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第188話


 ルーネとレオルドさんの試合が終わり、少しして会場の整備が終わったので兵士さんに呼び出された俺とサリアさんは準決勝を争う為に会場に移動していた。 

 その際、俺は先のサリアさんと姉さんの戦いを思い浮かべて剣術勝負も楽しそうだなと感じたので会場入りする前に専用の刃を折った剣を持って入場した。


「あら? 今回は最初から剣を持ってるって事は、私とは剣術で勝負をしてくれるのかしら?」


「はい、姉との試合を見ていたら剣術で勝負をしたくなりましてね。あ、舐めているわけではありませんよ? これでも、剣術のスキルレベルはMAXですので」


「あら、凄いわね。私もMAXだから、今回もいい勝負が出来そうだわ」


 俺とサリアさんは互いにそう言うと、司会の人の始めますという言葉と共にドラムの音が鳴り響き、試合が始まった。


「ッ!」


 互いに最初から全力を出した一撃目は、互いに弾かれる形となった。しかし、そこから俺達は一歩も引かずに剣と剣の攻防を続けて行った。


「ルードが言ってた通り、こっちも筋が良いわね」


「ありがとうございます」


 サリアさんは俺の剣術を素直に褒めると、更にスピードが上がったのでそれに付いて行くように俺もスピードを上げた。そして、決着は急についた。

 勝負の最中、サリアさんと俺の剣は徐々にヒビが入って行き、どちらが先に壊れてもおかしくない状況の中、俺の剣がギリギリまで持ちこたえサリアさんの剣は砕け散り勝負を続ける事が出来なくなった。


「今度は真剣でやりあいたいわね」


「そうですね。機会がありましたら、またお相手お願いします」


 俺達は互いに握手をしながら、サリアさんは負けを宣言した。サリアさんとの勝負に勝利した俺は、待合室に戻って来るとルードさんから「素晴らしい戦いだった」と褒められ、ありがとうございますと返事を返した。

 その後、ルードさんとレオルドさんが勝負の為に部屋を出て行き、少しして試合が始まった。


「四天王同士の戦いだけど、やっぱりルードさんのが押してるか……」


 ルードさん対レオルドさんの戦いは、この試合始まって一番の盛り上がりを見せていた。それもその筈で、ルードさんは四天王最強、そして獣人国最強と言われている人だが、ルードさんに次ぐ実力者がレオルドさんだからだ。この二人の戦いは、この会場に居る誰もが望んでいて楽しみにしていた試合の1つなのだ。

 その後も、ルードさんとレオルドさんの戦いは続き30分程戦いが続いた後、ルードさんの渾身の一撃がレオルドさんの腹部へ入り、場外に吹き飛ばし、試合は終了となった。


「お疲れ様です。ルードさん」


 試合が終わり待合室に戻って来たルードさんは、レオルドさんとの戦いで大分負傷をしていた。その格好で、次の決勝戦をやるのかルードさんに聞くと、決勝戦は1時間ほどの休憩を取った後だから心配をするなと言われた。

 そして、休憩の為に俺は待合室から出て皆の所へと行き用意しておいた弁当を皆に渡して食事を始めた。


「クリフ、ルードに勝てそうか?」


「微妙な所ですね。あの人には魔法もほぼ効きませんでしたからね、それこそこの会場ごと吹き飛ばすくらいの魔法でないと倒せないと思うので、実質魔法は封じられている感じですね」


 俺がそう言うと、姉さん達から「クリフ君なら、魔法が無くても戦えるよ!」と励ましてくれたが、ルードさん相手には魔法が効かないのは大きく、どうしようか悩んでいるとニャトルさんとサリアさんが俺達の所にやって来た。


「対ルード戦の事で悩んでるんかにゃ?」


「はい、あの人には魔法がほぼ効かないのでどうしようかなと思いまして」


「にゃは、別にルードは魔法が効かないわけじゃないにゃ、ただ回避能力が高いだけにゃ」


「そうですけど、その回避能力が厄介なんですよね」


 ニャトルさんの言葉にそう言い返すと、サリアさんから「ニャトルを魔法が屈してるんだから、効かないわけじゃないよ?」と言われた。


「そうだにゃ、ルードに魔法の回避方法を教えたのは私にゃ、その私を魔法で倒してるんだからルードにだって魔法は効くにゃ」


「でも、この前の模擬選では魔法が効きませんでしたよ……」


「それなら、その時以上に魔法を打ち込むにゃ、ルードの回避能力も完璧ではないからにゃ隙は出来るにゃ」


 ニャトルさんはそう言うと「クリフ君の事は応援してるにゃ」と言って、サリアさんと共に去って行った。





 


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