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魔石の歴史

※この回は、この世界における魔石利用の歴史紹介となります。読み飛ばしていただいても本編のストーリーに影響はありません。

 神話によれば、その昔、男神の一柱が人間界に降臨し、人間の女性と交わり、子を成したという。

 その子は優れた王となり、人間達に神の言葉を伝え、英知をもたらした。

 また、その神は我が子に、脆弱なる人間達の為に、と、七つの強力な神器を渡したという。


 やがていくつも国家が誕生し、地上は人間達が実効支配する世界となった。

 人間より上位の存在はあったのだが、神々は別世界である天界を、龍は天空と山脈を、魔族は地下世界をそれぞれ支配していた。


 亜人種であるエルフ族は森林に住まい、ドワーフ族も山岳地帯を好んだため、大きな争いに発展することはなかったという。


 とはいえ、希に下位の竜や魔族が地上に現れ、騒動を起こすことがあったと伝えられるが、それらは人間の「英雄」達によって討伐されたと伝承されている。


 このうち、元々体内に「魔石」を宿すのは、竜と魔族だった。

 神や人間、亜人間は基本的に魔石を体内に持たない……その代わり、「血の魔力の濃さ」により魔法を使用することができた。

 とはいえ、人間で「魔力」をその身体に持つ者は、初代の王、つまり神の子孫に限られていた。


 そこから、二千年の時が流れた。

 いくつもの国家に分かれた人間界は、やがて対立し、幾度も戦争を起こすようになっていた。

 特に、魔力を持つ「神の子孫」は貴重な戦力であり、人数が限られていた。


 また、その「血の濃さ」に比例して魔力の強弱があり、強力なそれを持つ者の多くが「王族」や「貴族」であった。

 彼らが戦争に参加すると、被害が大きくなり、また貴重な血脈が失われる恐れがある。


 そこで生み出されたのが、「魔石」を持つ魔物を大量に創り出し、兵器として利用するという案であった。

 それまでの歴史で魔法学が発展していたこと、以前から捕えていた下位竜族、魔族のサンプルがあったことにより、その計画は実施された。

 一つの国がその技を成功させると、潜んでいた密偵により、その情報は他国にもすぐにもたらされた。


 こうして、「魔石」を持つ大量の魔物、妖魔を用いた「超魔獣大戦」が勃発し、最終的には壊滅的な魔法を放つ、神話の時代から受け継がれた「七つの神器」も投入されて、結局は全ての国がその高度な文明を終焉させるほどの大被害を被った。


 その文明の残骸は、今も「古代遺跡」として世界各地に残っている。

 大戦を生き延びた人間達は、多くが一般の民であり、魔力を持たなかった。

 彼らは、大戦の後も生き残り繁殖を続ける魔物、妖魔に苦しめられた。

冒険者ハンター」と呼ばれる狩人がそれらを駆除し、報酬を得るようになったのはその頃、今から千百年以上前に遡る。


 超古代文明より、伝承により受け継がれた技術が、一つ存在した。

 それは、「魔法陣」に魔力を込めることで魔法を放つ、というものだ。


 大戦前から、魔法は「魔力」を持つ神の子孫(その多くが貴族)しか扱えず、その技術も、個々の能力により差があった。

 体術の能力に例えるならば、「後方転回」ができない者は、「後方宙返り」ができないし、「連続後方転回」もできない。

 魔法においても、いくら魔力を持っている者がいたとしても、本人にそれを使いこなす才能と努力がなければ魔法は放てない。逆に、才能さえあれば、若くして大魔法を放つ者もいたという。

 しかし、「魔法陣」を使用することにより、魔力の供給さえ実行できれば、本人が習得していない魔法を使えたのだ。


 ただ、「魔法陣」は消耗品であり、紙に記載されたものは一回の使用で消えてしまい、金属に彫り込んだ場合でも数回~十数回の使用で消滅した。

 故に、「魔法陣」が記された巻物スクロールや魔道具は高価であり、かつ、あまり実践に向いていなかった。

 

 しかし、それが「魔水晶」と呼ばれる特別な素材に魔法陣を転写すると、半永久的に使用できることが判明し、状況が大きく変化する。

 その技術が確立されたのが、三百年ほど前だった。

 それにより、魔力を持つ者がそれを込めることにより容易に魔法を発動できるようになった。

 このことにより、当時の魔力を持つ者、多くは「神の子孫」である貴族階級の生き残りが、大きな権力を得るようになっていった。


 そしてさらに、革新的な技術が生まれる。

 それが、「充魔石」と呼ばれる加工品の発明だ。

 これにより、魔物から得た「魔石」の魔力を「充魔石」に溜め込み、それを「魔水晶」による魔法の発動に使うという「魔導コンポーネント」が実現したのだ。


 この機構が実装されたアイテムを持つ者は、魔力を一切持たずとも、「充魔石」にため込んだ魔力を利用するだけで魔法が使用できるようになった。

 これが、今から百五十年ほど前のことだった。


 こうして、今まではただの害悪でしかなかった、魔石を持つ「魔物」や「妖魔」が、一転して有用な資源となった。

 そして魔物を狩って魔石を得る「魔石ハンター」が注目を浴びるようになり、さらには、超古代文明が残した遺跡から宝物を得る「遺跡ハンター」も増えていった。

 古代遺跡群攻略都市「イフカ」は、滅びた超古代都市の首都近郊に、自然発生し、発展した大きな街である。


 そしてかつて世界を滅亡寸前まで追いやった「超魔獣大戦」中に使用されたという、神話の時代から伝わる「七大神器」のいくつかが、また未踏派の遺跡のどこかに眠っていると噂されている。

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