や、戦闘に参加していた実績で少し違和感を覚えられてる可能性が高いんだよ」
父さんの話を聞いて、確かに今回3歳児とは思えない行動を、いくつか起こしてしまっている。
「暫くは、また別荘で暮らそう」
「うん、その方がいいね。でも、来年からは学園に通わないといけないよ」
「……年相応の態度を勉強しておく、それと学園では優等生は目指さず陰に徹するよ」
「学園生活は、私的には楽しんでほしいけど、まあ、頑張れ。クリフ」
その後、リビングに戻った俺は、姉達が兄達と話をしていた。どうやら、姉達は前に兄達と会っていたようで「クリフも、来て~」と呼ばれ、その場所へと行った。そして、初めて兄達と話をして、名前を聞いた。一番上の兄は、THE優等生と感じるようなオーラを発していた。歳は、俺と3つ離れていて6歳、名前はレリックと言う。
2番目の兄は、外でいつも遊んでいる子供の様に日焼けしていた。歳は、俺の2つ上の5歳、名前はクラリスと言う。
「よろしく、レリック兄さん、クラリス兄さん」
と笑顔で言うと、兄2人(何故か、兄達の横に居た姉達と、見守っていた母さん、テーラさん)が悶絶していた。
「ど、どうしたの?!」
「な、何でも無いよ。クリフ、ちょっとクリフの笑顔が可愛かったから少しね」
「クリフ。本当に男の子だよな?」
と兄2人にそう言われた俺は、「ボ、僕は男の子だよ?」と返した。尚、兄さん達は復活したが姉達と母さん達は未だにもだえ苦しんでいた。