おまけ16:悪質なお腹を空かせ方
ブラックなネタのショート。
「えっ、食べてきちゃったの?」
「はい、ごめんなさい」
夕飯を作って待っててくれるのが分かっていたのに、付き合いで飯を食べてきてしまいました。
「もう、そういう時は先に言ってくれないと困るわ」
先にって言われても話の流れでそうなってしまったんです。
ごめんなさい。
ああ、なんかこういう会話、両親と住んでいた頃によく聞いたな。
自分も同じ事をしてるとか。
「じゃあ、どうしようかしら。今から作り直してもだし、余っちゃうわね」
ちょっと哀しそうにするノイエと俺の間に気まずさが漂いだした。
どうしよう。
なんでもいいからお腹を空かせればいいんだ、何か方法があれば……。
そうだ、『エーデルワイス』の副作用だ
しかし、あれは怪我を治した時じゃないとお腹好かないし……。
とりあえずここを離れよう。
「よし、準備は出来た。後は覚悟を決めるだけ」
…………なんだけど。怖い。
でも大丈夫。いける。
よし……よし…………いくぞ……よし…………よしっ……っ…………
◇
「あーお腹すいた」
無事に成功した俺が、いけしゃあしゃあと台所に顔を出す。
それに対して周りの反応は訝しげだ。
「何言ってるの、身体を動かしたってそんなに早くお腹が空くわけないじゃない」
まあ、確かに運動だったらそうだな。
「あれ? ご主人からなんか血の匂いがする」
しまった、アンコが居た。
服も汚してないし水で洗い流したけど、匂いのことは考えてなかった。
「トーヤ、あなたまさか……」
「トーヤ様っ、ご自分のお身体をなんだと思ってるんですかっ!」
「ご主人のバカーー!!」
結局バレてみんなに泣かれてしまった。
はい、すみません。もうしません。ごめんなさい。