第142話
ドラグノフの眷属が知らせに来て5日が経った。父さんに報告した翌日には、クールベルト家の兵士と父さんが村に向かった。そして、知らせ通り村付近に居た者達は盗賊で村へ襲撃する前に父さん達が着き捕縛し王都まで連行して来たのが今日だった。
2日前に帰って来ていたドラグノフにそれを聞いてた俺は、母さん達にも知らせ、いつも通りアリス達と依頼を受けていた。そして、今日も王都の外へ依頼を受けに行っていた俺達は、ある実験をする為にアリス達には戦わない様に待っててと言った。
今日の依頼の対象は、レッドボアとイノシシの様な魔物の討伐依頼だった。
「ゴレ助、あいつらを倒せ」
胸ポケットに入っていたゴレ助にそう命じると、土魔法で自らの形を変え人型になり土で槍を作りボアへと向かって走って行った。
「ブルル――」
ゴレ助は土の槍をボアの頭に突き刺し、一発でボアを仕留めた。そして、二匹目のボアが突進してきたのを土の壁で止めそのまま壁でボアを下敷きにした。
その後も続けて突進してくるボアを軽々と倒して行くゴレ助を見て「思っていた以上に強いな……」と呟くと全て倒し終わったゴレ助がチびゴーレムに戻り俺の頭によじ登って来た。
「す、凄いねそのゴーレム」
「ああ、俺もここまでやれるとは思わなかったけどな……」
俺達は驚きながらゴレ助を見ると、俺の頭の上で嬉しそうに左右に揺れていて褒められて嬉しそうだった。その後、ゴレ助が倒したボアをアイテムボックスに入れた後、王都に戻ってきた俺達は依頼の報告をしにギルドに向かった。
「んっ? 何か人が集まってるな」
「何か、あったのかな?」
ギルドの前に人が沢山集まっていたのでその中心に3人で向かうと、冒険者が5人いてその中に2人血だらけの人が横になっていた。血だらけじゃない冒険者の人が「だ、誰か助けてくれ!」と叫んでいたので俺はアリス達に「ちょっと、行ってくる」と言ってその冒険者の人達に近づいた。
「ちょっと、退いてください。回復魔法掛けるので」
そう言って、真ん中の冒険者達のグループの所に辿り着くと、冒険者の人は俺の顔を見ると「回復魔法が使えるのか?!」と驚き俺の肩を掴んだ。
近くに来て、この人達の顔を良く見たが、王都の冒険者ではなく外から来た人達だと分かった俺は「はい、なのでそこを退いてください」と言って肩から手を離してもらい血だらけの冒険者2人に回復魔法を掛けた。
俺の回復魔法の威力は直ぐに現れ、傷だらけだった冒険者の体が徐々に回復していき寝ている冒険者はキツそうだった顔つきが穏やかになり寝息をたてながら眠っていた。
「一応、回復魔法は掛けて傷は回復させました。今は、疲労で寝ているだけなので安全な場所で寝かせてあげてください」
「あ、ああ、ありがとう」
そう言って、冒険者のグループは寝ている冒険者2人を担ぎこの場から去って行った。俺はアリス達の所に戻り、ギルドに入ろうかと言って中に入りレインさんに依頼の報告した。
「クリフ様。先程はありがとうございました」
「んっ? ああ、グルド前の事ですか? 別に良いですよ。助け合うのも冒険者ですし」
「……ええ、まあそうなのですがあの人達、実はEランクのパーティーなのですが私達の注意を聞かずダンジョンに勝手に忍び込んだ人達なのです」
「……あ~、だから装備もボロボロだったんですね。こういう事ってよくあるんですか?」
そう聞くと、レインさんは「そうですね。偶に他の街から、王都のダンジョンの噂話を聞いた人達が入って死ぬというケースは珍しいと言う訳ではありませんね」と疲れた様に言った。
「あの人達って、どうなるんですか?」
「無断でダンジョンへ侵入をしているので、半年間のギルドから除名くらいですみますよ。まあ、戻って来ても既に信頼を失っているので特別依頼等が一切受けれず一生を低ランクで過ごすことは確定してますが」
「そ、そうなのですか……」
レインさんは少し怒りを滲ませながら言うと、「失礼しました。感情が少し、出てました」と笑ってごまかした。その後、俺達は報酬を分けて解散した。
家に戻ってくると、三泊四日のデート(旅行)に行って戻って来てもイチャイチャしてる爺ちゃん達がリビングに居て「失礼しました~」と言って俺は自分の部屋に戻りドラグノフ達とゴレ助と一緒にトランプで遊び、夕飯までの時間を潰した。
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