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第145話


 買い足しを続け、ある程度拾った所で待ち合わせ場所である。広場のベンチに行くと、アリス達は既に居た。


「そっちは、どうだった?」


「うん、ちゃんとクリフ君のメモ帳にあった物は全部買ってきたよ」


 とアリスはバッグを下ろし中身を見せてくれた。そこには、俺がメモを渡して買って欲しい物を書いていた物が揃っていたので俺はバッグの中身をアイテムボックスに入れてアリス達に「ありがとう」と言った。


「クリフ君、この後どうする?」


「う~ん、そうだな……アリス達は何かしたい事あるか?」


「う~ん……あっ、そうだ。この前、少ししか見れなかったけどクリフ君のドラゴンが見たいな」


「ドラグノフか? ああ、良いよ。それじゃ、家に移動しようか」


 アリスは、地面に置いていたバッグを背中に背負い俺達は、俺の家に向かった。家に着いた俺は、中に入りドラグノフ達が居るであろう地下室に下りた。

 地下室の扉の前に着くと、部屋の中から「くっそぉぉぉ!」というドラグノフの叫び声が聞こえ、俺は扉を開け中に入ると机の上に突っ伏しているドラグノフとその横で勝ち誇った顔をしているアーリンが居た。

 この光景を見ただけで、察しが付いた。多分、ドラグノフはアーリンとの勝負に負けて悔しくて叫んだんだろう。


「あ~、ドラグノフ、アーリン。ちょっと良いか?」


「あら、クリフ君。おかえりなさい、どうしたの?」


「なんだ~、クリフ?」


 ドラグノフの顔をツンツンとして遊んでいたアーリンと悔しくて机に突っ伏していたドラグノフがこちらを向いて、そう言った。

 そして、俺の後ろに居たアリス達を部屋の中に入れドラグノフ達に紹介した。ドラグノフ達も名乗ると、アリスとミケは「妖精王」と言ったアーリンに驚いた。


「あら? そんなに驚かなくても良いわよ。仲のいい、女友達と思ってちょうだい、クリフ君の友達は私にとっても友達だから」


「「は、はい……」」


 前回、会っていたミケはアーリンと既に仲良くなっていた分その相手が妖精の中の王様だと知り、アリス以上に驚いていた。


「なあ、ドラグノフ。ちょっと、外に出て竜の姿になってくれないか? アリス達がお前に乗ってみたいって言ってたから」


「んッ? 良いぞ、我も負けっぱなしで気分転換もしたかったしな、しかし良いのか? 王都で竜の姿になると騒がれたりしないのか?」


「大丈夫だよ。前も毒竜の討伐に行く時、騒ぎにならなかっただろ? 既に王都中に俺の従魔としてドラグノフが認知されているから」


「それは、つまり我は王都の全市民からクリフの従魔だと知られているのか……他の奴等に我の事がバレなければいいのだが……」


 ドラグノフはブツブツと何か言いながら、俺達の後ろを付いて来て裏庭に出た。ドラグノフに竜の姿に成ってくれと言うと、いつものあの迫力のある竜の姿に成りアリス達は、それに驚いた。


「アリス、ミケ。俺の肩に掴まって」


「えっ? う、うん」


「分かりました」


 俺は、アリスとミケに俺の肩に掴まる様に言い。【空歩】で空を飛び、ドラグノフの背中に乗った。そして、ドラグノフに「空を飛んでくれ」と指示を出し王都の空の旅に出た。

 直ぐに王都の外に出た俺達は、そのまま王都付近の草原や森の上を飛び空の旅を楽しんでいると一匹の竜がこちらに近づいてきた。


「ッ! アーリン、我に風の加護を寄こせ!」


「なによ。その命令口調は」


「良いから! 早く、してくれ!」


 ドラグノフは慌ててアーリンにそう言うと、アーリンは渋々ドラグノフに風の加護を与えると「少し、揺れるぞ」と言って今までない位早いスピードで王都の方へ急カーブして、竜から逃げる様に飛び始めた。


「ドラグノフ、どうしたんだよ?」


「奴は、駄目だ。絶対に、掴まってた……」


 心配してドラグノフに声を掛けるも俺の声が聞こえてないのかブツブツと小言を言いながら飛んでいると、先程の竜が急に真上に移動して来た。そして、ドラグノフの前にバッと姿を現せるとドラグノフはその竜の横を振り切ろうとカーブしたが白い壁にぶつかって止まった。


「あらあら、ドラグノフ。私から逃げれるとでも思ったのかしら?」


「……な、何の事だ。我は、ただ故奴等を乗せて空の旅をさせてただけだぞ」 


「あら? そうなのって、あらその子は……成程、そう言う事ね。それにその首の魔力は、貴方従魔になったのね」


 目の前に姿を現した銀色の竜は、そう言うとドラグノフをジッと見つめると急に笑い始めた。


「あの、ドラグノフが従魔だなんて! これは、皆に知らせるしか無いわ!」


 銀色の竜は急にそう言うと白い壁を消し、来た方向へと戻って行った。


「ああ……これで、終わりだ……」


「なあ、ドラグノフ。さっきのは何なんだよ?」


「……奴は、我の知り合いの竜で一番の話好きな奴でな、自分が知った事は絶対に竜仲間に喋るんだ。そして、奴の知り合いには、我の知り合いも沢山居てな……」


 そこまで聞いて納得した。そう言えば、従魔の登録をした時にもそんな事を言っていたなと思いだした。


「奴は、竜の中でも魔力の感知が上手い奴でクリフが掛けた従魔魔法の上に我が偽装で隠していたのにも関わらず奴は見破ってしまった……」


 その後、落ち込むドラグノフに我が家の裏庭まで飛んでもらい、降りるとドラグノフは「暫く、地下室に籠る」と言って走って言ってしまった。


「な、何かすまんな」


「ううん、楽しかったし良いよ」


「私も初めてだよ。ドラゴンの上に乗ったの」


 その後、門の所までアリス達を送り「また、明日な」と言って別れた俺は、アーリンに「ドラグノフの事頼むよ」と言ってレドルの杖を使い、竜の里に転移した。

新作を投稿しました。よければそちらも読んでみてください。

名前はまだ無い、異世界転生者の物語:https://ncode.syosetu.com/n8643en/

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