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#004.仮想国家と仮想戦争

あれから1時間ほど学園長室で話し込んだ(ただし大半は学生手帳うんねん)あと、とうとう本題ともいえるこの学園のシステムの話になった。

まあ1時間もかかったの全部俺が不用意に発言したせいなんだけどな。


「さて、この学園のカリキュラムなのだが……まあ見てもらえばわかるか」


そういうと、シトリーは座っていたソファーを立って学園長室のドアを開いて自ら学園内を案内し始めた。


「このフロンティア魔法学園がなぜ大陸一と言われているか、それは実力主義の弱肉強食の世界だからなんだよ」

「……実力主義、ですか」

「そう。この学園の一番下はCクラス。そこからBクラス、Aクラス、Sクラスとある。もちろんSクラスになるにつれその実力は上がっていく。それが各学年、各学科にある」


あれか。よくラノベにある異世界学園とその辺同じなんだな。|ルミウス<ここ>自体、とっても狭き門だからCクラスでも大陸全体で見たら優秀な方だろう。


「そして、この学園最大の特徴はだな……その組がランダムで”国分け”されているということだ」

「国分け? 帝国、王国、共和国とそれ以外の出身で分けられてるんです?」

「いや、クラスごとに仮想の国家にわけられている。国にはS~Cクラスまでがランダムで1クラスずつ振り分けられる」

「つまり、1つの国にはSクラスが1つ、Aクラスが1つ、Bクラスが1つ、Cクラスが1ついると」

「ああ、ここは高等学園としては珍しい4年制なんだ。大学校に進学する場合は2年次から編入という扱いになるのだよ」


なるほど……つまりここには仮想国家が4つ存在していて、各学年1つがいずれかの国家に所属していると。シトリー曰く、学年の関係で戦力差が生まれないように”最初だけ”しっかりと均等になるようになっているらしい。


「それで、仮想国家に分かれているまではわかりましたけど、国に分かれて何するんです?」


という新田の質問に俺もうなずく。正直ここからの流れは一切わからない。異世界の学園あるあるで知ってるのはSクラスが一番上でそこにチートいるよね、ってことくらい。


「それは、今から向かう場所でわかるさ」


と自慢げに話すシトリーとともにやってきたのは一つの魔法陣がおかれている部屋だった。魔法陣以外特に何もなさそうなその部屋に入ると、シトリーはこれに乗れと言ってくる。

というわけで乗ってみたのだが……魔法陣の形でわかった。これは転移魔法の魔法陣だ。この世界の転移魔法は珍しく、王国では魔法師団5万人のうち100人程度しか使えないという。


「転移魔法の魔法陣がなんでこんなとこにあるんだ……?」

「さすがに気づくか。だが大丈夫、変なとこには連れて行かぬよ」

「これで赤龍の巣穴の目の前とか言ったら許さねぇからな」

「ハハハ、王国に青龍が住み着いているのが異常なだけだ、安心したまえ」


笑顔で魔法陣に魔力を送りながらそんなことを言われると余計に不安になるのだが……。


  〇 〇 〇


シトリーが発動させた魔法陣で転移した場所は、森林に囲まれた小さな砦だった。少し周りの景色が歪んで見えるからこの周囲には高レベルの障壁……いや、結界が張られているんだろう。


「ここは……?」

「ここは共和国のはずれにあるオースティン・レンジと呼ばれているところ。共和国の領土の8分の一に相当する面積があるんだ。ちなみにここはすべてルミウス魔法学園の実習用の土地だな」


いやいやいや、やばすぎだろこの魔法学園。この合法ロりが学園長で、狭き門で、共和国の広大な国土の8分の1相当の実習用地あるとか。北海道の農業高校でさえこんなに広くねぇぞ。まあそもそも単位が違うから比べようにならんのだが。


「広さで言えば、ざっと共和国の首都バジルファーニが15個入るな」

「バグってんだろ」

「さて、本題に入ろう。あそこに1パーティーいるの見えるかい?」


赤坂と新田が話を聞いて口をポカーンと開けて呆然としている中、「もう理解したよね」とばかりにシトリーが森のある一点を指示している。うむ、正直言って視力悪いからなんも見えん。


