【コミカライズ】笑顔が苦手な令嬢が婚約破棄されたら、初恋を諦めない王子が求婚してきました
「アンドレア・ルーデン侯爵令嬢。おまえとの婚約を破棄する!」
きらびやかな舞踏会会場のど真ん中で叫んだのは、アンドレアの婚約者であるリヒャルト・オットー公爵令息。
その腕に絡みつくようにして寄り添っている少女は、マリアンネ・ポンゼル男爵令嬢だ。
長年隣国に留学に出ていた王子の帰国を祝う舞踏会には、国中の貴族が集められたと言っても過言ではない。
これ以上ないほどの公衆の面前で婚約破棄を告げられたアンドレアは、眉一つ動かさずに小さく息をついた。
「……そうですか」
明らかな浮気からの侮辱的行為に、周囲にざわめきが広がっていくのが見える。
そんな中、アンドレアは無表情に近い顔とは裏腹に、内心ではとんでもないパニック状態だった。
いやいやいや、ないないない。
だって、おかしくないか。
浮気している時点であり得ないのに、公の場に同伴して自らそれを明かすって何事だ。
しかも、よりによって王子帰国の祝いの場で宣言するなんて正気の沙汰ではない。
おかげでアンドレアが慶事に水を差したみたいな状態だし、お咎めを受けることになったらどうしてくれる。
困惑の中に芽生えた怒りのせいかアンドレアの眉間に皺が寄り、同時に周囲の人々が怯えた様子でこちらを見ている。
「婚約破棄されても悲しむ可愛げすらないとは」
「いつも古びたドレスを着ているよな。笑顔が下手なのだから、装いくらい華やかにすればいいものを」
周囲の貴族にひそひそと好き勝手言われているが、ドレスは何年も前にリヒャルトから贈られたもので、これを着るようにと指示されるから従っているだけだ。
顔に出ていないだけで婚約破棄されたことはショックだし、正直悲しいし恥ずかしいし泣きたい。
リヒャルトと幼少期に婚約して以降、将来の公爵夫人に相応しくあろうと勉強もマナーもできる限り頑張ったつもりだ。
だがリヒャルトからは散々嫌味を言われ、ぞんざいに扱われ続け。
それでも必死に努力する過程でストレスが限界を超えた頃から、顔面の筋肉が愛想笑いという苦行を放棄してしまった。
おかげで上手く笑顔を作れなくなり、引きつった笑みは周囲を怯えさせるありさま。
リヒャルトは成績優秀なアンドレアに嫉妬して自分の立場がないから八つ当たりしているのだと気付いた頃には、すっかり笑顔が苦手になっていた。
今更仲睦まじくなんて無理な話だし、身分的にもリヒャルトの女性関係に口を挟むのは難しい。
「……では、婚約は解消するということでよろしいでしょうか」
務めて平静にことを進めようと問いかけると、マリアンネが怯えた顔でリヒャルトの腕にぎゅっとしがみついた。
「きゃっ。リヒャルト様ぁ、怖いですう」
「大丈夫だ、マリアンネ。俺がついている。……本当に可愛げのない女だな!」
リヒャルトは鼻の下を伸ばして優しくマリアンネの頭を撫で、次いで舌打ちをしてアンドレアに怒鳴りつける。
ここまで態度に差をつけられてしまうと、悲しさを飛び越えて空しくなってきた。
「参考までにお聞きしたいのですが。可愛げとは、どういうものなのでしょう」
「今更改善しようとしても遅いぞ。俺のマリアンネのように、自然と優しさが溢れる可憐な女性を言うのだ!」
「リヒャルト様ったら、恥ずかしいですぅ。そんな風に褒めてくださるところも、ス・キ♡」
何だかキャッキャウフフと楽しそうだが、なるほどマリアンネが理想らしい。
つまり……。
公衆の面前で、他人の婚約者に過度なボディタッチ。
首がめり込みそうなほど顎を引いた上目遣い。
どこから出ているのかわからない猫なで声。
たいした理由もなく大げさに賞賛。
これを実行すればいいわけだ。
……うん、無理。
アンドレアには、一生かかっても可愛げを習得できそうにない。
幼少期に婚約してから今までの努力は、すべて無駄だったわけだ。
婚約破棄よりも、そちらの方がショックかもしれない。
「それから、今までマリアンネにした嫌がらせの数々の責任を取って、おまえは平民になれ」
「は……?」
思わず漏れた情けない声に、リヒャルトとマリアンネがニヤリと笑うのが見えた。
もちろんアンドレアは嫌がらせなどしていないが、公の場でここまで言うからには既に両家に話は通してあるはず。
つまりルーデン侯爵家はアンドレアの勘当を選択したというわけか。
踏んだり蹴ったりとは、まさにこのこと。
いっそ泣き崩れてしまいたいが、それすらできないアンドレアは、やはり可愛げがないのだろう。
「オットー公爵家とルーデン侯爵家に婚約破棄を報告し、両親に謝罪しろ。それからマリアンネには詫びの品も用意するんだな」
