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第124話


 家に帰宅した後、ドラグノフ達は「リバーシーの訓練をしてくる」と言って地下室の部屋に行ってしまった。一人になった俺は、一応Cランクになった事を父さんに教えようと思い父さんが居るであろう書斎に向かった。

 思っていた通り、書斎で書類の山の前でひとすらにらめっこしていた父さんが入って来たに気が付き「クリフ、おかえり」と言って持っていた資料を置いて溜息を吐いた。


「流石に朝からずっと資料と向き合ってると肩が凝るな、クリフ肩コリに何か効く魔法とか無いか?」


「う~ん、肩コリに効く魔法は知らないけど今日の夜爺ちゃんと竜の里にある温泉に行くつもりだけど一緒に来る?」


「温泉?! 行くッ、風呂は私も好きなんだよ」


 父さんは「温泉に行ける」と分かった瞬間、肩を回していたのを止めて資料を猛スピードで片付け始めた。


「ねえ、父さん。ちょっと報告する事があるから手止めれる?」


「んっ? ああ、用事があって来たのか何かな?」


「さっき毒竜の件でギルドに行ってくるって言ったでしょ? その時に俺Cランクに上がったんだよ」


 ランクアップしたと父さんに報告するとピタッと体が止まった。そして「遂にか~」と言って顔を上げ俺の方を向いた。


「ギルドでもなんか変な違和感感じたけど、Cランクになったらなんかあるの?」


「まあ、何かある。というより、なった。と言った方が的確かな、冒険者のランクの説明は最初受けたよね?」


「Eが最低でSが最高、6段階に分かれてるって」


「そうそう、E・D・C・B・A・Sと6段階になっててEとDは冒険者で言うと【新人】という扱いなんだよ。依頼もダンジョンへ入るのも規制されるのは、冒険者という枠組みの中で未熟な者達を最初から危険な所へ行かせない為なんだよ。しかし、Cランクからは【一般】という扱いになる。一般になった冒険者は高難易度のダンジョンや依頼もパーティーだと受けれるようになるんだよ」


「成程、と言う事は俺は今日でやっと【冒険者】の仲間入りしたって事で良いのかな?」


 そう聞くと、父さんは「そうだね。Cランクからは冒険者として今までとは違った依頼を受けるから頑張るんだよ」と応援された。


「そして一番重要なポイントが2つ有るんだよ」


「2つ?」


「1つはCランク以上の冒険者は、3名以上のAランク冒険者もしくは複数のギルド長の推薦があれば【2つ名】私で言うと【深紅の戦士】といった物が送られる事になってるんだよ」


「……えっ? ちょっと待って、じゃあ俺もしかしてそんな〝恥ずかしい名前〟つけられるの?!」


 〝恥ずかしい名前〟と言うと父さんは俺の方を見ながら笑顔で言った。


「慣れるよ」


「嫌だぁぁァァァ~!!」


 俺が泣き叫んでいると爺ちゃんが書斎に入って来て「どうしたんじゃ?」と聞いてきたから、今聞いた事を伝えた。


「成程な、しかしこれで一緒にダンジョンに潜る夢に一歩近づいたじゃないか」


「近づいたけどさ……いや、でも3名以上のAランク冒険者に推薦されなければ【2つ名】は付かないから大丈夫かな……」


 そう呟き爺ちゃんと父さんを見ると2人は俺の方を自分達を指で指しながらこういった。


「1人目」


「2人目」


「言うと思ったよ。こんちくしょッ!」


 俺はそう言いながら「後1人見つかりませんように……」と数年前にあった神様へ祈りを捧げた。


(無理じゃな)


 祈りを捧げている神様は慈悲も無く俺にそう言った。地面に膝をつき落胆している俺に対し父さん達は「楽しみですね。クリフの2つ名」と楽し気に話をしていた。


「もういい、この話これでおしまい。どうせ、後1人も母さんかアルティマさん辺りが推薦してきそうだから決まった未来に嘆いても仕方ない。それでさっき2つのポイントって言ってたけどもう1つは何?」


「もう1つは〝クランの立ち上げ〟だよ。これは、複数の仲間の冒険者とギルド側からの信頼があればの時に成立する物だけどね」


「クラン? そう言えば、先輩冒険者の人達がそんな事を話ししてるのを聞いた気がする」


 クランの立ち上げにはCランク以上の冒険者をリーダーとし、立ち上げ時に5名以上の【冒険者・商人】の加入書への手続き、2名以上の受付嬢とギルド長1名の【サイン】がある時、立ち上げる事が出来る。

 クランには【冒険者・商人】関係なく参加する事が出来、内容としては〝大きくなったパーティー〟といった感じでクランに入っている同士であれば一々パーティー申請を出さずに一緒に依頼を受ける事が出来るらしい。


「それって建てる意味とかあるの?」


「まあ、あるとしたらクラン事態にもランクがあって高ければ年に一度ギルド側から報酬があったりギルド主催の催しに参加する事が出来るね」


「成程、まっ今はクランの事より【2つ名】のが優先かな、【2つ名】ってどう決まるの?」


「う~ん、私の時は戦場で鬼人化をずっと使ってたらいつの間にか【深紅の戦士】とか呼ばれてたね。まあ、あの時は返り血で真っ赤になってたからそう呼ばれ始めて定着したのかな?」


「儂の時は既に決まっておった様じゃな、レグルスが勝手に【覇王】とギルド側に言ったみたいじゃ」


 それを聞いた俺は、今までの自分の行いを振り返った。そして血だらけに成ったり暴れたりしていない自分の過去に少しだけ安心したが最近ガルドさんをボコボコにした時に何か冒険者さん達からボソボソ何か言われていたのを思い出し、再度俺は崩れ落ちた。

クリフ君に未来(2つ名が付く)はほぼ確定の様なものですね。

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