表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/99

92 おやさいとおかね 【童話】 そらた おかあさん

ぼくはミコちゃんとこうえんであそぶのをおしまいにして、おうちにかえっておかあさんにきいてみた。


「おかあさん。なんで、たべものはおかねがいるときと、おじいちゃんやおばあちゃんからくれるときがあるの?」

「そうねえ」


おかあさんはうでをくんで、しばらくかんがえていた。


「そらたとわたしとで、おみせにいってなにかをかうのってたのしいじゃない?」


うん、それはそうだ。しんがたころなうぃるすのせいで、ちかくのすーぱーにつれていってもらうことがへっちゃって、おみせにいくのはたのしいことなんだなってわかったよ。


「じゃあ、たのしいをかうの?」

「うん。おじいちゃんとおばあちゃんがたいせつにそだてたおやさいは、ありがとうっておもうよね。おみせのたべものをかうときも、ありがとうっていうきもちをとどけるためにおかねをはらうのよ。たべものをつくったとおくのひとは、おじいちゃんやおばあちゃんみたいにすぐちかくにいるわけじゃないでしょう? だからありがとうっていうきもちをかたちであらわすことがひつようだからおかねをわたすんじゃないかなあ」

「おみせのひとに、ありがとうってわたしたおかねは、たべものをつくったとおくのひとにとどくのかあ」

「そうよ。おかねはかみときんぞくでできているから、くさらないものね」


そっかあ。たのしいをもらって、ありがとうをとどけるからおかねがあるんだね。それならわかるよ、けーきやさんのけーきをかってもらってたべたらおいしくてたのしいし、すーぱーでおかしをかってもらってたべてもおいしくてたのしいもの。


「すきなおようふくをきたり、すきなたべものをたべたり、そうするとたのしい、ありがとうってことだよね。それなら、たべものだけじゃなくていろんなおみせだとかにおかねをわたすのも、ぼく、ちょっとわかったよ」

「そうでしょう。わたしもおとうさんも、そらたをたべさせるためにはたらいているのはたしかだけど、はたらくことはだれかにたのしい、ありがとうっておもってもらえるためにすることなの」

「そっかあ。それでおかねをだれかからおとうさんとおかあさんがもらって、また、たのしい、ありがとうっていうためにおかねをつかうんだね」

「そうそう。たべものをつくるのはおかねではないのはたしかだけれど……おじいちゃんやおばあちゃんはふたりでつくったおやさいを、わたしたちがたべるとたのしくてうれしいからつくってくれるのよ」

「でも、じゃあおじいちゃんとおばあちゃんがおやさいをおかねにしないのはなぜ? ぼくたちがおじいちゃんやおばあちゃんにおかねをわたしたらいいじゃない」

「そうなってしまうと、おかねのつきあいになってしまうのがいやなのかもしれないわね。すーぱーでおかねをわたすのはいいけれど、おじいちゃんやおぱあちゃんはおとしだまをそらたにわたしたい、とおもっていて、そらたからおかねをもらいたいとはおもっていないはずよ」

「おかえしに、かたたたきをしてほしいっていわれたこと、あるよ」

「うん。おとしだまをもらったら、そらたはたのしくてうれしいでしょう。おじいちゃんやおばあちゃんは、そらたにかたたたきをしてもらうとたのしくてうれしいのよ。それでじゅうぶんだから、おやさいもくれるのかもね」

「たくさんおやさいをくれるのは、たくさんぼくらにたのしくてうれしいとおもってほしいから?」

「ええ、そうよ」

「じゃあ、おじいちゃんとおばあちゃんがたのしくてうれしいとおもうことを、ぼくもおかえししなくちゃ」

「そらたがそうやってかんがえてくれるのが、いちばんたのしくてうれしいとおもうよ、おじいちゃんとおばあちゃん」


ぼくのことばに、おかあさんはにっこりわらった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