「……はい?」
勝ち誇った顔のリヒャルトの言葉に、アンドレアはゆっくりと首を傾げた。
後半は意味不明なので無視するとしても、前半もおかしい。
「両家にはもう話がついているのですよね? その上で私の勘当が決定したのでは?」
「何を言っているんだ。それはおまえの役目だろう」
……いや、そっちこそ何を言っているのだ。
不思議そうに、むしろ憐れむようにアンドレアを見ているが、ここまで意味不明だとため息すら出ない。
――今までの人生、こんな致命的なアホのために頑張っていたのか。
衝撃の事実に脱力感が凄いし、同時にモヤモヤとした行き場のない感情が湧いてくる。
「婚約破棄でも解消でも好きにしていただいて結構ですが、せめてオットー公爵家にはご自分で報告してください」
「何だと⁉ 笑顔一つまともに返せないくせに、俺に逆らう気か!」
一瞬にして険しい表情を浮かべたリヒャルトは、勢いよくその手を振り上げる。
殴られるのだと反射的に目を閉じて身を竦めるが……予想した衝撃が来ない。
恐る恐る目を開けると、アンドレアの前には淡い金髪の少年が立ち、リヒャルトの手首を掴んでいた。
「……え?」
庇われた、というのはわかる。
でもこんな醜聞に関わりたい人間などいないだろうし、一応は公爵令息であるリヒャルトに逆らうと身分的に面倒なことになる。
アンドレアはマリアンネのように可愛げのある女性ではないので、庇う価値もないと思うのだが。
そもそも、これは一体誰なのだろう。
「で、殿下が何故この女を……?」
「殿下?」
リヒャルトの震える声が紡いだ言葉を繰り返すと、アンドレアに背を向けていた少年がゆっくりと振り向いた。
淡い金の髪がシャンデリアの光を弾き、その動きに合わせてふわりとほのかに甘い香りが鼻をくすぐる。
人形のように整った顔立ちは美しく、緑色の瞳はまるで緑玉のようにきらきらと輝いていた。
殿下と呼ばれているからには、この美少年は今夜の舞踏会の主役であるビクトル・クロクス王子だろう。
周囲の貴族達のざわめきもそれを裏付けているし、何よりもただそこにいるだけで圧倒的な気品が漂っていて、未来の国王の威厳すら感じられた。
「怪我はないか?」
「……え? ええ、ありがとうございます」
慌てて礼をすると、ビクトルは柔らかく微笑む。
その笑みに、どくんという音を立てて心臓が跳ねるのがわかった。
美少年の笑顔が綺麗だったからではない。
まるで愛しい人に笑いかけるような優しい眼差しに、勘違いだとわかっていてもときめきが止まらないのだ。
周囲の女性達から感嘆の息が漏れ、歓声にも似た悲鳴さえ耳に届く。
アンドレアはただじっとビクトルの緑の瞳を見つめ、知らずその口元が綻んだ。
「まあ! 殿下が助けてくださったのに、睨みつけるなんて無礼な!」
遠くから聞こえた声に、ハッとしたアンドレアは慌てて顔を伏せる。
そうだ、アンドレアは笑顔が壊滅的に下手くそ。
自分ではよくわからないが、きっと酷い顔をしていたのだろう。
助けてくれた人に対して失礼なことをしてしまった。
ああ、恥ずかしいし穴があったら入りたい……いっそ埋められてしまいたい。
「顔を上げて。アンドレアは何も悪くない」
静かな声に促されてゆっくりと見上げると、金の髪の美少年は変わらず穏やかな笑みを湛えている。
顔がいい上に優しいとか、もしかして天使かもしれない。
嬉しい気持ちで胸がいっぱいになるけれど、ここで気を抜けばまた失礼な顔になってしまう。
結果、眉間に皺を寄せた大変にぎこちない顔のまま、アンドレアはうなずいた。
ビクトルは視線をリヒャルトに移すと、小さくため息をつく。
「女性に手を上げるなんていただけないな。しかもアンドレアは君の婚約者だろう?」
「無反応で可愛げのない女との婚約なんて、願い下げですよ」
「リヒャルト様、お待ちください。アンドレア様は無反応などではありませんわ。ただちょっと、表情が淑女に相応しくないだけですもの」
「ああ、そうだな。笑顔が致命的に不愉快で、可愛げがないだけだ」
リヒャルトが我が意を得たりとばかりにうなずいている。
それにしても、ビクトルがアンドレアの名前を知っているとは思わなかった。
ここ数年は隣国に留学していたのだから、アンドレアの姿を見るのは初めてのはずなのに。
きっと、帰国にあたって上位貴族の名前やその婚約者などを覚えたのだろう。
リヒャルトに足りないのは、まさにこういう努力や気遣いなのだが……今更どうでもいいか。
無反応と言われたが、殴られそうになってとても怖かったし、心の中では既に泣いている。
