第173話
姉さん達がクランに入りたいと言って数日が経った。俺はその間、姉さん達の実力を見させてもらいアリエス姉さんは前衛として素質は十分にあり、エレミア姉さんも薬学の知識は父さん達よりも持っていて「こんなに知識があるんなら、冒険に出た際の病気に対処してくれるから何処のクランでも欲しがるね」と父さんが言っていた。
その2点を俺はクランメンバーに伝えて、クランメンバーに入れても良いかを聞いた。
「う~ん、僕としては良いと思うよ。仲間が増えるって事はそれだけやれる事も増えるしね」
「私も良いと思いますよ」
俺の提案にアリスとミケがそう答えると、ルーネ達とガルドさんも賛成してくれたので、姉さん達のクラン入りが決定した。その事を姉さん達に伝えると、早速クランメンバーと話し合いをしたいと言ったのでその翌日、クランハウスに集まった皆の所に姉さん達を連れて行った。
まず、最初にお互いに軽く自己紹介を行い席に座り話し合いが行われた。
「まず、私達のクラン加入に賛成してくれてありがとうございます」
「そんな畏まらないで良いですよアリエスさん」
アリエス姉さんの外行スタイルの喋り方に対してアリスがそう指摘すると「そうね。これからは、一緒の仲間だし良いわね」と言って一瞬にして崩れた。
「え~っと、それで私達の加入に賛成してくれてありがとね。私達ってずっと、クリフ君と一緒に育ってきたから離れ離れになるのが嫌だったの」
「知ってますよ~、だって学園でも結構有名でしたよ。アリエスさんとエレミアさんのクリフ君好きのエピソード」
「えっ、嘘!?」
姉さん達の事を学園時代から見ていたアリスがその様に言うと、姉さん達は驚き「どんな噂が流れてたの?」とアリスに聞いた。そしてアリスが言った事に対して姉さん達は「あぁ、あの頃は……」と何か思い出している感じだった。
「なあ、1つ良いか?」
「はい。どうしましたかガルドさん?」
「俺はクリフから、こういった実力がある。としか聞いていないから、二人の実力を見せて欲しい」
ガルドさんの意見に対して姉さん達は「それもそうですね」と言って、場所を移動して実家に帰ってきた俺達は庭へと移動した。そこで、まずアリエス姉さんが実力を見せてあげると言って対戦相手にガルドさんを選んだ。
「私は普通の剣士ではない事だけ先にお伝えします」
「そうか、分かった。クリフ合図を頼む」
ガルドさんから合図を頼まれた俺は、両者の顔を見て「始め!」と言って試合を開始させた。
ガルドさんは容赦なく姉さんへと接近し、素早い動作で剣を振り切った。しかし、姉さんはその剣を軽く避けると魔法を使用し、ガルドさんの足元に土魔法で穴を作り、風魔法で剣の刃を飛ばした。それをガルドさんは軽く避けた先に姉さんは、更に追い打ちで土魔法で壁を作り、その壁を使いガルドさんよりも高い位置から剣を振り切った。
「成程な、普通の剣士では無く魔法剣士という訳か」
「ええ、剣は父から魔法は祖父から習ってたのよ。クリフ君の居ない所でね。お姉ちゃん中々やるでしょ?」
審判をしてる俺の方を向いてそう言った姉さんは、それからガルドさんとの打ち合いに魔法を使用しながら攻防を続けたが、流石に歴が断然に違うので最後はガルドさんが読み合いに勝利し、姉さんは倒れた。
「俺とここまでやれるって事は、相当な実力だな……試して悪かった。良い動きだったよ」
「いえ、試されるのは分かってたのも、それに私も久しぶりに良い運動が出来て楽しかったわ」
アリエス姉さんはガルドさんと握手をしながらそう言った。それから、姉さんの魔法で凸凹になった地面を整地し、次はエレミア姉さんの番になった。
「でも、エレミア姉さんって薬師として入るし、どうやって実力を見るの?」
「別に薬学だけを勉強してきたわけじゃないよ。クリフ君?」
エレミア姉さんはそう言うと、手を上に掲げると無詠唱で魔法をポンポン出した。その魔法はどれも高威力だったり、精密な魔力調整が必要なものばかりだった。
「あれ、クリフ君知らなかったの? エレミアさんって、学園では先生達より魔法が上手くて有名だったんだよ?」
「知らなかった……」
「まあ、クリフ君って自分のファンクラブにも気付いていないくらいだったしね」
アリスからの言葉に俺は、もう少し情報収集能力を上げようと気持ちを固め、姉さん達のクラン加入に文句言う人はいなかったので正式に姉さん達はクランに加入する事となった。




