第149話
昼食を取った後、アリスの機嫌を取る為にクッキーを与え第10層のボス部屋へ入った。中には、ハイホブゴブリン2体が大盾と大剣を装備して待ち構えていた。
「アリスとミケは、あっちの盾の方を頼む」
「うん、分かった」
「はい、分かりました」
「それじゃ、まず先に分断させるから、あいつらがバラバラになったら頼むぜ」
俺はそう言うと、先行して風魔法でハイホブゴブリンの間に突風を吹かせ分断させた。そして、大剣の方へそのまま俺は突っ込むとハイゴブリンは崩れた体勢から大振りに大剣を振った。
それを俺は、軽く避け懐に入り剣で左腕を斬り飛ばした。
「ガギャッ!」
ハイゴブリンは片腕を斬り飛ばされた事で大剣が持てなくなり、大剣をその場に捨てそのまま俺に突っ込んできた。
「これなら、【ローアン】のダンジョンボスのが断然強かったぜ」
風魔法でハイゴブリンを仕留めてそう言った俺は、アリス達の方はどうなったか見に行くとアリス達もハイゴブリンに勝利していて俺を見ると笑顔で近寄って来た。
「お疲れ様、どうだった?」
「う~ん、ここまでの魔物よりかは少し強かったけど楽だったよ」
アリスもどうやら俺と同じ感想だったらしい。ミケも「まだ、全然いけますね」とやる気に満ちていた。その後、俺達は倒したハイゴブリン達の死体を回収し、第11層に下りた。
それから、5時間近くダンジョンを探索しながら下層を目指して歩き第18層で今日は泊まることにした。毎度の如くアリス達にはテント設営をして貰い、俺は夕食の準備をしていた。
今日は、初日という事もあり無理せず探索をメインにしていたので疲労は少ないが明日からもダンジョンを探索すると言う事で肉をメインにした夕飯にし、土魔法で風呂釜と壁を作り水と火の魔法でお湯を作り仮風呂を作り先に俺が入り、その後アリス達を入れた。
アリス達はダンジョン内で風呂に入るという行為に少し躊躇っていたが暖かいお湯を見て直ぐに行ってしまった。残った俺は、風呂前で待機しながら剣の手入れをしていた。
「クリフ君。ありがとう、上がったよ」
「クリフ君、気持ち良かったです。ありがとうございます」
2人が中から出て来たのを確認した俺は、土魔法で作った風呂を消し「2人は、湯冷めする前にそのまま寝て良いよ。交代の時間になったら起こすから」と言って2人をテントの中に入れ、俺もテント前に移動し読書タイムに入った。
「んっ? クリフじゃねぇか? 何でここに居るんだ?」
「ガルドさん? えっ、ガルドさんこそ何でダンジョンに居るんですか?」
本を読み始めて10分後に誰かがこちらに近づいてくる気配を感じ取り、そちらに意識を向けているとガルドさんだった。
「いや、俺は元々ダンジョン目的にこっちに来てたしな? 1人でどこまで行けるか試してたんだが、途中で飯が尽きてな今帰ってる所なんだよ」
「そうだったんですか、俺は帰って来たパーティーメンバーとダンジョン探索ですよ。今日は、ここで泊まって明日も続けていく予定です」
そう言うと、ガルドさんは「そうなのか、それなら頑張れよ。俺は今日の探索分を持って帰って酒でも飲む予定だ」と言い、最後に「じゃあな」と言って走り去っていった。
流石Bランクの冒険者なだけあって、既に姿が見えなくなった。ガルドさんが去った後、読書に戻った。
そして、アリス達との交代の時間になりアリス達を起こし自分のテントの中に戻った俺は直ぐに眠りについた。自分では思ってない程に体は付かれていた様で、直ぐに深い眠りに入れた。
次の日、テント前で喋っているアリス達に「おはよう」と言って出て来た俺にアリス達も挨拶を返し、アリス達にテントの片づけを頼み俺は朝食の準備を始めた。
「アリス、ミケ。スープと肉どっちが良い?」
「う~ん、スープが良いかな朝だし」
「私もスープで良いですよ」
「分かった。なら、スープにするか」
アリス達にどっちが良いか決めて貰った俺は、アイテムボックスから3人分よりちょっと多めのスープが入った鍋を取り出し、人数分の皿とコップを取り出した。コップには、氷魔法で氷を作りその中に俺特製のジュースを入れてアリス達が終わるのを待った。
片付けが終わったアリス達に手拭きを渡し、手を綺麗に拭いた後皆で「いただきます」と言って朝食食べた。
新作を投稿しました。よければそちらも読んでみてください。
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