それでもここは公の場であり、王族の慶事。
身分や家のことを考えても、騒ぎを大きくしたり、ましてや無様に泣くことなど許されない。
先程のビクトルを見習って穏やかな表情でいようと微笑むが、周囲の貴族が怯えと困惑の目を向けてくる。
「怖っ!」という言葉から察するに、また笑顔に失敗したようだ。
何だか情けなくて、やっぱり泣きたい。
「アンドレアは可愛いぞ?」
「……え?」
不思議そうに首を傾げるビクトルの言葉に、その場にいた全員が短く声を漏らした。
「アンドレアの笑顔は怖い」ならわかるのだが、空耳にしても内容がおかしい。
だが相手は王子なので誰も確認できずにいると、ビクトルは何故か嬉しそうに大きくうなずいた。
「婚約破棄とは好都合。では、アンドレアは俺が貰おう」
「……は⁉」
ビクトルは周囲の声を気にすることもなく、アンドレアの手をすくい取る。
「アンドレア・ルーデン。――俺と結婚してください」
にこりと微笑む緑色の瞳の美しさに、アンドレアをはじめとしたその場の誰もが何も言えずに固まった。
************
猫の舌はざらざらしていて、舐められると結構痛い。
アンドレアはゆっくりと目を開けると、自身の頬を舐める真っ白な猫を撫でた。
王宮の白薔薇が美しい庭園でいじめられていたところを拾って、かれこれ五年。
もふもふでふわふわの生き物は可愛いだけでなく、不気味な笑顔に眉を顰めることもない。
アンドレアにとって何よりの癒しの存在だった。
「おはようございます、ムート。昨夜は変な疲れ方をしたので、まだ眠いですね……」
ムートをひとしきり撫でると、そのまま身支度を整える。
リヒャルトに婚約破棄された上に留学帰りの王子に求婚されるなんて、あまりにも非現実的過ぎる。
「あれはきっと、公衆の面前で婚約破棄された人間を憐れんだ王子の優しい嘘なのでしょう。うん、そうに違いありません」
ビクトルの手を煩わせてしまったことに対する謝罪と気遣いへの礼は後で考えるとして、まずは両親に経緯の説明をしなければ。
ルーデン侯爵家に泥を塗る事態であり、これからアンドレアは社交界で傷物として扱われるだろう。
「リヒャルト様との婚約はどうでもいいのですが、家に迷惑をかけてしまうのはつらいですね……」
アンドレアは深いため息をつくと、ムートを抱きかかえたまま自室を出た。
両親が寛いでいるはずの庭に面した部屋の扉を叩き、意を決して室内に足を踏み入れる。
だがアンドレアの足は、そこでぴたりと止まった。
「で、殿下……?」
両親と向かい合うようにしてソファーに座っているのは、金髪に緑の瞳が美しい少年。
ビクトル・クロクス王子だ。
それはわかるのだが、何故ここにいるのかがわからない。
困惑するアンドレアに気付いたビクトルは、まるで太陽のように眩い笑みを浮かべた。
「おはよう、アンドレア。その子はムートだね。真っ白で綺麗な毛並みだ」
「お、おはようございます……」
促されて両親の隣に座ったものの、疑問は何一つ解消していない。
猫の名前まで聞いているなんて、一体いつから話をしているのだろう。
心の安寧を求めてムートの肉球をもみもみしながら正面のビクトルをちらりと見ると、目が合いそうになって慌てて逸らす。
笑顔が下手なアンドレアがいい感じの穏やかな顔を浮かべるのは難しいし、失礼のないようにしなければ。
「殿下から話は聞いたよ、アンドレア。今までずっとつらい思いをしてきたんだね。気付いてやれなくてすまなかった」
「私の方こそ、公爵家との縁談が破談になってしまって……すみません」
父の優しい言葉は嬉しいが同時に申し訳なくてうつむくと、母の手がアンドレアの頭をそっと撫でた。
「いいのよ。話し合った末の婚約解消ならともかく、舞踏会で一方的に婚約破棄だなんて。いくら公爵家でも許されないわ!」
「その通り。家のことは気にしなくていい。婚約がなくなってせいせいするというものだ!」
両親が大袈裟に怒ってみせるのは、アンドレアの罪悪感を和らげようとしてくれているのだろう。
それならば、返すべき言葉は謝罪ではない。
「はい。……ありがとうございます」
精一杯の笑顔で、感謝の気持ちを伝える。
きっとまた下手くそで不気味な笑顔になっているだろうけれど、両親になら気持ちが伝わるはずだ。
「それにしても、まさか殿下がアンドレアに結婚を申し込んでくださるとは」
「……え?」
いや、待ってほしい。
放たれた言葉だけを拾うと確かに昨夜、ビクトルはアンドレアに求婚した。
だがしかし、それは父の思っているようなロマンチックなものではない。
「あ、あれは庇ってくださっただけなので、夢とか幻のようなもので……」
