表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

迷い路話

『不老』か『不死』

作者: 迷烏

読みにくい話となっています、ご了承ください。

あれは、私たちが中学生だった頃のことだ。

部活が休みだったこともあって、放課後の教室でのんびりと話していたらふと、こう言ったのだ。

「不老不死、てあるよね?」

……最初は何を言い出すんだ。と思ったが、よく考えたらこれが彼女のいつもどうりだったなと思った。

私がそうだね、と適当に返すと、

「欲しくない? 不老不死。特にわたしは不死がいいな~」

また突拍子もないことを言った。

漫画の読みすぎだよ、と言おうとした時、

「じゃあ、あげようか?」

私たちとは違う声が聞こえた。教室には私たち以外居なかった筈なのに。振り返り見ると、

「実はね、一つ持ってるんだ。『不老不死』」

妙な格好をした女の子がいた。制服じゃないし、多分年下ぽかったからそう表記する。

「それ本当!?」

聞き返された言葉に、

「うん。マジモンだよ」

女の子はあっさりと応えた。

「でもさ、さっき言ったように一つしかないの」

人差し指をピンと立てて女の子は言葉を続ける。

「だからさ、半分に分けてあげるね、『不老不死』を、『不老』と『不死』に、どっちを選ぶかはアナタ達にまかせるから、決まったら言って」

そして女の子は近くにあった机に座ろうと、後ろ向きに跳んだ時、

「わたし『不死』!」

「はぅ!?」

あっさりと決めた言葉に着地を失敗してお尻を打っていた。

「いたた…えっと、アナタは『不死』でいいんだね?」

「うん!」

「じゃあ、アナタは『不老』ね」

私を指差して女の子が告げる。

いや、私は別に…と返すと、

「ダメだよ♪片方だけ余らせるなんて」

パチン。そんな音と共に女の子は急に発光した。私は思わず目をつぶってしまったので、

「それじゃ、『不老』と『不死』を半分ずつね♪」

その声を聞いて目を開けた頃には。女の子の姿は見えなくなっていた。

いったいなんだったんだろう? まさか本当に『不老』になったわけないよね?

そう私が言って彼女を見たとき、


「ねぇ…見て?」


彼女の首にはカッターナイフが刺さっていた。

かなり深いのだろう、傷口から赤い液体が溢れ出ているそれははた目に見ても分かる。即死ものの傷だ。

しかし、当の彼女は、

「こんなにしたのに、わたし生きてるよ? これどういう意味か分かる?」

つまり彼女はこう言いたかったんだろう。

「わたし、『不死』になったんだ!」



それからというもの、『不死』の彼女はやることなすこと全てが死と隣合わせになっていた。

信号機が赤になってから横断歩道を走り、何回も車に轢かれていた。

カナヅチなのに、25Mプールで息継ぎ無しで泳ぎまくっていた。

テレビを見て憧れて、指の間を包丁で行き来して刺さっていた。

ショートカットだと言って、四階から何回も飛び降りていた。

やめとけといわれたのに、ドライアイスを顔にかけていた。

ここに書くのさえ嫌になる、そんなことも多々していた。

見るのも嫌になるような傷や怪我が増えていた。そんな彼女は……今、


実験動物となっていた。


彼女の『不死』を証明する行動の数々が、多くの研究者の目に留まり、ある研究所に連れて行かれた。

今、『不死』の彼女が何をしているのかは知らない。『不死』と『不老』を分け合ってから、もう80年も経っているのだから。

少なくとも分かるのは、『不死』の彼女は今、97歳の老人だということだけだ。

死を迎えぬまま、いつまでも生き続ける。死ぬ事の無い、世にも珍しい実験動物として……


そんな私もまた、実年齢97の、見た目17歳の老人だ。

今になってなぜコレを書いているのかと言えば、この出来事に関わった。出来事の発端になった女の子に出会ったからだ。

80年前と変わらぬ私を見た、そちらも見た目に変化の無い女の子は、

「やっぱりどっちかだけじゃなくて、どっちも、が良かったよね♪」

それだけ言って、消えてしまった。


あの子が何者なのか、今となって考えるのは遅い、見た目は高校生の私の体は97歳のそれが招いた病に蝕まれている。正直、いつ逝くか分からない中、これを書いている。


ただ   この言葉を            言いたくて



もし も  あなたなら   『不老』 と 『不死』


どちらが 


                                     いいで――――――――――

迷烏の迷い路話、ちょくちょく書いていく予定です。

楽しめるか定かではありますが、感想いただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 自分は断然『不老』がいいですね。 不老ならば死ぬまで人生を楽しめるじゃないですか、それって素晴らしいと事だと思うんですよ。 でも『不死』はいやですね。死ねないってとても怖い事のような気がす…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