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第182話


 大男はその図体に合わない速さで急接近し、その体躯に似合う太い腕で攻撃を仕掛けてきた。しかしながら、動体視力もこの数年間でかなり上がっていた俺はその攻撃を見切り、回避。空振りして隙がある大男の下半身へ回し蹴りをするも、ガードされてダメージが入らなかった。


「中々いい動きをするな坊主……」


「ええ、貴方も見た目に合わないスピード。驚きましたよ」


「はは、速さと力を併せ持つのが俺だからな……行くぞ?」


 大男はそう言うと、先程の早さの倍近く速さで走り始めた。俺は、その速さに付いて行き、大男の攻撃に合わせて拳は拳で、足は足で攻防を続けた。大男のスピードは時間が経てば経つほど早くなっていった。


「ぐッ!」


 そんな大男の早さに付いて行ききれなかった俺は、脇腹に大男の回し蹴りが入り地面に倒れる。


「ふぅ、中々良い試合だったよ」


「……そうですね。そろそろ、本職の方の力も使っても良いですかね?」


「そう言えば、そんな事を言っていたな……そうだな、坊主が本職以外でやってくれたんだ。俺もそれに習って、本職じゃない方で相手をしてやろう」


 大男はそう言うと、火属性系の魔法を唱えて俺に向かって魔法を発動した。しかし、俺はその魔法を軽く水の壁で消し去り、傷を全て回復魔法で消した。


「貴方も回復しますか?」


「いいや、それも戦いの一つだ。俺は、このままでいいぞ」


「そうですか、それでは行きますよ?」


 俺の言葉を最後まで聞いていた大男へ向かって、俺は無詠唱で火・水・雷の魔法を放った。それらの魔法は先程までの動きと比べても同等以上の速さではあったが、俺の予想通りその魔法を全て回避した男は、俺に向かって突き進んできた。


「それじゃ、本職の力見せてあげますよ」


 そう言いながら地面から浮いた俺は、四方に向かって雷属性の魔法を放ち、男の足止めをした。動きが止まった男に向かって、火属性の魔法を放ちながら、他の魔法も休むことなく連発した。


「……貴方、本当に人間ですか?」


「まあ、これでも四天王を任せられてるからな、少しばかり人間を辞めてる自身はあるよ」


 大男は全ての魔法を素手で弾き飛ばしたり、当たる一歩手前で回避したりと、普通だと既に死んでも可能性もある攻撃を回避しきったのだ。それには、俺も驚き地面に戻って来て魔法で凸凹していた地面を綺麗にした。


「これ以上やったら、被害が凄い事になりそうなので決着は大会でしましょうか」


「そうだな、しかし坊主の魔法は凄かったな、俺が見た中で2番目に凄かったよ」


 大男からそう褒められた俺は「1番目は誰ですか?」と聞くと、爺ちゃんの名前が帰って来た。獣人国まで名前を広げてる爺ちゃんに驚きつつ、何処で知り合ったのか聞くと、この国に居た神獣を仲間にする為に来た爺ちゃんと偶然あって意気が合い偶に連絡を取る中になったらしい。


「しかし、運命って凄いな、あの人の孫なんだってなクリフは」


「ええ、俺も運命を感じてますよ。まさか、数日前にあった女性のお父さんであるルードさんだったなんて」


「違いねえな、しかしリリアが来てるのか……これは、負けられないな」


 大男、改めルードさんは真顔になると「あの人の孫だからって手加減はしないぜ?」と言いつつ手を出された俺は「勿論、そんな事されたくもないですよ」と言って手を差し出し握手をした。

 その後、俺達は一緒に街に戻って来ると、門の所でルードさんが門兵に連れて行かれたのでそこで別れて、ルードさんと別れた俺は宿に戻って来て宿に居たガルドさんに先程の話をすると「成程、それであんな音がなってたんだな」と納得した顔つきをしていた。


「あっ、やっぱりここまで音が響いてました?」


「音もそうだが、クリフの魔法もな」


「あらら、だからルードさんが門兵に捕まったのか」


 門兵に捕まったルードさんの謎が解けた俺は、明日の大会時に会ったら謝罪をしておこうと思いつつ、自分の部屋に行きステータスをチェックした。


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