4話
優月視点
「遂に異世界に行くんですか。僕はどこに召喚されるのですか?」
「はい、貴方には龍を倒して頂くためにまずはその手段を得て頂きます。」
「という事は、竜や鬼を倒すか、迷宮を攻略すると?」
「はい。貴方には迷宮に行ってもらいます。竜や鬼を倒してもらうのもいいのですが、貴方には龍装を手に入れていただきたいので、迷宮攻略後に龍に挑んでもらいます。」
「どの龍かは指定がありますか?」
「いえ、それについては貴方にお任せします。」
「分かりました。僕はどのような迷宮に行くのですか?」
「分かりません。迷宮は我々神でもどのような迷宮で神か天使のどちらかすら分からないのです。ですからそれについては貴方に何の情報もなく、挑んで頂くしかないのです。」
「そういう事なら大丈夫です。実際に入ってから確かめます。」
「誠に申し訳ありません。それでは準備を致しましょう。」
そう言って、セレーネ様は何かの呪文を唱える。
「●●●●●●●●●」
聞き取れない言語で何かを唱えると、彼女の足元に魔法陣が出現する。そしてその中から、僕の装備が出てくる。僕は今日は休暇だったため、装備を持ってきておらず、武器も大半を置いてきていた。
「何で僕の装備が?」
「貴方にはこのまま迷宮に直接転移してもらいます。なので、装備を整える時間は無いのです。だから、こうやって貴方の装備を召喚して、貴方に装備していただき、準備して貰おうという事です。」
「という事は、それらは全て本物の僕の装備なんですね?」
「はい、そうですよ。それでは準備をしてください。そして、終わったら私に言ってください。転移の準備を進めていますから。」
「分かりました。」
そう言って僕は早速着替え始める。
いつもの装備を着用し、さらに服の中等に暗器を仕込んでいく。そして腰に刀を差し、腰の背中のところに魔術銃二丁と小太刀を装備する。最後に両足にあるレッグホルスターにナイフを入れる。
その後一通り装備のチェックをし、不備がないかを確認する。
「終わりましたセレーネ様。」
「そうですか。こちらの準備も丁度終了しました。では、貴方に物資を送ります。今貴方のアイテムボックス内は空のはずです。」
「確かに。何故か何も無くなってしまっていて。これはどうしてですか?」
「それは、アイテムボックスが二つに分かれたからです。今貴方には地球用のアイテムボックスとエルドラ用のアイテムボックスの二つがあります。そして今は既に地球を離れ、エルドラの近くに居ますから、エルドラ用のアイテムボックスになっているという事です。
なので、貴方には迷宮にいる間に使う、食料と水、野営の道具を差し上げます。あとは、迷宮を出た後に必要になる、周辺の地図とお金も送ります。これらは転移時に全てアイテムボックスに直接入れておくので、あちらで確認して下さい。
さて、では転移をしましょうか。最後に聞くことはありますか?」
「はい。一つ聞いていないことがありました。僕が目的を達成した後、僕は地球へ帰還することは出来ますか?」
「そうでした。その話がまだでしたね。端的に言いますと、帰還することは叶います。ですが、今すぐには無理です。貴方を召喚するのに、私は多くの力を使ってしまいました。ですから、今貴方を帰す力は残っていないのです。
しかし、貴方が目的を達成した場合は別です。龍の力は神にも匹敵するレベルです。なので、龍が倒された後の力の残滓を集めれば、私の力も大幅に回復し、貴方の帰還に必要な分が溜まります。そうすれば、貴方を帰還させることも出来ます。」
「そうですか。では、僕は目的を達成することを第一に考えていればいいのですね。
セレーネ様、一つ約束をしていただけませんか?」
「無理なものでなければ、いいでしょう。言ってみてください。」
「ありがとうございます。僕が約束して欲しいのは、目的の達成後、僕を地球から転移した時の日時に帰還させることです。」
「なるほど。それならば、可能です。その約束、私の名に誓って果たすことと致しましょう。」
「ありがとうございます。これでもう大丈夫です。」
「それでは、転移を始めます。貴方が転移する場所は迷宮の第一層です。貴方が無事攻略し、龍たちを打ち倒すことを神界からお祈りしています。」
そう言って、セレーネ様は呪文の詠唱を始める。すると、僕の足元に魔法陣が出現する。
「●●●●●●●●●●」
詠唱が進むごとに段々と陣は大きく、そして輝きを増していく。そして遂に詠唱が完成する。
「我が名の下に彼の者を望む場に届けよ!
発動 転移!!」
最後の句が読まれ、僕の足元にある陣の輝きも最高潮に達する。そして、僕は転移特有の浮遊感を感じながら、その意識を闇に落としていった…。
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セレーネ視点
「ふう、無事に届けることができましたか。」
そう言って私は安堵の表情を浮かべる。そして、彼の異常な強さを思い出す。
「強いとは思っていましたが、まさか、あれほどとは。」
普通はレベル1の時のステータスは大体が一桁であり、稀に2桁の者が出現する程度だ。スキルも地球での経験があるとはいえ、あれほどの量と高レベル。
しかも、エルドラは最上位世界、要は表されるステータスもエルドラ基準である。地球とは強さが別次元といってもいいくらいだ。それでも、あれほどのステータス値。もし地球基準だったらどれほどの値になったのだろうか。
(彼ならば、彼の強さならば、必ず成し遂げられる。だから私は彼との約束のためにも、彼を見守りながら、力を蓄えよう。)
そう考えながら、私は彼が生きて目的を達成することを心から願った。
明日も更新します!