困惑しながらアンドレアがこぼしたその一言に、母が息を飲んで口元を手で覆った。
「まあ! アンドレアは殿下との結婚を夢見ていたのね⁉」
「さすがに婚約解消してすぐはアンドレアの気持ちが落ち着かないだろうと思っていたが。そういうことなら、今すぐにでも……」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
何故か王子との結婚を夢見る乙女にされてしまったが、この勢いでは本当に即日婚約が成立してしまう。
この期に及んで「あれは気遣いの結果です」と否定しないところを見ると、ビクトルには何らかの意図があるのかもしれないが、どちらにしてもこのままでは駄目だ。
「お互いのことを知りませんし、何よりも急すぎます。将来の王妃の笑顔が不気味だなんて、絶対に無理ですから!」
どんな目論見があろうとも王子からの求婚が事実であれば、それを断ることは不敬にあたる。
どうにか目を覚ましてほしくて両親に訴えると、ビクトルは緑色の瞳を少し伏せ、そしてすっくとソファーから立ちあがった。
「わかった。それなら、今から知ればいいな」
にこりと微笑むなり、ビクトルはアンドレアの手を握る。
「え?」
事態についていけず声を上擦らせるアンドレアは、手を引かれるまま部屋を出て馬車に乗せられてしまう。
ほどなくして扉が閉まり馬車が動き出すが、やはり何故こうなったのか皆目見当がつかない。
「あ、あの。殿下にお伺いしたいことが」
正面に座るビクトルにおずおずと声を掛けると、その美しい顔が喜色に満ちた。
「うん、何でも聞いてくれ。アンドレアが俺に興味を持ってくれるのは嬉しい」
駄目だ、その顔は反則だ。
もともと人形が敗北宣言するような整った顔立ちなのだから、そこに笑顔を上乗せしたら眩さで目を開けられなくなる。
アンドレアは小さく深呼吸をして息と共に心を落ち着かせると、緑色の瞳を見据えた。
「殿下、昨夜は助けていただきありがとうございました。ですが、もう求婚に関しては否定しませんと。殿下の評判に傷がついてはいけません」
「何故否定する必要があるんだ? 俺がアンドレアに求婚したのは事実だろう」
不思議そうに首を傾げる様も美しいが、ここで退くわけにはいかない。
「失礼ながら、お聞かせください。婚約破棄された私を憐れんでくださったのですか? それとも単にからかっていらっしゃるのでしょうか。ルーデン侯爵家と縁を持つ利点があるとも思えないのですが……」
アンドレアが唯一持っているものは侯爵令嬢という身分だが、王子であるビクトルならば公爵家の令嬢どころか他国の王女とさえ縁組可能。
更にルーデン侯爵家独自の産業があるわけでもなく、領地は交通の要衝でも国境の重要な土地というわけでもない。
更に不気味な笑顔で可愛げのないアンドレアがついてくるとなれば、結婚したところで得られるものなど無いに等しい。
するとビクトルは立ち上がってアンドレアの隣に座り、じっと見つめてきた。
「アンドレアと結婚したいから……好きだからだとは思わない?」
緑色の瞳の輝きと甘い声にアンドレアの鼓動が跳ね、迸る色気に身震いしてしまう。
「わ、私は笑顔が苦手ですし、可愛げがないと言われていますから」
「そんなことないよ。君の笑顔はとても可愛かった」
「……殿下は不気味な笑顔を好まれるのですか?
ビクトルがアンドレアに会ったのは昨夜なので、彼の言う笑顔も当然昨夜見たものになる。
周囲の貴族達は怖いと言って怯えていたし、どう考えても可愛いには程遠い顔だったはずだが。
至極真面目な質問だったのに何故かビクトルが笑い出してしまったけれど、その笑顔の方がよほど『可愛い』に近いと思う。
「何を言ってもまだアンドレアの心には届かないと思うから。俺の持つものは何でも使って君の関心を引こうと思う」
それは身分を使ってアンドレアに何か命じるとか、豪華な宝石やドレスで懐柔するという意味だろうか。
過去にリヒャルトから贈られたドレスが脳裏によみがえり、げんなりしてしまう。
婚約者として一応は最低限の贈り物をしてくれたが、そのどれもがリヒャルトの好みと都合を押し付けたもの。
更に感謝を強要された上に、数年にわたって公の場で同じものを着用するように指示された。
当初はアンドレアのために選んでくれたドレスだからと喜んでいた。
それが使用人が適当に発注した安物だと知り、自分が指示したくせに「身なりに無頓着なつまらない女」と吹聴し、何をしても嫌味を言われるか罵られるようになったのだ。
だが、今回の相手は王子。
