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とある魔法の夢世界  作者: Katz
歴史・人間の時代
16/27

5-1. 人間の時代:王国の確立

 王国の南征の結果トロール帝国が滅びました。そして人間全員が帝国の跡地に移住しました。(いま)(まで)の場所は放棄です。帝国の都市と麦畑は優秀だったので反対者は居ませんでした。統治者である騎馬民族の指示で数年掛かりの移住を成功させました。


 トロールの遺産は下記の物があります。

 品種改良された作物。小麦、野菜、果物、オリーブ。

 醸造設備とその分析によって明らかになった醸造技術。ワイン、麦芽と小麦によるビール、高糖度のオレンジを利用したオレンジ酒。

 蒸留設備とその分析によって明らかになった蒸留技術。ブランデー、ウイスキー、オレンジ酒の蒸留酒。

【メタ註:オレンジ酒の蒸留酒は事例が無くて呼び方がわかりませんでした】

 小麦の製粉。オリーブの搾油。魚醤の製造。

 ガラスと鉄。製造方法までは得る事が出来ませんでした。原材料の一部が不明だった事と必要な高温を作る技術が不明だった事が原因です。既に作られた物を再利用する事は可能でした。

 人間が今迄に経験した事の無い程に豊かで広い農地。そこに実る果物と野菜は信じられない程の美味。また小麦畑も信じられない程豊かです。

【メタ註:実は帝国時代に高収量小麦として品種改良されていました】


 水路については無学な農民の勘違いがありました。とても有用だけど毎年(あふ)れて水浸しになってしまいます。これを嫌って水路の水量を調整するようにしてしまったのでした。その結果小麦の連作障害が発生してしまいました。

 そこで三圃式農業を編み出しました。トロールの小麦、人間が持ち込んだ大麦とライ麦、そして休耕地に家畜を放牧、これらを順繰りに実施します。

 なお農地が広すぎて全体には手が回りませんでした。そのため都市から離れた場所は放置されました。放置された畑は徐々に森林に侵食されていきました。こうして都市勢力範囲の境界は森林によって区切られるようになりました。


 こうしたトロールの遺産を手に入れた事で人間全体に余裕が出来ました。


 余裕が出来た王国は身分の確立を目指します。


 まず南征・移住が落ち着いた所で王が代替わりしました。これを王と教会の権威付けに利用しました。

 教会が神の意志として新王の戴冠を仕切りました。これによって王が神に選ばれて任命される事を明らかにし、教会は神の代弁者として王の上に位置する事を示しました。

 身分は血縁特に親子関係に基づいて定められました。王族と公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の誕生です。

 平民は農民と市民に分けて管理対象となりました。農民には漁師や(きこり)も含まれます。市民は職人と商人に大別されます。


 どこにも含まれない最下層の身分として奴隷があります。南征時の捕虜とその子孫、即ちエルフとドワーフと獣人です。最初の捕虜は喉を潰されて声が出なくなり、その為、その子孫は魔法の知識がありません。

 最下層の身分とは言え奴隷は超高級品の扱いです。エルフは貴族間で直接売買または贈答品となりました。ドワーフと獣人は教会で労働に従事します。トロール帝国の高度な生産技術を持っていたので教会も奴隷を囲い込む事になります。これが修道院の始まりとなりました。

 このような事情から奴隷商人は居ません。なお人間の奴隷は居ません。重犯罪者は鉱山送りとなります。借金返済が滞った者は担保を取られて放り出されます。生活基盤が無くなったらスラム行きか野垂れ死にしかありません。


 身分制度が定まった所でそのあり方も制度として定められました。


 基本は貴族が領地を治めて徴税です。

 税の内容も定められました。小麦は味が良いので全量を税として納付する事を求められました。ライ麦は一部を家畜飼料として納税。貴族が麦茶を常飲するようになったので大麦の一部も納税します。農村の税率は麦全体で六公四民と言った所です。それでも多少の余裕がある程度には農民の手元に残りました。


 教会も動きました。貴族と切り離して独自に組織を整備しました。

 まず教会の最高権威として教皇が置かれました。神の意志として王に冠を授けるのが教皇です。教皇の相談役や補佐役として枢機卿が設定されました。

 そして教皇の下に大司教、司教、司祭が置かれました。司祭の補助兼見習いとして助祭が設置されました。

 こう言った神職は貴族ではありませんが、元は騎馬民族の出身です。従って農民が神職になる事を望んでも助祭になるのが精々でした。ここにも民族差別の厚い壁がありました。


 前に向かって進んでいるとは言え、大衰退期とその後の南征の混乱が未だ終わっていない時代です。騎馬民族の魔法の知識は失伝してしまいました。

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