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第165話


 前世の夢を見た次の日、早朝から爺ちゃんに呼び出され裏庭に来ていた。


「それで、爺ちゃんなんで俺を呼び出したの?」


「ああ、うむ……ちょっとな、クリフには言っておこうと思ってな……」


 爺ちゃんは言いにくそうに話し始めた。その内容は、前に爺ちゃんから他国に行くことがあれば俺の伯母に当たる人を探してきてほしいと頼まれていた件についてだった。その伯母さんなのだが、なんと爺ちゃんが里から出てから直ぐ後に戻ってきてリヒトさんに挨拶をして、また旅に出たらしい。

 その時に、爺ちゃんが俺に対して、自分を探してほしいという願いを言っていたことをリヒトさんから聞いた伯母さんは「私と父さんの問題に孫を巻き込むな!」とリヒトさんから伝言をもらったらしく、頼みは忘れてほしいと言われた。


「うん、わかったよ。爺ちゃんも早く、伯母さんと仲直りできると良いね」


「ああ、まあ……そうなんじゃがな……会う機会がなくてのう」


 爺ちゃんは寂しそうにそういうと、家の窓が開いて「クリフ~、父さん~、朝食の時間よ~」と母さんに呼ばれ、俺達は家に戻った。

 朝食を食べた後、クランハウスに向かった。


「おはようございます。ガルドさん」


「おう、おはよう。クリフ」


 クランハウスの敷地に入ると、庭で素振りをしているガルドさんを見つけた俺は、挨拶をしながら近づいた。


「ガルドさん以外は、まだ来てない感じですかね?」


「そうだな、まだみんな来てないな」


「そっか……それなら、みんなが来るまで一緒に素振りしましょうか」


「おう、断る理由はないからな」


 その後、俺はガルドさんと一緒に素振りをした。ガルドさんと素振りを初めて30分程時間が経った頃、アリスとミケがやってきて、その数分後にルーネ達もクランハウスに到着したのでみんなでクランハウスの中に入った。

 中に入った後、リビングに家から使っていないソファーを三つ置いて真ん中にテーブルを置いて簡易的なリビングルームができた。


「それで、今後について話しをするんだけど、まずクランの目標として王都の全てのダンジョンを制覇しようと思ってるんだよね」


 以前から決めていた自分の目標をクランの目標として発表すると、アリスとミケから「わ~、楽しそう!」と反応がありルーネ達からは「う~ん、私たちに出来るでしょうか……」と心配しているようだった。


「まあ、クリフが居れば殆どの事には対処できるだろうし出来なくは無いだろうな」


「ええ、なのでこの目標を言ったんです。鍛冶以外の事は大体できるので、武器・防具の予備を用意しておけば数か月単位で潜ることもできます」


「流石、収納スキルを持ってるだけあるな」


 ガルドさんがそう笑いながら言う。ガルドさんの言葉にアリスが続けて言った。


「前、数日ダンジョンに潜ってた時、クリフ君が居たら美味しい料理も食べれるし、ダンジョンの中でもお風呂を作ったりできるから、外より快適な生活ができたもんね」


「うん、それに寝床もゴツゴツした地面じゃなくてクリフ君の収納ボックスにベッドも用意してあるから睡眠環境も充実してるしね」


 以前、何日か潜った時の事をアリスとミケが話すとガルドさんから「お前等、ダンジョン内でそんな生活してたのか……」と羨ましがられた。


「まあ、今アリス達が言ったの様に事前に自分達の寝具も俺の収納スキルで持って行く事も出来るから、準備さえちゃんとやれば長く潜る事が出来るんだよ」


「それなら、心配はいらない、かな?」


 ルーネがそう言うと、ルーシェとアンネもルーネの言葉に同意したかのように頷いた。


「それじゃ、目標は〝全てのダンジョン制覇〟で決まりで良いかな?」


「おう」


「「はい!」」


 再確認の言葉に皆、同意してくれたので取りあえずクランとしての目標が定まった。目標が1つ決まれば、クランとしての活動も出来るのでまず何を用意するか、どんな物が必要か? と皆で話し合いをして必要な物を割り出して行った。

 そしてその日の夜、修行へと出て行っていたドラグノフが帰還しルーさんへと勝負を挑んだ。


 結果、ギリギリの差でルーさんが勝利をしたがドラグノフもこの世界で速さで言えばトップクラスと接戦をした。その気持ちだけで、勝利はしなくとも悔しがることは無かった。

 逆にそこまで差を縮められたルーさんが「まさか、ここまで仕上げてくるとは……」と悔しがっていた。


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