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第11話


 異世界に転生し3年の月日が経った。1年目は「あう~」や「きゃっきゃ」としか言わなかった俺は今では普通に喋っている。普通にと言っても難しい言葉は母親や家族の前では喋ったりしていない。ただ1人を除いてはだけど……


「ねえ、爺ちゃん」


「何じゃ、孫よ」


「一応前に説明したと思うけど、俺ってさ転生者なんだよね」


「うむ、そのことは聞いたぞそれに儂の知人の中にも別の世界から来たという者もおったしのう。奴は魔物とは違う妖と言った魔物に似た生物が居る世界から来たと言っておったのう」


「うん、その話は何度も聞いたよ。それでさ、最近気づいたんだけどさ俺のお父さんって2年前爺ちゃん達が来る少し前に1度来ただけでそれ以降2年間来てないよね?」


 俺はそう言いながら先程から爺ちゃんと裏山で弓を使い獲物を狩っていた。獲物は大体、兎や鹿、偶に鳥を狙っては矢が当たらず魔物に当たり毎回爺ちゃんに「鳥は狙いにくいんじゃクリフはまだ地を走り回っている獲物を狙うのじゃ」と怒られていた。


「うむ、そうじゃのう。奴は貴族じゃからのう色々と大変な事はあると知っておるが、2年も帰ってこないとはどういうことじゃろうかのう」


「うん、俺もそれ思ってたんだよね。だからさ、爺ちゃん一回俺達で見に行かない? もしかしたら、何かあったのかもしれないし」


「う~む、そうしたいんじゃがクリフよ。お主は今自分が何歳なのか把握しておるかのう?」


「3歳だよ」


「その3歳児が急に王都に行きたいと言ってもリサラが許さんじゃろう。こうして、裏山に来るのだって半年間粘ってやっとこれたんじゃから」


 爺ちゃんはそう言いながら、俺が外した矢が当たって怒った魔物を倒した。しかし、この爺ちゃん本当に弓の使い方が上手いこうして俺と喋りながらも一撃で魔物を倒していた。何故俺がこうして今裏山に居るのはここに居る俺の爺ちゃんのせいであった。


 異世界に来て2年目の夏頃、朝早く起きて部屋で光魔法の練習をしていた。そしたら、部屋の窓からバッと入って来た爺ちゃんに俺が魔法を使っているのを見られた。


「なんじゃ、クリフじゃったんかてっきり賊が忍び込んでクリフに魔法で攻撃しようとしてたのかと思ったぞ」


「ごめんなさい、爺ちゃん……」


 俺は魔法に関して何も言及してこない爺ちゃんに素直に謝った。


「うむ、しかしまさかこんな小さい子供が魔法を使うとはのう。……流石、転生者じゃのう」


「……えっ?」


「リサラや他の者達は騙せても儂はこれでも何百年と生きておるからの、それ位分かるわい」


 爺ちゃんはそう言いながら俺を持ち上げベッドへと座らせ爺ちゃんも俺の横に座った。


「じ、爺ちゃん何言ってるの?」


「隠さなくてよい、儂には【鑑定眼】という鑑定スキルより強力な他者を見ることが出来る固有能力をもっておるからのクリフが転生者だと最初会った時から分かっていたんじゃよ。先に言っておくがの、儂は転生者じゃないぞ? 普通に何百年と生き若い頃は世界を旅していただけのただの老エルフじゃ」


 俺は爺ちゃんの言葉を聞き、鑑定より強いスキルで俺の事を見られてたんなら流石に隠せないと思い正直に爺ちゃんに話すことにした。最初は、どんな世界から来たのかだとか、どうやって死んだとか、俺の能力の事、色々と爺ちゃんに聞かれた。


「ふむ、それじゃクリフは今までの歴代の転生者の中で一番強い者なのか?」


「どうだろうね。ステータスは既に一部は成人した男性より3倍程の数値になってるけど最初からポイントを割り振り切らなかったからそこまでじゃないかな?」


「成程のう先を見越して転生者の特権を活かして残したのか、良い考えじゃのう。しかし、2歳児が3万ほどのステータスに割り振れるポイントを持っておるとは儂達の努力して鍛えて来た能力を一瞬で追い抜かされるのう」


