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25 秋鮭【自然の恵み】

 水流が(はや)い。その向きに(あらが)って川の源を目指す。かつて育った川の匂いに導かれ、鮭たちは遡上する。


 ひれを動かす。最低でも70センチはある体を柔軟にくねらせて泳ぐ。


 帰ってきた。故郷の川で卵を産んで、死ぬために。一斉に群れ行く鮭たちはその感慨にふける様子も無い。


 途中、ヒグマや海鳥たちの餌食となり、卵を産むという目的を果たせぬ鮭たちも多い。


 鮭に限らず、数多く生まれる海の生き物たちは、海や陸のほかの生き物たちのエサとなることで彼らを育んでいるといってもいい。大きな海の贈りものでもあるのだ。


 故郷に戻れた鮭たちは、交配し産卵する。産み終えた後は寿命が尽きる。卵を守って生きながらえる個体のメスもいるが、それでも長く生きるものでも、卵を産んで一か月くらいまでには死んでしまう。


 大自然は厳しいが、そうして、また新たな鮭たちが生まれ、親も過ごした川の恵みを受けて育ち、海へと冒険に出かけてゆく。


 食べた分、食べられる。


 鮭は自然のそのサイクルがとてもはっきりしている。


 秋鮭はとてもおいしい。(あぶら)が乗っている。シンプルに塩と胡椒(こしょう)でいただく。


「いただきます」


 食卓に出た秋鮭の切り身を口に運んだ。  



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