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第13話


 レグルス前国王は伯爵家の人と連絡が取れたようでこちらの指定する場所に来てくれると言われたと爺ちゃんに報告した。


「ふむ、それじゃその場に向かうかのう。クリフはどうする?」


「僕も行くよ」


「そうか、レグルス主も着いてくるとしてアーサー殿下はどうするのじゃ?」


「すみません、私は今はクリフ君の兄にあたる者達に報告してきます。その者達に報告を済ませた後に話し合いの場所に後から行きたいと思っているのですが、良いでしょうか?」


「うむ、そうじゃのう子供達には非が無いとは言っても母親の話じゃからな、しかし落ち着かせて来させるのじゃよ」


「はい、あの者達も私と話をしていたのでこうなる事は決心していたと思います」


 アーサー殿下はそう言って、俺達に「それでは、直ぐにあの者達に伝えに行きますのでこの場は失礼させてもらいます」と言って出て行った。俺より数年先に生まれた子供なのによく出来る殿下だなと思ってしまった。


「それじゃ、儂達も出発するかのう。レグルス、話し合いの場所まで案内頼むぞ」


「分かっとる。……はあ、どうか明るい未来が待って居ますように」


 レグルス前国王はそう呟いた後に一旦部屋から出て行き、戻ってくると自分の体が全て隠れるようなローブを着て1人の執事と一緒に入って来た。流石に前国王となると顔も王都民に知られているので隠れながらその場所に向かうらしい。

 それから、俺達はなるべく人通りが少ない所を通って話し合いの場所に向かっていた。すると、人通りが多い所に若い男女が護衛を連れているのが見えた。


「……爺ちゃん、あれって」


「ああ、クリムじゃな確かに儂の鑑定眼でも奴は【魅了】にかかっている様じゃそれに周りに居る護衛もじゃな」


「先に聞いておくけど、爺ちゃんは魅了耐性持ってるよね?」


「勿論じゃ、というか全状態異常耐性を持っておるからのう。儂は大丈夫じゃから安心するのじゃ」


「良かった。……爺ちゃん、ちょっと待って」


 俺は最後に父の横に立って居る若い女性、俺の家族を壊した張本人の三女を見て違和感に気づき爺ちゃんを呼び止めた。


「なんじゃ、クリフ」


「いやさ、目が悪いのかも知れないけどさあの夫人の周り黒い靄みたいなのがある様に見えるんだよ」


「……これは、ちと厄介な物を発見したのう。おい、レグルス」


 爺ちゃんと一緒に止まっていた俺達の後ろから追いついたレグルス前国王に爺ちゃんが話を掛けた。


「主の国は、どうしてこう厄介な者から目をつけられるのじゃ」


「何の話だ?」


「あの、娘【悪魔】に取りつかれておるぞ」


「ッ! 【悪魔】だと?!」


 レグルス前国王は驚き大声を出しかけたが何とか踏み止まった。


「ああ、クリフが黒い靄と言うから儂があの娘を鑑定眼で見たんじゃが、あの娘、悪魔に取りつかれておったんじゃよ」


「……まさか、【悪魔】が本当に居るなんて」


 さっきから悪魔、悪魔と言っているがどんな悪魔なんだ?


「ああ、クリフは【悪魔】の事は知らなかったのう。簡単に説明すると自分の事を【ゲームの中のヒロイン】だと言い権力が高い者を手駒に取り令嬢に罪なき罪を叩きつけたりする者の事じゃ。儂も今まで見た事も無かったがまさかこんな所で出会うとはのう」


 爺ちゃんがそう言った小声で「クリフの様な転生者に似ているが奴等は特別な力を持ってくるような奴等ではなく【知識】だけを持ってくる者達じゃ」と教えてくれた。

 俺は爺ちゃんの話を聞き俺はふと昔見た小説の事を思い出した。


(今の話って、恋愛小説とかそう言う類の事だろ。何でこの世界でそれが通用してんだよ。まして、その【ヒロイン】だと思ってる奴が何で俺の父親を取ってんだよ)


 俺はその思った事を叫びたかったがグッと我慢した。今この時は自分が3歳児である事を恨んでしまった。


「困ったのう【悪魔】に取り憑かれておるのじゃったら流石に儂も殺すような事は出来ないのう」


「リグル、どうする。儂も【悪魔】の対処の仕方、祖父に一度教えて貰った事があるが昔の事で忘れてしまった」


「う~む、【悪魔】に取り憑かれている者を殺したら憑かれていた者の魂が残ってしまうと言う伝承があるからのう」


 爺ちゃんとレグルス前国王、そしてその話を聞いていた執事が困ったと口々に言っていた。その時、俺は誰からも見られない所爺ちゃんのローブの中に隠れステータスを開きスキルの項目を開いた。


(え~と、確かここら辺にあったような……)


 この世界に転生してやる事が限られている中で俺がしていた1つの事は【スキルの復習】だった。転生時は時間をかけるのが嫌で必要な物だけ取って来たがこっちに来たら時間が有り余っていたのでその時に必要になりそうな物を事前に調べていた。

 そして、今回取ろうと思ったスキルは光属性に属するスキル【悪魔祓い】という物でこれの能力は【除霊】の上位互換で霊が悪魔化した時でも使える物、【悪魔】を黄泉の世界に送るスキルだ。ポイントの値段は600ポイントだった。俺はそれを取り爺ちゃんに報告した。爺ちゃんは「ふむ、それなら動けるのう」と言って当初の目的の場所である話し合いの場所へ向かった。(残りのポイントは30500だ。)


「すまん、バルドこんな所に呼び出してしまって」


「いえ、レグルス様からの呼び出しです。私はいつどこでも行きます。どうです、隠居生活の方は?」


「中々、良い物だぞバルドも早く息子に譲って一緒に隠居生活何てどうだ?」


「ハハハ、それは楽しそうですね」


 レグルス前国王と呼ばれていたであろう伯爵家の当主の人は久方ぶり会う友のような会話をした。


「レグルス、早く本題に入れ時間がないんじゃから」


「そうだったの、バルド今から言う事をなるべく驚かず聞いてくれ」


「はい、レグルス様」


 レグルス前国王は先にバルドさんにそう言って先程の事をバルドさんに伝えた。バルドさんは最初自分の娘がやっている事は知っていたらしく自分達にも魅了を掛けていたのは知っていたが娘が出て行った後でどうする事も出来なかったと言った。


「うむ、そしてバルドこれが一番の伝えないといけない事なのだが」


 そうして、レグルス前国王からの口から「主の娘には【悪魔】が憑いている」と伝えられたバルド様は驚き過ぎて放心状態になった。

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