はじめまして異世界
......俺は確か家で寝ていたはずだった。
...いやそうでなくてもこんな森の中では寝ない、野宿やキャンプだとしてもだ。
徐々に頭が回るにつれ何となく今の状況が解ってきた。どうやら太陽が目を覚ましてくれた訳でもなくそれどころか光源一つないようだ。普段街灯の機械らしい光は寂しいだなんて思ってたが、今じゃ恋しいほどにだ。
それと、やはり寝ていたことは正しいようでだいぶ薄着だ。お陰で草々が痛覚をとうして、鬱陶しいほどに伝わってくる。ただ救いなのは気温が大して低くないこと。少し肌寒いだけだ、真冬並みだったら目覚めることさえ叶わなかったかも知れない、そうなれば幸運な方だ。まぁこれで海外という可能性は減ったわけだ。
そんな事を考えてるうちにふと気がつく、どうやら此所が無人島でもないことがわかった。鉄がぶつかるあの甲高い音が聞こえる。当てもないし、ないにもしないのもどうかと思うので、その環境に相応しくない異質な音のなる方へ向かった。
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え、なにこれどういうこと?ん、んん?
俺は再び頭が回らなくなった。前言撤回、どうやらここは日本じゃないようだ。目の前で剣による激闘が繰り広げられている。どう考えても日本じゃないし、万が一ですらそう思いたくもない。大柄な紅毛の男二人が、輝く黄色い髪色の少女と対峙している。皆さん剣をしっかり握りしめて。一見その様子は少女が不利に見えるが、そんなことはない。攻め手にこそ出れないものの間合いは完全に彼女のもので男達の剣は彼女にことごとくいなされていく。その動きは素早く、両刃の西洋風の剣なのにフェンシングを思い起こす切れと素早さ、正確さであった。
ここで自分は少女を助けに出ようと思った。優勢でこそあれ攻め手に出れずに消耗戦となればさすがに先は暗くなる。第一、男二人が少女に遅いにかかってる時点で少女を助けなきゃいけないと思うのは当然だ。うん。
俺は男一人が後ろに下がるのを見切り、
「今だ!行け!!」
と怒鳴りながら下がった男の襟を後ろからつかみ見事に地面に投げ叩きつけた。
「ハァ!!」
少女は透き通った声で力強く叫ぶと、キャパオーバーして混乱しているもう片方の手の甲に剣を突き刺した。
「ぐぁはぁ!!!」
当然男は剣を手放しうずくまった。良かった殺さなくて、久しぶりにほっとした。
少女は男二人が行動出来ないと見ると、
「どうもありがとうございました。」
優しい表情でそう言った。そして、丁寧にお辞儀した。
「あぁどうも、けど一体どうしたんだい?」
軽く返し、思った事を率直に聞いてみた。