「でも、まだポイントに手を付ける事は無いかな? 今の所何も起こってないし、困った事態になった時の為にポイントは残しておきたいしその時の問題によって解決できそうなスキルも予習はしてるから」


 俺はそう言いながら爺ちゃんと話をしていると爺ちゃんは行き成り「そう言えば、先程弓が使えると言ったのう?」と聞いてきた。


「うん、一応この世界の武器なら全部使えるけど? どうしたの、爺ちゃん?」


「儂の子供達、リサラも含めて全員が弓の適性が無かったんじゃ。じゃから、儂のこの数百年鍛えた技を伝授する相手が身内の中に居なかったんじゃ、しかしここに弓の適性を持つ孫が居る。言っとる意味分かるじゃろう?」


 爺ちゃんは目をキラキラして俺に語った。そして、その後俺を抱っこすると直ぐに部屋から出て行き母さんの部屋へと向かった。母さんは俺の為にどの絵本を読もうか選んでいる最中だったらしく俺を連れた爺ちゃんに驚いていた。


「どうしたのお父さん?」


「リサラ、さっきのうクリフの適正武器を儂の【鑑定眼】で見たんじゃ、そしたら弓を使えるらしくてのうリサラよ儂自らクリフに弓を教えるの許可してくれんかのう」


「お父さん……いいわよ。お父さん、私達が全員弓が使えなくて落ち込んでいたものね。……でも、お父さんクリフはまだ小さいから裏山には連れて行っちゃダメよ」


「なっ、なんでじゃあの裏山には狩りに最適な獲物が沢山居るから弓の上達には……」


「ねえ、お父さん? クリフはまだ2歳よ? そんな小さい子を裏山にだなんて、神様が許したとしても私が許さないわよッ!」


 俺は久しぶりに怒った母さんを見た。爺ちゃんは怒った母さんに「悪かった。まだ、裏山には連れていかんのじゃ……」と言って部屋を出て行った。それから、俺は早朝から爺ちゃんとの弓の修行が始まった。朝食を食べた後から夕食までは姉さん達と遊ぶのでこの時間帯なら良いと俺から言ったのだが、流石にまだ陽が昇り始めたばかりの時間に起こされ厳しい修行が始まるなんてこの時の俺は知る由もなかった。

 しかし、それから半年間爺ちゃんは毎朝俺に弓の使い方の基礎をたたき込みながらも母さんに「裏山に……」と粘り続けていたみたいでやっと数日前に山に入る許可が出た。


「でもさ、爺ちゃん逆に考えてみてよ。3歳児がお父さんに会いたいからと言って王都に行くんだよ?」


 俺が爺ちゃんに言うと「そうじゃのう……」と言って狩った魔物を解体して使える部分以外は火魔法で焼き払った。(取った素材は俺のアイテムボックスの中に入れている)


「リサラが許してくれるかじゃな……」


「お母さんには俺から言って見るよ。それに王都ってどんな所か見てみたいしさ」


 そう言って今日の狩りは終わりにして家に帰る事にした。家に帰ってきた俺と爺ちゃんは先に狩った魔物の素材を倉庫に兎や鹿の肉を貯蔵庫へと入れて服を着替え俺はお母さんが居る部屋へと向かった。


「あら、どうしたのクリフ?」


「あのね。お母さん、僕、王都に行って見たい……」


 俺は必殺【目をウルウル上目遣い攻撃】をしてそう言うと母さんは、一撃で沈み「そうね。クリフは、ずっとここに居たから街とか気になるわよね~」と言って笑顔で王都に行く事の許可が取れた。俺は母さんに「ありがとう、それじゃ僕お爺ちゃんと2人で行って来てもいい?」と更に聞くと「そうね。お母さん大事な用があるから手が離せないしお父さんに頼みましょう」と言った。

 母さんは爺ちゃんに「クリフについて行ってあげて」と伝えた。爺ちゃんは、少し驚いたが「分かったのじゃ」と了承してくれた。そして、翌日俺は、爺ちゃんと馬車で王都に向かう事になった。王都までこの家から2日位で行ける距離らしいが、益々何故、父さんが帰ってこないのか疑問が膨らみつつ初めて家から出て行った。



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