アンドレアの笑顔が不気味というのはもう知っているとはいえ、少しでも愛想良くしなければ。
……そこまで考えて、ふと気が付いた。
ああ、そうか。
こんな風にずっと無理矢理表情を作っていたから、上手く笑えなくなったのだ。
自分を嫌う人に嫌われないように、取り繕って口角を上げる。
それは社交界を生き抜くうえで必要な技術であり、同時にアンドレアの心を削る作業だったのだろう。
しばらくして馬車が停まり、ビクトルのエスコートに体を強張らせながら整備された石畳の道に降り立つと、そこは……王宮だった。
王子が求婚してきて馬車に同乗の上エスコートの時点で十分異常だが、これはいよいよおかしい。
少し怯えながら手を引かれて到着したのは、庭園だ。
手入れの行き届いた木々が葉を茂らせ、白い薔薇が咲き誇り、甘い香りが風に乗って届く美しい庭である。
ここは王宮の入口にあって、一般貴族も立ち入れる憩いの場。
かつて愛猫ムートを拾ったのもこの庭で、今日のように白い薔薇が咲いている季節だった。
王族のみが立ち入れる庭よりは緊張しないとはいえ、それでもここにアンドレアを連れてきた意図が読めない。
ビクトルはようやくアンドレアの手を放したかと思うと、薔薇の花を一輪摘み取る。
まるで絵画のような光景をぼんやりと眺めていると、ビクトルは白薔薇をアンドレアの髪にそっと挿した。
「プレゼント」
「あ、ありがとうございます」
どうにか平静を装ってお礼を伝えると、ビクトルは嬉しそうに笑みを浮かべ、庭を見回した。
「もう何年前になるだろう。このベンチで昼寝をしていた俺は、誰かが争う声で目が覚めた」
ビクトルは急に昔話を始めたかと思うと、ベンチに座ってしまう。
手招きされては拒みようもなく、アンドレアもその隣に腰を下ろした。
「あの茂みの向こうに何人かの子息令嬢がいて、たった一人の女の子を囲んで声を荒げていたんだ。『その猫で遊ぶからよこせ。おまえを仲間外れにしてやるぞ』と」
「人数で威圧して言うことを聞かせようだなんて、弱い者いじめの弱虫の集まりですね。一人になる勇気もないのでしょう」
思い出話だとわかっていてもモヤモヤする。
「だが、俺が止めに入るよりも早く、猫を抱えていた女の子が言ったんだ。『弱い者いじめをする弱虫。一人になる勇気もないくせに』と」
「……え?」
何だかとても聞いたことのある言葉と展開だが、気のせいだろうか。
「そ、それで、どうなったのですか?」
「俺が声を掛けたら、皆逃げ出した。恥ずかしいことをしているという自覚はあったのだろう」
やっていたことはろくでもないが、少なくとも恥じる心があるのならば、その後考えを改めてくれたことに期待したい。
「その猫と女の子は無事でしたか?」
「ああ。猫は白い毛が茶色に見えるほど汚れていて、お世辞にも可愛いとは言えない姿だったが、その子は大事そうに抱えていてね。王宮の猫を連れ出したら怒られるだろうかと心配していたから、許可は取るから大丈夫だと説明したよ。……まあ、ただの迷い猫だから許可も何も不要だったが」
「そうですか。良かった……」
では、その猫は女の子の家で飼われたのだろう。
もう過ぎ去ったことだとわかっていても、安堵の息が漏れる。
「女の子に頼まれて、猫の名前は俺がつけた。一人で戦う勇気ある女の子に敬意を評してムート――勇気、と」
「ムート、って……」
突然つながった何かに、まさかと思いながらビクトルを見つめると、嬉しそうに緑の瞳を細めた。
「ルーデン侯爵家でムートが大切にされているのを見られて嬉しかったな」
ではビクトルは両親に猫の名前を聞いたから知っていたのではなく、ムートを拾った時に出会った男の子だったというのか。
いくら何でも偶然が過ぎるけれど、王宮という場所を考えれば不思議ではないし、世の中意外と狭いものだ。
「大勢に囲まれても毅然と前を向いて猫を守った姿。猫を連れ帰っても大丈夫と聞いて安心した笑顔。――あの時、俺はアンドレアに恋をした」
どくん、と心臓が跳ねる。
いや、止まったのだろうか。
呼吸すらもできなくて、それでも美しい緑色の瞳から目を逸らすことができない。
「それから君のことを調べてルーデン侯爵令嬢だとわかり、リヒャルト・オットー公爵令息と婚約していると知った。……ショックだったな。生まれて初めて好きになった女の子は、手に入らない存在だった」
ビクトルはそう言うと、まるで過去を押し流すかのようにゆっくりと息を吐く。
「リヒャルトに相応しくあろうと努力するアンドレアを見た俺は、恋を諦めるために隣国に留学した。でもアンドレアの笑顔ばかりが頭に浮かんで、忘れることなどできなかった」
