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第186話


 待機室で待つ事、数十分。兵士の一人がやって来て、俺とニャトルさんが呼び出されたので俺達は部屋を出て会場に向かった。


「クリフ君、お互いに全力を出そうにゃ」


「はい。頑張りましょうね。それと、さっきまで不通に喋ってたのに、何で今更語尾に〝にゃ〟を付けてんるんですか?」


「気分だにゃ」


 ニャトルさんは笑顔でそう言うと、対角の入り口へと向かった。それから、数分後、会場から司会の人の入場の合図があったので会場へと入場した俺は、歩いて真ん中まで移動した。


「それでは、これよりトーナメント戦第一試合、クリフ選手とニャトル選手の試合を始めたいと思います!」


 司会の声が会場全体に響き渡ると、次の瞬間ドラムの音が鳴り試合が始まった。試合が始まった瞬間、ニャトルさんは獣人族の中でも素質がある者にしか出来ない獣の力を呼び覚ます【獣化】を使用し、身体能力を強化して俺へと攻撃を仕掛けてきた。

 俺は咄嗟に【風魔法】を発動し、ニャトルさんを吹き飛ばし、上空へと逃げた俺は会場に向かって無数の魔法を連射した。


「なッ! 魔法を全部、避けてる!?」


 言葉通り、無数の魔法が降り注いでいる会場をニャトルさんはその身体能力を活かして全てを回避。そして、俺が驚いたことで生じた一瞬に油断に凄まじい跳躍で俺の元へ飛んできたニャトルさんは、かかと落としを俺に食らわせ、衝撃の余り地面に叩きつけられた。


「ガハッ」


「にゃは、クリフ君。つーかまえたっ」


 ニャトラさんは地面に叩きつけた俺の腕と足を取り、体を使って起き上がらせない様にした。俺は、必死にそこから脱出しようとしたが、力では全く抜け出す事が出来ないと判断した俺は、転移魔法で離れた場所へと移動した。


「にゃ? あの体制から転移魔法を使うなんて、クリフ君。本当に魔法が得意なんだね」


「ええ、近くに魔法の腕が最強クラスの人が居たので参考に色々としていましたのでね」


 俺はそう言って、会場の地面を【土魔法】で弄り四方からニャトラさんへ攻撃を仕掛けた。しかし、それらを軽く避けたニャトラさんに向かって【氷魔法】で作った剣で詰め寄った。


「ほほう。ルードが言ってた通り、剣術もそこそこ上手く扱うんだにゃ」


「えぇ、こちらも近くに良い師がいましたのでね。両方を幼少期から鍛えられてきましたからねッ」


 魔法と剣術、二つの力でニャトラさんへと攻撃を仕掛けて行く俺にニャトラさんは段々動きが鈍くなっていき、一瞬の隙を作り出す事が出来た俺は、すかさずそこに攻撃を当ててニャトラに膝をつかせることが出来た。


「にゃは~、今のは効いたよ。それに、そろそろ【獣化】の効果が切れちゃうにゃ、今回は私の負けだにゃ」


 ニャトラさんは膝を付きながら負けの宣言をすると、司会の人が大きな声で「第一試合、勝者はクリフ選手です!」と言うと大きな歓声と拍手が起こった。

 俺はそれに応えるように手を振って、ニャトルさんと一緒に会場を去って行った。そして、ニャトルさんは負けたのでここから先は観客席で見ておくねと言って別れ、俺はガルドさん達が待つ待合室へと戻る事にした。


「おめでとうクリフ君」


「いい試合だったな、クリフ」


 部屋に戻って来ると、姉さんが抱き着き、ガルドさんはニコっと笑ってお祝いの言葉を掛けてくれた。その後ろから、ルードさんが近づいてきて「よく、ニャトル相手に魔法で押しきれたな、彼奴は四天王の中でも魔法の察知には長けてる者だったんだぞ」と言われた。


「ええ、ですのであの戦闘の最中は察知されても良いくらいに大量の魔法を同時に発動させてたんですよ。見えてた魔法以上に」


「……成程、それでニャトルの動きを鈍らせたのか、凄い発想だな、それ少し間違えればクリフが魔力切れで倒れる事になってたんじゃないのか?」


「そうですね。まあ、でもそんな簡単に倒れる程、魔力は少なくないですから安心してください」


 俺がそう言うと、ルードさんは「あれだけ使っておいて、まだ余裕あるって凄いな」とあきれた様子で言った。


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