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第16話


 父さんと兄達が未だ抱き合ってる中、俺はある疑問が先程から残っていたので爺ちゃんに聞いてみた。


「ねえ、爺ちゃん兄さん達が本当の子だってことは爺ちゃんの目を信じてるから分かるんだけどさ、レグルス前国王様とかが調べて「抱えていた息子達は別の男の子」だと言ってたけど、あれはどうなるの?」


「そう言えば、そんな事を言ってたのう。のう、レグルスその話誰から聞いたのじゃ?」


 爺ちゃんは横に立って居たレグルス前国王に聞くと、「ああ、それは確かあの情報は情報屋に調べて貰った物だ」と言った。


「ふむ、その情報屋、信用できるのか?」


「一応、数年前から交流はあった者だが、そう言えばその情報屋と知り合った時期と同じ時期に伯爵の娘がおかしくなった気が……」


「ふむ、レグルスもしかすると今回の【悪魔】騒動は偶然伯爵の娘に起こったわけではなく、何処か知らぬ場所から操られていたんじゃないか?」


 爺ちゃんがそう言うと「しかし、悪魔を使用出来る者など居るのか?」とレグルス前国王は言った。


「儂も【悪魔】を人自らの力でどうにか出来るのか知らぬが、この世界の理は未だ全て分かっていないし【悪魔】を祓う力が、この世にあるのであれば、また【悪魔】を使う力もあると考えた方が良さそうじゃが?」


「……そうだな、少し隠居生活はお預けしてアーサーと少し調べてみるか、しかし今回の【悪魔】はどの様な用途で伯爵の娘に憑けたのだろうか見当もつかないな」


「うむ、確かに国を脅かすような事はせず一介の子爵を虜にして何がしたかったんじゃろうか」


 そう爺ちゃんとレグルス前国王が話をしていると、突然屋敷の扉から誰かが入って来る音がした。屋敷の中に入って来た者は、そのまま俺達が居る部屋に到着すると扉をノックして入って来た。入って来たのは、確か街で父さん達の周りに居た兵士の中でも1人だけ立派そうな服を着ていた男性だった。


「クリム様、大変でございます! クールベルト家が守っていました砦を帝国から奪われていました!」


「なに! どうしてだ、あそこには兵士達が沢山が守っていただろう!」


「その者達は、私らが七日前ほどに王都へ帰還命令を出していたそうです! 私も先程、帰って来ていた兵士から話を聞き急いで報告に来ました!」


 その兵士の言葉を聞き、俺、爺ちゃん、レグルス前国王は「この為か」と一瞬で理解した。そう言えば、俺の父さんが完全に魅了されたのが2年前だとすればその2年間の内に準備をして今になって攻めて来たと言う感じか


「お爺様、この事は国王に伝えないといけないので私は先に父上の所へ行ってまいります」


「ああ、頼んだアーサー、そこの兵士もアーサーと共に王城へと言ってくれ」


「分かりました。アーサー様、外に馬車を用意しておりますので」


 兵士はレグルス前国王様の指示を聞き、アーサー殿下と一緒に部屋を出て行った。伯爵様もまた、自分の従者達を待たせている場所へ行きその後兵士を呼ぶと言って出て行った。


「……レグルス、どうする?」


「……リグル、何度もすまんが今回も力を貸してくれないか」


「うむ、今回は儂の義理の息子が仕出かしたことじゃしのう。借りじゃなくてよいぞ」


「そうか、それを聞けて安心する。さて、クールベルト子爵よ。直ちに帝国の兵士を相手取る為兵士を集めよ」


「はっ、畏まりました!」


 父さんはレグルス前国王様に向かって敬礼をして部屋から出て行った。その時、兄達も父さんへと付いて行った。


「さてと、クリフ儂達も移動するかのう」


「はい、爺ちゃん」


 爺ちゃんはそう言うと、レグルス前国王に「それじゃ、また今度時間がある時にゆっくり話でもしようかのう」と言って俺を抱っこして爺ちゃんは伯爵家から出て行った。

 爺ちゃんはそのまま、街を歩き王都の正門に着くと兵士に挨拶をして王都から出た。


「さてと、クリフよ。お主、人を殺したことはないじゃろう?」


「そうだね。前世では人なんて殺したら、まず間違いなく捕まるしやった事は無いよ」


「ふむ、じゃがこの世界じゃと、盗賊や野蛮な民族も居るから時には人を殺す事がある。その時、クリフは【人は殺せない】と思って殺せないかもしれない」


「……そうだね。殺したこと無い奴がいざ襲われて人を殺せるかって言われたら難しいね」


「うむ、そうじゃろう。じゃから、今から後の為勉強じゃ! 勉強相手は帝国の兵士共、殺しても王国からは感謝されるだけじゃ」


「うん、言うと思ったよ。爺ちゃん」


 話を振られた時点で、何となく分かっていた。しかし、ここからクールベルト家が守っていた砦の場所までかなり距離があると思うんだけどどうするのかな?


「クリフよ。クリフにこれを見せるのは初めてじゃろうが、驚くんじゃないぞ……『我が眷属よ。我の召喚に応じよ。出でよ【ファリル】』!」


「わ~、ひっさしぶりの召喚だ~主様~」


 爺ちゃんが魔法の詠唱、【召喚魔法】を使うと目の前に大きな羽を持つ鳥が現れた。それも、流暢に言葉を喋りながら


「うむ、数年ぶりじゃのう。ファリルよ、今回呼び出したのは西の砦まで送ってほしいのじゃが良いか?」


「良いですよ~、ってあれ? 主様また子供出来たんですか~?」


「違うぞ、この子はリサラの子じゃ」


「えええ! リサラちゃんに子供出来たんですか?! 驚きですよ~」


「ファリル、今は時間がない。話は飛びながら良いか」


「はい、分かりました。ささっ、主様それとリサラちゃんの子供も乗って乗って」


 爺ちゃんが呼びだした鳥は、そう言って屈み乗りやすい体勢になってくれた。俺と爺ちゃんは鳥の背中に乗るとバサッと鳥が羽を動かし空へ舞い上がった。

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