言葉としては耳に届いているのだが意味がわからず、アンドレアはただ黙ってビクトルの話を聞くことしかできない。
「婚約破棄騒ぎを見た時は、千載一遇のチャンスだと思ったよ。牽制の意味も込めてあの場で求婚したが、誠意は伝わらなかっただろう。見世物のようになってしまったのも、申し訳なかった。ごめん、アンドレア」
頭を下げる王子というあり得ないものが視界に入ってようやく我に返ったアンドレアは、慌てて首を振る。
「いいえ、謝らないでください。牽制も何も、笑顔が不気味な私とは誰も婚約したがりません。もっと可愛らしい令嬢の方が好まれますから。……マリアンネ様のように」
正直、マリアンネの行動がすべて可愛らしいとは思えないけれど、世論は圧倒的に彼女を支持している。
笑顔一つまともに浮かべられず、微笑むと怯えられる女なんて、論外なのだ。
「俺の気持ちをしっかりと伝える前に、面倒を片付けた方がよさそうだな。アンドレアの魅力を理解できない馬鹿には呆れるが……長年アンドレアを苛み、公衆の面前で貶めた罪は償ってもらおう」
************
月の美しい夜。
王宮の広間は、先日のビクトル王子帰国の舞踏会に負けないほどに華やいでいた。
シャンデリアのきらめきや飾られた花などはもちろん美しいが、それ以上に参加者の衣装が明らかに違う。
帰国した王子の本格的な妃選びの場だという話がまことしやかにささやかれ、独身の女性達が気合いを入れてドレスアップしているのだ。
「俺がアンドレアに求婚したのは大勢が見ているはずなのに、どうしてそんな噂が流れるのかわからないな」
会場入りするなり歓声と熱のこもった眼差しを一身に浴びたビクトルは、疲れ切った声音でそう漏らす。
「相手が私なので信憑性がないのですよ。リヒャルト様の横暴から女性を助けた英雄という扱いなのでしょう」
ビクトルにエスコートされた上に隣にいるアンドレアには刃の如き鋭い視線が突き刺さっており、何だか息苦しい。
ビクトルの勢いに押されて舞踏会のエスコートをお願いすることになり、ドレスを贈ると言うのを止められなかったアンドレアが悪いのだが、このドレスが素敵すぎるのもいけない。
ビクトルが用意してくれたドレスは、長らく古いドレスを着続けていたアンドレアからすれば天と地ほども違う装いだった。
優しい象牙色の生地はふんわりと柔らかくて肌触りが良く、随所にちりばめられている金糸の刺繍は繊細でうっとりと眺めてしまうほど。
形としてはシンプルなのに華やかなドレスは、自分が可愛らしいお姫様になったような錯覚に陥りそうになる。
更に首飾りや耳飾りには緑玉がふんだんに使われているのだが……これがビクトルの瞳の色だと気付いてしまったせいで、そわそわと落ち着かない。
しかもビクトルの上着にもお揃いの石や金糸の刺繍が使われているので、ドキドキも止まらない。
「目が節穴の人間ばかりだな。だが、今夜のアンドレアを見れば、俺が夢中だというのも納得だろう。……そのドレス、とても似合っている。可愛いよ、アンドレア」
もう何度目かわからない誉め言葉を口にしたビクトルはアンドレアの手をすくい取り、その甲に唇を落とす。
驚きとドキドキが一気に襲来したアンドレアの喉からは、「ひぇっ」という変な声が漏れた。
「ご覧になって。不気味な笑顔で婚約破棄された傷物のくせに、殿下に触れるなど図々しい!」
「本当ですわ。殿下の優しさを勘違いなさっているのでしょう」
「ルーデン侯爵令嬢はいつも時代遅れのドレスに笑顔が怖くて近寄りがたかったけれど……今夜は悪くない、のでは?」
「確かに……恐ろしい笑顔さえなければ、その……綺麗、かと」
周囲の令嬢がざわざわと何か話しているが、アンドレアにはそちらに気を回す余裕がない。
ビクトルは婚約破棄騒ぎから助けてくれた恩人。
更にムートを拾った時に助けてくれた名付け親の少年でもあるのだから、どうしても親しみを感じてしまう。
ただでさえ、ビクトルは整った顔立ちに王族の威厳も持ち合わせた存在だ。
それが正装に身を包んで微笑み、手にキスをされたら、心臓を守るべくぐっと唇をかみしめて耐えるので精一杯である。
「殿下にご挨拶申し上げます。……そちらが今宵のパートナーですか? まさか、本当に婚約したわけでは……?」
聴き慣れた不快な声にハッと目を向ければ、リヒャルトがマリアンネを伴ってビクトルに一礼している。
あんなことがあってよく話しかけられるなと感心するが、逆に王子とわだかまりはないのだというアピールをしたいのかもしれない。
「残念ながら、まだだな」
「そ、そうですか!」
周囲の令嬢が安堵の息をつくのはわかるが、何故リヒャルトもほっとした様子なのだろう。
