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27 ニンジンのケーキ【童話】

 トム坊やは家の前で、お友だちのうさぎを待っていました。

 

 うさぎの名前はティミー。雪のように真っ白な毛に包まれた、赤い目の素敵なお友だちです。


 ぴょん、ぴょん、ぴょん。


 やって来ました! ティミーです。


「ティミー! ようこそぼくのおうちへ」


 トム坊やは喜びました。


 今日はティミーの誕生日です。


 家の外の森で、いつものように遊んでいたら、先日ティミーが言ったのです。


「さあさあ入って!」


 トム坊やが言うと、ティミーはちょこんとお辞儀をしてトム坊やのおうちに入りました。


「まあまあ、いらっしゃいティミー! すっかり準備は、できているわよ」


 トム坊やのお母さんがにこにこ笑って迎えました。


 テーブルの上に並べられていたのは、ニンジンづくし!


 ニンジンをスライスしたサラダに、ニンジンの串焼き。デザートにはニンジンのケーキまであります。


「わあ! 大好きなニンジンがいっぱいある! ありがとう、トムのお母さん、いただきます」


 ティミーはお礼を言いました。


「ぼくはニンジン嫌いだから、ぜんぜんおいしそうじゃないけどねえ」


 トム坊や顔をしかめます。


「ちゃんと食べられるようになりなさい、トム」

「やだ! ぼくニンジン嫌い! ぜんぶティミーにあげる!」


 ティミーはさっそくニンジンのサラダをもぐもぐしながらトムに言いました。


「そんなことを言ったら、ぜんぶ食べちゃうよ? ほら、デザートのニンジンケーキくらい食べてみなよ。きっとおいしいよ」

「うえー」


 トム坊やはいやいやしながら、ニンジンのケーキをひとかけら、取りました。


 パクリ。


「あれっ? 甘くておいしいね」


 トム坊やは目をぱちくりさせました。


「良かった。ぼくだけ食べていたら、何だか悪いものねえ」


 ティミーが赤い目を細くして笑いました。


 トム坊やは、このときからニンジンのケーキだけは好きになったのでした。


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