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86 民泊冒険者ギルド ~避難者たちの仕事~ 【ローファンタジー】

その家族は、Aという国から命からがら逃げてきた。政変があり、ただでさえ国の人口の三分の一が餓死寸前という状態だったところへ、国のトップの入れ替わりが起きた。新しい政権を認めない欧米諸国からの資金が凍結されたりして途絶え、都市の銀行が使えなくなり、食料などの生きるのに必須なものの価格が高騰して、暮らせなくなったためである。


家族を受け入れたのは「冒険者ギルド 〇〇村」だった。


全世界的な民泊ネットワークとして動き始めていた冒険者ギルドチェーンは、避難者を温かく受け入れた。


避難者たちの言葉や習慣は、○○村のそれとは違うものの、それはインターネットを駆使することで何とかなった。


「お母さん! 今日の仕事に『炎の竜からの防衛』があるんだけど、やってもいい?」


配布されたタブレット端末によって、簡単な言葉は既に学習を終えた少年アミルが、冒険者ギルドの一部屋に暮らしている母のところへ依頼の内容が示された四角い機械を持ってきた。


「大丈夫? 危ない仕事じゃないかしら」

「平気だよ! だって実際のところは『炎の竜からの防衛』って、ニッポンでよくやってたっていう里山作りの一環で、山火事が大きくならないように森を整備することだから」

「そう……それなら安心ね」

「うん! 今回の仕事は、1000G以上は出るっていうから、頑張るよ」


言葉が分からなくても、文化が違っていても出来る仕事。それは、里山作りだった。


近年は、山火事が世界のあちこちを襲っている。それは、人間の環境で変わってしまった森に手入れがされていないために起きていることが分かってきていた。


だから、森に近い過疎ぎみの○○村にとっても、こうして避難者たちが手伝ってくれることはありがたいものだった。


海の近くの「冒険者ギルド」では『海竜のうろこあつめ』と称して、流れ着いたプラスティックのゴミ拾いの仕事もある。


「ボク、いろんな冒険者ギルドを回ってみたいなあ」

「そうねえ。お母さんも勉強したら、出来るようになるかしら」

「出来るよ! いっしょにやれるようになろうよ、お母さん」


アミルは、屈託のない笑顔を母に向けた。

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