表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/192

第14話

 バルド様は少しの間放心状態だったが自分の娘が突然おかしくなったのを思い出し小さい声で「そう言う事だったのか」と言った。


「しかし、困った事になった。悪魔なんぞ相手にした事が無いから、どう対処すればよいのか分からん。ただ分かるのは憑依されているものを殺すと悪霊として出てくると伝承に残っているから、どうしたものか…」


 レグルス前国王と伯爵のバルド様、そして執事のお爺さんが3人困った顔をして考えていた。俺はその時、爺ちゃんをトントンと呼び俺が【悪魔祓い】のスキルの内容を先程は端的に説明をしたが今回は3人が考え事をしていたのでボソボソと俺は爺ちゃんに伝えるべき事を伝えた。すると爺ちゃんは「ならば、行けるかのう」と言って目の前で考えていた3人を呼んだ。


「リグル、何かいい案を思いついたのか?」


「うむ、儂にちょっとした策がある。しかし、それは余り人に見られては困る物じゃから今回動くのは儂と儂の孫のクリフだけじゃ」


「リグルが動くのは分かるが、クリフ君もか? 相手は【悪魔】で魅了を使ってくるんだぞ? 子供とは言え魅了にかかったら」


「大丈夫じゃよ。この子もアーサー殿下や儂と同じ【全状態異常耐性】持ちじゃ、それにこの子が居たらクリムを呼ぶ事だって出来るじゃろう」


 爺ちゃんがそう言うと、レグルス前国王は「なるほど、流石リグルの孫だ。それに息子が、遥々遠い別荘から尋ねに来たと言えば、あちらも動かざるを得ないだろう。

幸い、先程見た感じだと王都でブラブラとデートしてたようだしな」と言って納得した様で、すぐさま執事に俺の父達を呼ぶよう指示を出した。

 一旦話し合いが終わり、今後の動きを確認をし俺の両親を呼ぶ場所は伯爵家で行う事にした。先に伯爵家の方に連絡をして家に居る者を全員外に出しておくようにとバルド様が連絡をしていた。魅了が使える【悪魔】が来るのだから、家の中に人が居ない方が相手に味方する者が居なくなる。


「リグル様、貴方の娘様の旦那を取ってしまった私の娘ですが、どうか助けてやってください」


「バルド殿、頭を上げるのじゃ。位は主のが高いんじゃから、それにのう【悪魔】が関与していたんじゃ儂だって主の娘は助けるつもりじゃよ」


「ありがとうございます。リグル様……」


 バルド様はそう言って、もう一度頭を下げるとレグルス前国王の元へ行き話をしていた。


「して、クリフよ。どうじゃ、出来そうか?」


「うん、一応行く途中で念の為にスキルレベルを少し上げておこうと思ってる。万が一、それで失敗したら時間稼ぎよろしくね。爺ちゃん」


「うむ、初めての孫との共同作業じゃのう。腕がなるわい」


 爺ちゃんは今から未だ未知となっている【悪魔】とこれから戦うってのに嬉しそうな顔をしていた。この顔は、孫と一緒に何かをする祖父の顔ではなく、戦いに楽しさも持つ戦闘狂の顔だった。

 それから、伯爵家に移動した俺達は持ち場へと移動した。俺と爺ちゃんは客間で、父と【悪魔】を待つことに。レグルス前国王とバルド様は別の部屋で事が終わるのを待って貰う事に、そして執事さんは彼自身【魅了耐性】を持っていたので【悪魔】達をこの部屋に呼ぶ役目をしてもらった。


そして、先程も言ったように俺はこの部屋に着いてからステータスを開き【全状態異常耐性】と【悪魔祓い】それぞれ2レベルへ上げた。使ったポイントは合計1500、【全状態異常耐性】を上げるのに1000ポイントも使ってしまった。

 やはり、この全耐性複数のスキルが合併してできたスキルだからそれなりのポイントは使ってしまったが個々で上げたらもっと消費が激しい事に気が付き、合併した方がポイントでのレベル上げは簡単なのかなと思ってしまった。


「……」


「どうした? クリフ、今になって怖くなったのか」


「いや、別に【悪魔】に対して怖さは今のところないけど2年ぶりに会う父さんの方にちょっと緊張してる」


 俺がそう言った後、爺ちゃんは「子供っぽい所もあるんじゃのう」と俺の事を笑った。確かに子供っぽい所かも知れないが、今は「子供」なのだから仕方ないと反論はせず光魔法を使って爺ちゃんの目元をピカッと照らし目潰し攻撃をした。

 爺ちゃんは俺からまさかこんな事されるとは思わなかったらしくその後1分位目が治るのを待つ間、パチパチと瞼を閉じたり開けたりをゆっくりとしていた。


「リグル様、子爵夫妻を連れてまいりました」


「うむ、入ってよいぞ」


 爺ちゃんの目が治って数分後、外に居た執事さんから俺の父さん達が着いた事を知らせてくれた。爺ちゃんは執事に入室の許可を出した。入って来た若い男女は先程、街で見かけた男女だった。


「リグル様、お久しぶりです」


「うむ、久しいのうクリムよ。まあ、そこに座るのじゃ」


「はい」


 入って来た若い男、俺の父さんと爺ちゃんはそんな会話をして父さん達を向かい側のソファに座らせた。そして、2人が座った瞬間その椅子から蔓のような物が伸び2人を拘束した。


「なッ! これは、何ですかリグル様!」


「そうですよ。何で私達がこんな仕打ちをされないといけないのですか!」


 2人はそう叫ぶと、女の方がなにやら黒いモヤッとした魔法を俺と爺ちゃんに放った。しかし、その魔法は俺達に触れるなり掻き消え若い女は「どうして?!」と叫んでいた。

 俺はその間も初めて使う魔法に慣れず上手く発動するのに時間がかかったが当初の予定通り【悪魔祓い】を発動し若い女へ魔法を当てた。


「ッ! キャァァァァ!」


「ど、どうしたんだ! リグル様、それにクリフ私の妻に何をしたんだ!」


「……黙って、父さん」


 魅了状態とはいえ、俺の母さん以外の人(アイラさんは別)を【妻】と言った父さんに凄い怒りを持ち、父さんを睨んだ。

 それから、【悪魔】の憑依されている女性はずっと叫び続け3分位経つと体から黒い靄が抜けて行き、静かに瞼を閉じ「す~す~」という寝息を立てながら眠った。【悪魔】が消えた事によって魅了状態であった父さんも、また黒い靄が消えていくのが見え、目をパチパチとした後、俺と爺ちゃんに向かって「……義父さん、本当にすみませんでした。クリフも悪かった!」と言って土下座をした。

 その後、執事さんにレグルス前国王と伯爵様をこの部屋に呼んでもらった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