するとリヒャルトはアンドレアに向き直し、わざとらしく咳払いをした。
「いいか、アンドレア。殿下の情けを勘違いするな。着飾れば俺に相応しいとわかったことだし、生意気な散度を改めれば第二夫人として迎えてやってもいい」
「……はい?」
たっぷりの間を置いて、アンドレアが返せたのはその一言だった。
いや、もう何をどこから突っ込めばいいのかわからないし、マリアンネがこちらを睨んでくるのだが。
一体何をしたいのだろう、リヒャルトは。
呆れて言葉が出ないアンドレアを庇うようにビクトルが一歩前に出ると、まるで反発する磁石のようにリヒャルトが一歩下がった。
「公衆の面前で婚約破棄を切り出したのは君だ。婚約解消の手続きは終えているので、既に赤の他人。それに、俺がアンドレアに求婚したのを見ただろう? 気安く話しかけないでもらえるか」
「そ、それは……」
狼狽するリヒャルトを一瞥すると、ビクトルは呆れたという様子でため息をつく。
「まあ、アンドレアは可愛いから未練が残るのはわかる。本当に、髪一筋に至るまで美しいし、愛おしい」
ビクトルはそう言うとアンドレアの黒髪をすくい取り、それが当然とばかりに自然に髪に口づけた。
「え、あの、殿下っ……⁉」
「うん? 何だい、アンドレア」
ちらりと向けられるその眼差しの色っぽさに言葉が引っ込んでいき、代わりにアンドレアの頬がどんどん熱を持っていくのがわかる。
ただでさえ上手く表情を作れないのに、自分が今どんな顔をしているのか考えるのも怖いし、恥ずかしい。
思わず手で頬を押えると、ビクトルは微笑みながらアンドレアの頭を撫でた。
「こんなに可愛らしいのに『笑顔が不気味』だの『可愛げがない』だの言われるのはおかしいだろう? 気になって調べてみたが……リヒャルト、君は長年アンドレアを虐げていたようだな」
周囲がざわめき、疑惑の視線がリヒャルトに向けられる。
「ドレスや装飾品などの贈り物は最低限で時代遅れのものを着用させる。その上で似合わないと暴言を重ねるなど、アンドレアを否定する行動を取り続けた。更にポンゼル男爵令嬢との関係はアンドレアとの婚約期間中なので、謝罪と賠償の責任がある」
「ば、賠償⁉」
リヒャルトの声が上擦るが、ビクトルは気にする様子もなく続ける。
「友人との賭け事で大負けして借金を背負ったリヒャルトは、オットー公爵家が婚約者のアンドレアのために用意したお金を根こそぎ着服。だから古いドレスの着用を強要して誤魔化していた。……これは相違ないな?」
アンドレアでさえ初めて聞く事実に周囲の貴族達にも動揺が広がるが、当のリヒャルトの顔色が青ざめていくところを見ると、恐らくは真実なのだろう。
「そ、それは誤解で……あっ、マリアンネ⁉」
言い訳を口にしようとしたらしいリヒャルトの腕を振り払ったマリアンネが、大袈裟にドレスの裾を翻してビクトルの前に飛び出した。
「わたくしは騙されたのです! どうかお助け下さいませ、殿下!」
首を傾げると同時に顎を引き、涙を浮かべながら上目遣いで懇願するマリアンネは、まさにリヒャルトの言っていた『可愛げ』の化身。
だがビクトルは感銘を受けるでも喜ぶでもなく、むしろ汚らわしいものを見たとばかりに眉を顰めた。
「マリアンネ・ポンゼル男爵令嬢は、意図的にアンドレアの悪い噂を流してリヒャルトに近付いたそうだな。彼以外にも複数の令息と親密で、多額の貢ぎ物を要求しているのを確認済み。更に既婚男性との不倫の噂まである」
「ま、まさかそんな! 誤解ですわ!」
「では証拠と証言を……いや、証人である本人達を呼ぼうか? 不倫に関してはまだ本人確認を取れていないが、それ以外なら可能だぞ」
ちらりとビクトルが視線を向けた先には、成り行きを見守る大勢の貴族がいる。
「え……あ、その……!」
つられてそちらを見たマリアンネは目を見開くと、明らかに狼狽して声が上擦り始めた。
真偽はわからないが、この慌てぶりからすると出てこられると困る人がいたのだろう。
「マリアンネ、おまえ浮気していたのか!?」
「リヒャルト様こそ、借金ってどういうことですの⁉」
リヒャルトとマリアンネが向かい合って互いを罵り始めたが、正直どっちもどっちなので全然同情できない。
「それに加えて、俺の愛しいアンドレアを侮辱したのは許し難い。調べた内容は既にオットー公爵家とポンゼル男爵家に包み隠さず伝えてある」
そろそろつかみ合いの喧嘩になりそうだったリヒャルトとマリアンネは、ビクトルのその一言にぴたりと動きを止めた。
「オットー公爵家は跡継ぎを長男のリヒャルトから次男に変更して領地へ送り、ポンゼル男爵家はマリアンネを修道院に入れると決定した」
