第184話
試合の終わり方に呆気に取られていた司会の人だったが、直ぐに正気を取り戻し「第一試合終了です。え~、第一試合突破者はクリフ・ファウス・クールベルトさんとアリエス・ファウス・クールベルトさんの姉弟です!」と【風属性魔法】を使用して観客全員にその様に言うと「おぉ~!」というどよめきが走った。その中、俺達は会場から手を振りながら去っていき待合室に戻って来た。
「クリフ。お前、派手にやりすぎだろ……」
「そうですか? 一番手っ取り早いやり方だと思いまして」
俺の言葉にガルドさんは「まあ、お前のやり方だし良いか」と言って、試合が始まるので会場の方へと向かった。試合が終わった俺と姉さんは、午後のトーナメントまで暇なので観客席へと行きミケ達と一緒にガルドさん達の応援をする事にした。
「あっ、クリフ君。お疲れ~」
観客席に行くと先に気が付いたミケからそう言われて、ルーシェ達からも「お疲れ様」と言われた俺は「ありがとう」と言って席に座った。
「ガルドさんはどんな感じ?」
「ガルドさんもアリスちゃんもまだ生き残ってるよ。ほら、右側で二人で戦ってるよ」
「……おっ、本当だ。あの二人普段から前衛で組んでるから連携がうまいな」
ミケからアリス達が戦ってる場所を教えられた俺はその方向を見ると、二人で連携して敵を倒しているガルドさん達の姿があった。ガルドさん達のレベルは、他の出場者達とそんなに変わっていない様子で何とか生き残っている感じだった。
そんな二人は、次々と襲ってくる出場者達を倒していったが最後の最後で猫人族の素早い動きをする戦士にアリスが狙われて、ガルドさんと距離が離れた隙を付かれ戦闘不能となり、第二試合はガルドさんとその猫人族のニャトルという女戦士が勝ち残った。
「う~、負けた~」
「どんまい。アリス」
「お疲れ様ですアリスちゃん」
試合が終わった観客席へとやって来たアリスは、落ち込んだ様子でミケに抱き着いた。
「しかし、さっきの猫人族の人の動き結構早かったな……俺が対戦した四天王の人と同等クラスだったな」
「まあ、猫人族は種族的に速さを売りにしている種族ってのもあるが、あの戦士は別格だったな、俺がアリスより上級者でなければ狙われていたのは俺だったろうな」
ガルドさんそう言うと、俺達の後ろの通路の所に先程の猫人族の人がやって来て、俺に向かって手招きをしたのでその人の所へ俺だけ移動した。
「やぁ、君がルードが言ってたクリフ君かな?」
「はい、そうですけど、貴方はルードさんとお知り合いの方なんですか?」
「お知り合いって言うか、仲間かな? 一応、私これでも四天王の一人だからね。ルードが昨日、兵士に捕まってる所を見て、何かやったのって聞いたら君の事を教えてくれてね。さっきの魔法凄かったね」
「ありがとうございます」
自分の魔法の事を褒められた俺は素直にお礼を言うと、ニャトルさんは「うふふ、良い子だね」と笑って言った。
「私も君との試合が楽しみだよ。あっ、それと1つだけ教えてあげると、この大会には四天王が全員出てて、君との戦いを楽しみにしてる人が4人は居るって覚えていてね」
「そうですか、俺って人気物なんですね」
「うん。あのルードが言ってた位だからね。私達も久しぶりに全力を出せるって楽しみにしてるんだよ」
ニャトルさんは最後まで笑顔でそう言うと「それじゃ、また試合でね」と言って去って行った。ニャトルさんと別れた俺は、皆の所に戻り四天王がこの試合に全員出場している事を伝えると「残りの3人は、第3と第4に居るのか……ルーネが可哀そうだな」とガルドさんが言った。




