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第168話


 ダルトスの街に入った後、直ぐに冒険者ギルドに向かう事にした。

 移動する際に以前、来た際に俺の顔を覚えていた街の人達からお礼を言われたり、物を貰ったりしながらギルドに向かった。


「この街ではすっかりクリフは、英雄じゃな、我の主として誇らしいぞ」


「クリフ君が英雄視されるのは、見てて嬉しいわね」


 ドラグノフとアーリンからそう言われた俺は「止めてくれ、恥ずかしい」と言って、これ以上他の人から感謝されるのは恥ずかしいので急ぎ足でギルドに向かった。それからも道中、お礼を言う人を避ける事は出来ずに色んな人からお礼を言われ続けた俺はギルドに着いた頃には既に精神的に疲れ切っていた。しかし、こんな所で弱音を言っていたらクランリーダーとして失格だと自分に言い聞かせて、ギルドの中に入る。

 ギルドの中に入ると、見覚えのない顔の俺が入って来た事でギルド内が少し空気が変わるが直ぐに元に戻った。俺は、ここでは何も言われないのなら良いかと思い掲示板に向かい金額が美味しい依頼の紙を取り受付に持って行った。


「えっ、クリフ君?」


 受付の女性が俺のギルドカードを見て驚いた声を出すと、周りの冒険者の声がピタッと止み静かになった。その異様さにギルド長室に居たレームさんが降りてくると「えっ、クリフ君ッ!?」と大声を出す。

 その後、ギルド長室に連れて行かれた俺は何故ここに居るのか尋ねられ、普通に金策の為に来ましたと答えると「そ、そうだったの……もしかしたらリグル様にあの事がバレたのかと」と安心したようにそう言った。


「でも、クリフ君。毒竜退治で相当な報酬を貰ったんじゃないの?」


 レームさんにそう聞かれた俺は、これまでの経緯を話した。するとレームさんは「まあ、そのクランメンバーの人達の言いたい事も分かるわね」と言う。


「まあ、そんな訳でこれからこっちで依頼を受ける事にするので暫くの間よろしくおねがいしますね。一応、ランクもCランクですのである程度の依頼は受けれますし、ドラグノフも居ますので戦力的には問題ありません。この機会に危ない依頼を回してもらっても大丈夫ですよ」


 そう言うと、レームさんは「竜にそちらの妖精を従魔に従えてるクリフ君だったら、どんな依頼でも片付きそうね」と言われた。そして、早速実入りの良い依頼をレームさんからいくつか受けた俺は、ギルドから出て行きドラグノフに竜化してもらい目的地に向かった。


「すみません、レームさんを呼んで貰っても良いですか?」


「えっ、あっ、はいッ!!」


 レームさんから依頼を受けて数時間後、陽が沈みかけの時間帯にギルドに戻って来た俺は、受付の女性にレームさんを呼んで欲しいと頼んだ。そして、直ぐにレームさんが受付に来たので特別に受けた依頼の達成報告を行った。


「まずそっちの赤い頭の男ですが、冒険者狩りをしていた〝赤鬼のゲラム〟、次にその横に居るのが〝灰熊〟盗賊団のリーダーの〝ローメン〟、その横が危険な薬を売り歩いていた〝ルック〟です」


「……」


 捕縛者の名前を述べるとレームさんは固まり、周りに居た冒険者の人達も固まりギルドは静寂になった。そして、次の瞬間「えぇぇぇぇ!!!」とギルドに声が響き渡った。

 それから、俺は捕まえた捕縛者をギルドの鑑定人に見せると「確かに、この者達は依頼書通りの犯人達です」と言われて依頼達成となった。


「……まさか、一日で用意した依頼全部達成されるとは思ってもいなかったからお金の用意をしてないわ、申し訳ないけど明日取りに来てもらってもいいかしら?」


「はい、分かりました。それでは、今日の所は帰りますので明日も来ます」


 その後、ドラグノフ達と一緒にギルドを出て街の外に出た後、レドルの杖を使い王都にある実家の地下室に転移し、帰宅した。リビングに上がると爺ちゃん達が既に揃っており「クリフ、今帰って来たのか?」と聞かれた。


「うん、さっき帰って来たところだよ」


 そう言って、ソファーに座っている姉さん達の横に座ると「クリフ君、今日は何してたの?」と聞かれて、今日やってきた事を姉さん達に話したいして、夕飯までの時間を潰した。 

 夕食後、〝竜の里〟に行き温泉に入り疲れを取っているとドラグノフから「なあ、クリフ。クリフは、今後どうするんじゃ?」と聞かれた。


「今後?」


「うむ、言っていたであろう。成人を迎えたら、王都を出ると、しかし出る目的でもあった主の伯母探しも必要は無くなったし、クランを立ち上げて更にクランハウスまで作って、このまま王都に住むつもりなのか?」


「あ~、そう言われてみれば確かに王都から出るとは言ってたけど、出る目的も無いしな……あっ、でも一度、獣人国には行ってみたいと思ってるぞ」


「獣人国にか?」


 ドラグノフが不思議そうな顔をしてそう言うと、俺は以前本を読んでいる際に獣人国には他国には伝わっていない食材があると書かれていて、そこには〝牛から取れる乳〟を使った食材があると書かれており、俺はもしかしたらこの世界で乳製品と出会えるかもと思い獣人国には行きたいと思っている。

 その事を聞いたドラグノフは「クリフは、本当に食に関しては煩いの」のと言って湯船から出て行き先に上がり、俺も少し経ってからあがって家に戻り明日も早くに家を出るので眠りについた。

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