おまけ14:スゴロク
「じゃあ、スゴロクしようか」
我が家では今、空前のスゴロクブーム。
まあ、以前はスゴロクの「す」の字もなかったんだから空前なのは当然なんだけど。
実力で戦うゲームは俺やノイエが勝ってしまうし、逆に運だけで戦うゲームは俺やノイエが楽しめないので、間を取ったゲームを自作した。
つまりスゴロクだ。マスに止まって点数を稼いでいくタイプの。
ん? 点数稼ぐタイプのはスゴロクっていわないのか?
わからん。
「いいわね。何賭けるの?」
そしてナチュラルに賭けを提案するエルフの人。
なんだろう、すごくゾクゾクする。
無垢な少女にいけないことを教えたらハマってしまったような。
ちょっとそのまんま過ぎて例えになってなかったか。まあいいや、なんでも。
「ワタクシはお料理当番の権利を掛けます」
「アンコは今日のお野菜かける」
「お前ら負ける気満々なのな」
ちなみにスゴロクと言っても選択肢的なものが無いと、ただのサイコロ運ゲーなので、ルート分岐有りだ。
『短い』コースはゴールが近いけど、点数が減るコース。
『普通』コースは何もないコース。
『長い』コースは点数を増やせるけど長いコース。
その分岐を3箇所に用意したから、持ち点次第でルートを変えつつ戦えるって寸法だ。
多分、この位が運と実力で戦える丁度いいバランスだと思うんだよね。
嘘、本当はちょっと運より過ぎて物足りない。
でも戦略性とかを追加するとついてこれないし、難しいな。
「うーん、なんか欲しいな」
「? 何か欲しいものがあるんですか? 賭けますか?」
「賭けねーよ。そういう意味じゃないから」
ゲームの追加要素が欲しいんであって、物欲じゃないから。
「ということで、新しい要素を追加しよう」
「また何か追加するの?」
「いえす」
「アンコはむずかしくなければ何でもいい」
やっぱさ、ダイスゲームってビリの人がやる気なくなってくるし、やり過ぎない程度に逆転要素が欲しいよね。
ということで、今回は逆転要素を追加しようと思う。
なので、分岐前の強制ストップで、パワーアップ要素がいいと思うんだ。
序盤は点数ビリの人が点数アップ。
これでビリの人の差を縮めて、モチベーションの維持。
中盤は遅い人の移動速度アップ。
これでゴールまでの距離を縮めて、ゲームが長引くのを防ぐ。
終盤は点数ギャンブル。
この逆転要素で終盤の盛り上げをする。
もちろんビリから急に1位になったら1位の人のこれまではなんだったのかってなるので、3位になれる程度の逆転要素がいいと思う。
これで上位入賞は安心感を得て、ビリの人と3位の人のデッドヒートが始まる。
3位になったら賭けの商品ももらえるので嬉しい。盛り上がる。きっと。
「こんな感じでどうかな?」
「いいんじゃない?」
「ワタクシにはちょっとどうなるのかわかりません。実際にやってみないと」
「アンコも」
「それもそうか」
とりあえず、テストプレイしてみようか。
◇
「違うわ、待って、こんなの卑怯よ。もう一度だけやりましょう? ね?」
「まあ、これはテストプレイだし、本番やるから」
ゲームが終わってみれば、本気で悔しがるノイエがそこには居た。
大盛り上がりだ。
今日はこのまま進めてみて、明日は点数使って買い物出来るお店とか追加してみようかな。
やっぱスゴロクって突き詰めると人生ゲームっぽくなってくるね。