第26話
また、姉さん達が入って来たのかと思ったが、部屋の中に入って来たのは爺ちゃんと父さんだった。
「すまんな、クリフ。こんな、夜遅くに起こしてしまって」
「ううん、別にいいよ。それより、どうしたの? 父さんも連れて」
「……クリフ、君は転生者で間違いないよね」
「えっ?」
突然、父さんから迷いなくそんな事を言われた。俺は、素で驚き爺ちゃんの方を見るとフルフルと首を横に振っていて、教えた訳では無かったようだ。
「な、何転生者って?」
「流石に、あれだけの魔法を使っていて気づかないわけないでしょ。確かに、生まれ持って凄い才能を持って生まれる子供も確かに稀に居るけど、クリフがその子供たちより異質なのは、今回の戦いで分かったよ」
「……はぁ~、いやまあいつかはバレると思ってたけど、早かったな」
「そっちが、クリフの素の話し方だね? って事は、転生者と言う事は確定かな?」
その問いに俺は「そうだよ」と返した。
「そうか、ならあの夢は、これの事を言ってたんだな」
「夢って?」
「ああ、4年前、まだ私が魅了に深く罹っていない時に夢で白く輝く人に「主達に託す」という言葉を聞いたんだよ。多分、あれは神様でクリフの事を頼んだと言ってたんだと思うんだ」
おいおい、神様。それって、いずれ俺が転生者だと分かるようなヒント出してんじゃないよ。いつかは話す予定だったけど、早く気付いたら俺の生活にも色々と関わるんだからさ
「それで、父さん。転生者である俺はどうしたらいい?」
「どうするって?」
「いや、この家から出て行けとか、本当の子供は何処だとか言わないの?」
「……クリフ、私はね転生者であろうが普通の子供であろうがリサラから生まれた君は、私の息子だよ。出ていけなんて言わないよ。それに、本当の子供と言っても多分、クリフが居なかったら私達には子供が出来てないと思うんだよ。人間とエルフ、子供の出産率が非常に少ない組み合わせな僕達の中で子供が出来た時点で奇跡なんだから」
そう言いながら、俺をベッドから出し、抱っこして強く抱きしめた。
(これで、バレて家を追い出される心配が無くなったから、良しとするか)
心の中でそんな事を考えていた。
「それで、クリフ。君は転生者の中でも強い部類に入るよね?」
「ん~、まあ、そうだね。一応、歴代の転生者の中で一番ポイントを貰って転生して来たから」
「そうなのかい?」
「と言うか、クリム。今のお主でも少し本気を出さないと手を抜いてクリフと手合せしたら負けるぞ?」
爺ちゃんが言った言葉に対して父さんは「えっ?!」と驚いて俺の事を見た。
「ま、まあ、ちょっとステータスが異常に伸びが良くてね。……」
「クリフはな、1レベル上がるだけで最高300の能力値が上がるんじゃよ」
「嘘ッ?!」
「爺ちゃん、ちょっと黙ってようね」
ペラペラと俺の事を話している爺ちゃんに対し、光魔法を顔の横にピュンっと放った。
「おお、怖いのう~」
「……まあ、それでも明日ちょっとクリフ、私と手合せしてくれるかい?」
「良いけど、母さんが知らない所でやらないと、父さん殺されるよ」
「そ、それは分かってるよ。私の知り合いの家が大きな訓練場を持ってるから、そこを貸してもらう様に既に手配してるから」
「なら、大丈夫だね。あっ、母さんにはまだ転生者って教えてないから、母さんの前ではいつも通りに喋るからね」
その言葉を聞いた父さんと爺ちゃんは「分かった」と言って了承してくれた。その後は、もう夜も遅いので眠りにつき次の日の戦いに備えた。
そして、次の日、朝食を食べた後、爺ちゃん達と出かけると言うと母さんが一気に不機嫌になって「今日も、クリフをどこか連れてくの」と言われた。
「うん、父さんに王都を見せてって、頼んだの!」
「そうなの? なら、私も行っても良いわよね?」
母さんが言った後、姉さん達も「私達も行く!」と言ってきた。
「母さん達は、お留守番してて欲しいな」
「なんで、クリフ? 母さん達と街に行きたくないの……」
「ううん、えっとね。母さん達にプレゼント買おうと思ってるから、着いて来てほしくないの!」
俺がそう言うと、母さん達は「分かった」と付いて行きたいと言っていたのが嘘の様に気分良く俺達を家から出行くのを見送ってくれた。
「た、助かったよ。クリフ」
「貸し1、だからね。まあ、でも母さん達にプレゼントは以前から考えていたから丁度いいしね。まだ、朝早いから先にプレゼント選んでもいい?」
「ああ、父さんは先に知り合いの家に行ってくるから後で合流しようか、義父さん、クリフを頼みます。後で広場で合流しましょう」
「うむ、分かった。それじゃ、クリフ街に行こうかのう」
「うん、じゃあね。父さん~」
そう言って、俺達は二手に分かれて行動する事になった。途中で爺ちゃんから、「クリフ、そう言えば金は持っておるのか?」と聞かれた。
「へへへ、帝国兵を倒した時に金持ってたから貰ってたんだよ」
「……ちゃっかり、しておるのう。儂なんて、倒す事しか興味がないからそう言うのには気が付かないのう」
「それに、3歳までのお小遣いも貯まってるから、普通に買えるよ」
その後、街を探索しに行った俺と爺ちゃんはプレゼントになりそうなアクセサリーを売っている店に入り、母さんにはネックレスを姉さん達には赤と青のブレスレットを購入した。それと、いつも母さんと行動してるテーラさんにも何か買って行こうかなと考え、確かテーラさんは赤色が好きと言っていたので赤色のヘアバンドを購入し、店から出て待ち合わせ場所の広場に向かった。