「あそこにいるのはどうやら協商同盟のパーティーのようだな」

「それが国の名前か?」

「そういうことになる。ここには協商同盟、情報連合、聖教議会、列島王国の4つの陣営……というか国の領土と首都がある。各陣営は首都を守りながら他の3つの陣営の領地を少しでも多く奪うことを目標にしている」

「んで? 1年経って一番領地が多いとこの優勝でーす、みたいな感じか?」

「いや、他の陣営の首都が堕ちたらゲームセット。その場合はまた初期の領土から攻略を始めることになる」


なるほど。これは要するに……”戦争”ってわけか。


「そういうことだ。ちなみにここら辺は情報連合と正教議会の最前線だ。あのパーティーはこの近くにある聖教議会の砦の偵察か、落とすために派遣されたんだろう」

「そんで? 実力主義となんか関係あるのか?」

「ああ。オオカワが言った通りここは戦場。つまり魔法が飛んでくるし、したがってケガもする。ここでは命を落とすことはないが、自分の命を疑似的に現すために腕にダメージカウンターという結界装置がある。ダメージカウンターは攻撃を受けると自動で発動する。当然攻撃があたると結界の力は弱くなり、最終的に結界が割れたらロスト……つまり戦死扱いになる」


つまり戦場で何をしてでも生き残らなければいけない。そのためには実力が必要。だからここが実力主義ってことか。だんだんシステムが呑み込めてきた。


「それで……ロストになったら何があるんですか?」

「いい質問だ。ロストになった場合、1、2回目はそれぞれ1か月、ここでの戦闘が禁止に加えて1週間の停学。3回目は1か月の停学に加えてBクラス以上ならクラス降格の審査になる。そして4回目は……退学だ」

「つまりストックは4回のデスマッチっていうことか」

「そうだ。回数については進級するごとにリセットされるんだ」

「ストックの回復方法っていうのはあるのか?」

「ダメージカウンターについては回復魔法、もしくは2日経てば回復するが、回数の回復はない」


じゃあ絶対に4回から増えることはない、と。これはいくらここにいる奴らより実践経験があるからと言って油断することはできなさそうだ。


「そういえばクラスごとの話もしていなかったな。クラスは10人から30人前後で構成されるんだが、

その中にはさらに3人から構成される、冒険者で言うパーティーがある。ここではそれを小隊と呼び、ここでの最低単位は小隊になる。ちなみに、小隊は最大で8人までだ」

「ますます戦争じみてきましたね」


そんなことを言いながら砦の中から周囲を見回していると、近くの森の中から黒煙が吐き出され、その近くからは魔法とみられる光も発せられている。


「む、あそこは聖教議会の砦だな。情報連合が攻撃を仕掛けたか」

「あ、そういえばシトリー。俺たちのクラスってどうなんだ?」

「そうか……そういえば忘れてたな」


おいコラ、一番重要なことを忘れたの一言で済ませんな。こちとら俺と赤坂の2名はコミュ障なんだからもちろんそれも考慮してくれてるよなぁ?


「お前たちは、情報連合所属の、魔法科学科2年Sクラスに転入することになっている。そこにはシフォン王太子もいるぞ」

「シフォン王太子、ですか?」

「アホ! 王国の王太子様だよ!」


新田が「そんな奴知らねぇ」とばかりにとぼけた声を出して、俺たちが王国の首脳とか王族に対して興味がないのを晒してしまう……。俺は王女の護衛したことあって、そこで話をめっちゃ聞かされてたから知ってたけど。これ一応後で教えておかないといけない流れだな。


「……まあいい。とりあえず見学会はここまでだ。それ以外のことはまた明日実際に体験するといい。このあとは寮に案内することになっているから。お前たちが乗ってきた馬車もそこにあるから安心しろ」


再び魔法陣に魔力を注入しながら宣言するシトリー。この後は寮か……俺たちが住んでたログハウスみたいなとこじゃなくて相部屋でせまっ苦しいとこなんだろうなぁ……。

うざい奴と相部屋にならないことを祈りながら、俺たちは魔法陣でオースティン・レンジを後にした。


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