隣のクラスの
2.
昼休み。
じんわりと自分の体温で温もった椅子から離れられずにいた。
「志河、昼飯食おうぜ!」
そしてまた澄元は僕の前の席の子の椅子をかっさらう。
「そういやさっきの隣のb組に教科書返しに行ったんだけどさー、志河お前b組のあの子知ってる?」
「あの子?誰だよ。」
「あれだよ、星河依弦。」
「俺イマイチ別のクラス分かんないんだよなぁ。」
別に友達が居ない訳ではないけれど、他クラスの、特に女の子になると僕は全く関わりがない。
恋愛沙汰が起こらないのもそのせいかもしれない。
「まじ?星河さん割と知られてねぇか?無表情でめっちゃ怖いの。授業まともに受けず寝てるしちょくちょく学校サボってるし。」
「へぇ、この学校にヤンキーなんて居たの?」
「頭いいヤンキーって居るんだな〜。でさ、そのb組に行った時に星河サンとぶつかっちゃったのよ。めっちゃ睨まれて『いってえな前見ろ』って怒られてさ〜!!」
「こっっわ。」
「俺あぁいう女とは付き合えねえ〜!」
ぶっちゃけぶつかった澄元が悪い。
僕は自分からヤンキーみたいなのにぶつかっていけない。
ある意味澄元は勇者かもしれない。
「僕は付き合うならお淑やかな子がいいな。」
「分かるぜ志河、女の子っぽい子っていいよな〜。」
星河さんとかその人の事は初めて知ったけれど、関わらずにこの学校生活を終えたいと切実に願った。