第129話
オーク狩りを始めて30分、俺達は倒したオークを討伐部位である右耳を剥ぎ取り、いつもはそのままアイテムボックスに入れているがガルドさんから「今の内に解体の仕方を覚えていた方が良いぞ、他のギルドじゃ王都の様に解体を無償でしてくれる所は少ないからな」と言われ、ガルドさんに解体の仕方を教わりながらアイテムボックスに入れて行った。
「ガルドさんって結構、色々と知ってるんですね」
「まあ、これでも冒険者にも色んな仕事をしてたからそれの名残で色々と覚えてるんだよ。まあ、礼儀は覚えてなかったけどな」
と笑いながら言った。そんなガルドさんも今日ギルドに居た時、他の冒険者と一緒に話して居るのを見たので少しずつ周りにも馴染めている様だった。
解体も終わり、帰ろうと立ち上がるとガルドさんの腹が鳴った。
「そういや今日、朝飯食って無かったんだった」
「朝飯抜くって、冒険者としてどうなんだよ……」
「いやぁ、俺1人暮らしなんだが料理なんて覚えてもないんだよ。だから、いつも近くの飯屋で済ませてたんだが、そこのおやっさんから「肉が最近高くなって仕入れが難しい」って言われてよ。それで今日、飯抜いて朝からギルドに来てたんだよ」
「……それで、オーク狩りか道理でランクに見合った依頼を受けなかったわけだ。いいよ、それなら俺が作るよ」
そう言って、料理器具をアイテムボックスから出し、前に買っておいたウルフ肉と野菜を塩で味付けしながら焼き、更に先程取ったオークの骨を出汁として使いスープも作った。
「おお、手際が良いな、クリフ料理出来たんだな」
「ダンジョンに潜った時うまい物が食いたいしな、ちゃんと今から勉強してるんだよ」
「成程な、それじゃいただきます」
ガルドさんはそう言って、一口食べると「おお、美味しいな」と言ってパクパクと食べ進めあっという間に全部食べてしまった。腹が膨れたガルドさんにお茶を渡し、その後王都へ戻った。
王都に戻った俺達は、ギルドに行きオークの討伐部位を渡し報酬を貰った。
「なあ、クリフ。オークの肉俺に譲ってくれないか……」
最初は売ろうと思っていたがガルドさんの飯屋の話を聞いた後、後で渡そうと考えていた俺は「いいですよ」と言ってガルドさんにオークの群れ10体分の肉を渡した。ガルドさんはお礼と言って先程の報酬を渡そうとしてきたが「いいですよ。解体の勉強料としては安いですから」と言って断り、ガルドさんと別れた。
ガルドさんと別れた俺は、この後何しようかと考えながらギルドから出ると冒険者に成る時に買った皮鎧がブチっと音共に地面に落ちた。
「……用事が出来たから良いのか、気に入っていた物が使えなくなったという悲しい現実と向き合えば良いのか……」
そう呟きながら、落ちた皮鎧を拾い。アイテムボックスに入れ、久しぶりにガルフさんの工房に行って見ることにした。
ガルフさんの工房がある裏路地に行くと店の前にケートさんが居て、店先を掃除していた。
「こんにちは、ケートさん」
「クリフ君、久しぶりだね。どうしたの?」
「さっき依頼から帰ってきたら、愛用してた皮鎧が寿命でお亡くなりになったので新しいのを買おうと思って買いに来たんです」
「成程、今日はガルフさんカウンターに出て来てるから直接頼むといいよ」
ケートさんにそう教えられながら店の中に入るとガルフさんがカウンターの奥で椅子に座り、剣を磨いていた。
「おっ、クリフ。久しぶりだな」
「ガルフさん、こんにちは、あの使ってた皮鎧が壊れたんで新しいの買おうと思ってきたんですけど」
「鎧か、材料は何がいい?」
「出来れば、今まで通り皮が良いで。あっ、材料にこれって使えますか?」
そう言って出したのは先日、討伐した毒竜の死体の頭部分。あの時、持って帰った毒竜の頭とその後兵士さん達が持って帰って来てくれた毒竜の胴体を俺は討伐者としてギルドに売るか持って帰るか聞かれ、金には困ってなかった俺は毒竜の素材がいつか役に立つかもと思い持って帰って来ていた。
「ほう、毒竜の死体か……アイテムボックス入れておったようだから、鮮度も良い。ふむ、皮鎧の素材として十分だな」
「それじゃ、こいつでお願いします。一応、胴体の方もありますが使いますか?」
「いや、頭でも十分だな……それに、鎧だけじゃ素材が余るから鎧以外の装備も作ろう。代金は、鎧分の銀貨5枚で良いからな」
「してくれるなら、嬉しいんですけど……本当に良いんですか?」
「久しぶりの竜の素材を打てるなら別に構わねえよ」
そう言った後、早速俺の体を測り直ぐに裏の工房へと行ってしまった。行く時に「出来上がるのに3日かかる、3日後受け取りに来い」と言われたので今日は家に帰ることにした。帰る時、ケートさんに挨拶をし、家に戻った。
新作を投稿しました。よければそちらも読んでみてください。
名前はまだ無い、異世界転生者の物語:https://ncode.syosetu.com/n8643en/




