第101話
族長の家まで帰ってきた俺達は、ドラゴさんから「ここのお部屋を使ってください」と言われた地球でも見た事ある和室に通され、敷布団が敷かれていた。これには少し驚いた俺はドラグノフに「ここの里って日本をイメージして作ってるのか?」と聞いた。
「いや、我は里の掟を作ってからは偶にしか帰ってきておらんかったからこの様に里が発展していたのは知らんのだ」
「って事は、転生者が来て教えたのかな?」
「多分、この里には元々クリフが驚いた米があったから転生者が寄りついてこのように発展させたんだろう」
「成程な、日本人なら米があったら寄り付いてきそうだしな」
俺とドラグノフが話をしているとアーリンが「クリフ君、そう言えばこの里で転移先の場所決めなくていいの?」と当初の目的を思い出させてくれたので出て行ったドラゴさんを追って部屋を出て行った。
「ドラゴさん!」
「ど、どうしましたクリフさん?」
部屋から出て廊下を早歩きで移動すると、違う部屋の中に入ろうとしていたドラゴさんを見つける事が出来たので大きな声で呼び止めた。
「すみません、えっとドラグノフから貰ったレドルの杖でここの里に転移場所を設定したいのですが、何処か使える場所有りますか?」
「レドルの杖……3つ転移先を設定できる神の杖ですか、流石ドラグノフ様。そんな物を持っていたのですね。そうですね……ここの家の裏に1つだけ使っていない倉庫があるのですが、そこで良いのでしたら案内しますよ?」
そう言われた俺は「じゃあ、倉庫使わせてもらいます」と返しドラゴさんに倉庫まで案内して貰い「これが倉庫の鍵です。中には、何も無いので好きに使って良いですよ」と言われたので鍵を開けて中に入ると本当に何もないただの倉庫だった。
「ドラゴさん、有難く使わせてもらいますね」
「はい、それでは私は明日の為の準備がありますので、お昼はどうしますか? こちらの料理人に頼んでおきますが?」
「ここの料理って事は、米とかがでますか?」
「はい、本日の献立は白飯と焼き魚、豆腐になっております」
「ッ! ぜっったいに食べに来ます!」
「は、はい。それでは、3人分作らせておきます。それでは」
ドラゴさんはそう言って倉庫を出て行った。俺はドラゴさんから言われた献立を頭の中で想像してジュルッと涎を垂らしてしまって直ぐに拭いたがドラグノフ達から見られていて「クリフがそんなになるって、さっきドラゴが言った物しってるのか?」と聞かれた。
「ああ、全部俺の元の世界の料理だ。前の世界じゃ、そんなに食べなかったけどいざ無くなってみると食べたくなるのが人間だから今から楽しみでさ、まあお昼が楽しみになった事で一先ず家に一旦帰るか」
そう言って、貸して貰う事になった倉庫にレドルの杖の転移の設定をし先に設定していた王都の家の地下室へとドラグノフ達と一緒に転移して戻った。そして、地下からリビングに行くと母さんと婆ちゃんが居た。
「おかえり、クリフ。結構、長い旅だったわね」
「うん、ドラグノフの里まで行ってきたからちょっと遅くなっちゃった。後、お昼くらいになったらまた戻って明日帰って来るよ」
「そうなの? じゃあ、お昼ご飯は食べないの?」
「うん、向こうの里で作って貰う事になってるから、後もしかしたら向こうの里でもっと色んな食材が手に入るかもだから、また料理したとき味見してね」
そう言うと「味見楽しみにしてるわ」と母さん達に言われ、また里に行くと伝えて地下室に戻りレドルつの杖を使い里に戻った。
里に着いた俺達は、戻って来た事を族長の家の警備の人に伝え里の中を見て回ってきますと言い、ドラグノフ達と一緒に里の中を散策する事にした。
歩き始めて直ぐに畑が見え始め、そこには野菜が沢山実っていてこの世界では見た事無いが前世では見た事が有るような野菜が沢山生えていた。そして、村の中心に近づくと竜人の他に獣人、エルフ、人族と多種族の子供たちが一緒に遊んでいるのを見つけた。
「そういや、ここって竜の里って名前だけど多種族がすごしてるよな?」
「うむ、昔は種族間で争いが合ってな小さな村でも他の種族と分かれば燃やす輩が居たから我の里だけでも種族の壁を無くすように言っていたらこうなっていたんだ。まあ、アーリンが他の所で呼びかけたってのもあるんだろうがな」
「そうね。私もドラグノフの所が一番最初に種族の壁を無くしてくれたから、他の所で村や集落が無くなった子達をドラグノフの所に連れて行ったりしてたからここの里の今の環境は私とドラグノフが作ったようなものかしらね?」
「最初で最後の共同と言う訳だな」
そう言ったドラグノフとアーリンは、いつもの様に喧嘩するのかと少し焦ったが子供たちの方を見て笑みを浮かべていたので、今日は大丈夫そうだなと思いながら散策を再開した。
寝正月をしていまして、書き方を一瞬にして忘れてアーリンとの会話が激減してます。ちょっと慣らしながら少しずつ会話を増やします。すみません。