「そんな馬鹿な! だって俺が次期公爵なのに……!」
「嫌です、誤解ですわ!」
「これは決定事項だ。今更何を言っても遅い。……華やかな舞踏会の場に似つかわしくない二人を連れ出せ」
ビクトルの指示で騎士に連行される間も二人は叫び続け、扉の外に姿を消してようやく会場内に静けさが戻った。
「まったく、最後まで見苦しいな。アンドレアが長年つらい思いをして自然に笑えなくなった経緯を考えれば、こんなものでは済まないが」
「もういいです、十分です。私も我慢し過ぎずに思ったことを言えばよかったのですから」
悔しそうなビクトルの声にはアンドレアへの気遣いがにじんでいて、それだけで胸が温かくなる。
「アンドレア」
「はい?」
ビクトルはアンドレアの手を取ってひざまずくと、真剣な表情で見つめる。
「俺は、君の笑顔がどれだけ可愛らしいか知っている。君の心が変わらず美しいことも知っている。アンドレアが好きだ。――どうか、俺と結婚してください」
これ以上ないほどまっすぐな眼差しと言葉に貫かれて、アンドレアは固まる。
鋭く突き刺さる矢のようなその衝撃は、乾いた砂に落とされた水滴のように体と頭に染みわたっていく。
ドキドキと早鐘を打つ胸は苦しいし、さっきまで熱かった頬が更に温度を上げてきた。
肉体はつらいのに心は満たされて。
胸の奥、ずっと凝り固まっていた何かが、ゆるゆると溶けていくのがわかった。
「わ、私も……殿下が好きです。でも」
導き出された答えは単純明快で、それでいてアンドレアを優しい気持ちに染め上げていく。
心地良い流れに身を任せてしまいたいけれど、どうしても聞きたいことがあった。
「結婚しても猫と……ムートと一緒にいられますか?」
恐る恐る問うと、ビクトルがゆっくりとうなずく。
「もちろんだ。ムートはアンドレアの大切な家族、俺にとっても、君と出会わせてくれた恩人だからな」
「良かった……!」
ほっと安心したと同時に、頬と口元が綻んでいく。
すると声にならない悲鳴が舞踏会会場を駆け抜け、音のない風がアンドレアの髪を揺らした。
異変に気付いて周囲を見れば、ビクトルをはじめとしたその場の人間が皆、目を見開いている。
ああ、失敗した。
きっとまた不気味な笑顔を浮かべてしまったのだろう。
ビクトルは気にしないでいてくれるとしても、やはり大勢から好奇の目で見られたり蔑まれるのはつらい。
反射的にうつむきそうになった瞬間、立ち上がったビクトルがアンドレアをぎゅっと抱きしめた。
「……ああ、もう。反則だよ」
「す、すみません。気持ち悪い顔でしたよね」
「違う、逆。アンドレアの笑顔が可愛すぎて、ちょっと心臓が止まりそうになった」
「え……?」
ビクトルの腕の中から周囲を見てみると、いつものように眉を顰めた人はおらず、頬を染めたり微笑んでいる人ばかりだ。
これはもしかして、もしかするかもしれない。
「わ、私、きちんと笑えました?」
期待と興奮でビクトルを見上げると、その手がアンドレアの頬を撫でる。
「ああ。俺が恋した、可愛らしい笑顔そのものだ。だが新たな問題が発生したから、早急に対処しないといけない」
「え⁉ ど、どうしたら……」
一体何が問題なのかわからないけれど、ビクトルが言うのだから事態は深刻なはず。
緊張しながら答えを待つと、予想に反して優しい笑みが返ってくる。
「できるだけ早く結婚式を挙げないと。本当はアンドレアの可愛らしい笑顔を誰にも見せたくないが……今は、これで我慢しよう」
ビクトルは緑色の瞳をきらりと輝かせるとアンドレアを抱き寄せ、その頬に口づけた。
\コミックスご予約受付中!/
特典情報や詳細は活動報告&「西根羽南のページ」をご覧ください
【発売予定】
◆1/17 コミックス❶巻「未プレイの乙女ゲームに転生した平凡令嬢は聖なる刺繍の糸を刺す」
◆1/17 フルカラーコミックス❸巻「灰かぶらない姫」
◆2/14 コミックス❷巻「幸運王子と不運令嬢が相殺結婚したら溺愛が始まりました」
◆2/17 フルカラーコミックス❹巻「灰かぶらない姫」
【連載開始予定】
◆1/23 「余命わずかの引退聖女は冷酷公爵との厄介払い婚を謳歌したい!」
【連載中】
◆「未プレイの乙女ゲームに転生した平凡令嬢は聖なる刺繍の糸を刺す」
◆「幸運王子と不運令嬢が相殺結婚したら溺愛が始まりました」
◆「『理想の花嫁を探して幸せにして差し上げます』と言ったら、そっけなかった婚約者が何故か関わってきますが、花嫁斡旋頑張ります」
◆「二度目の初恋がこじれた魔女は、ときめくと放電します」