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拝啓 自分様  作者: 荒川 晶
最初の日
1/43

プロローグ

(私、死ぬのかな)

 薄れゆく意識の中で藍はそんなことを思った。

(あ、チヨさんに祐樹も)

 声が聞こえる。

 藍は感じた。今皆が自分のために必死に助けようとしていることを、動かない体の奥で感じとっていた。

 彼女の体からは血が溢れ、自分の思考も働かなくなっていくことを彼女は感じていた。彼女は動かない自分の体にそっと呼びかける。

(せめて、もう一度皆に挨拶したかったよ)

 出るはずもないが、涙が出そうになった。

「藍坊! 藍坊! お前、俺の刃で逝くんじゃなかったのかよ。こんなのなしだぜ」

 原田の声が一際大きく聞こえてくる。藍はごめんね、と呟きたかった。

 祐樹が何か重大な決断を下していた。松本の声がする。彼はずっと謝っていた。何をそんなに謝るのかと藍は思った。

 そして、意識が遠のいた。ふわりふわりと体が宙に浮く感触がする。

――ありがとう。

 最後に彼女はそう心の中で呟いた。


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